• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

“プライド高き道化師”は問う

日本の陰画を見せた村上世彰という男

  • 児玉 博=フリーランスジャーナリスト

バックナンバー

2006年6月13日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

神童はエリート街道を軽やかに駆け上がった。憎めない人柄と率直な振る舞い。思想を語り、道化を演じた。お金と法の間の綱渡り。バランスを崩し落下した男は、消え去るのみか。

 午前の取引が終わった6月5日午前11時。東京証券取引所の兜クラブで、村上世彰は自らが築き上げた帝国に幕を引く記者会見に臨んでいた。

 金融に関しては素人だった堀江貴文(ライブドア前社長)が高度な技量を要する粉飾決算で司直の手に落ち、金融のプロを自任した村上が素人の勇み足とも取れるインサイダー取引で処罰を受ける皮肉。吹っ切れたような表情と時折見せる苦渋は、“プライド高き道化師”という男の二面性を見せた。

作文に込めた「一発屋の人生」

 村上は生まれながらの「お金儲けのプロ」であった。貿易商として起業し、不動産投資などで成功を収めた父の勇は、息子に株式投資のイロハ、不動産投資のノウハウを噛んで含めるように説き、息子は砂漠が水を吸い込むように、その教えを吸収していった。

 庶民のエネルギーで満ち溢れた大阪の道頓堀で育ち、小学生の時には神童と呼ばれるほどの才気を見せた村上。その机の上には教科書とともに、場違いなほど分厚い『会社四季報』が置かれ、日本経済新聞を繰っては小学校に通うようになっていた。

 小学校6年生の時、父からもらった100万円でサッポロビール株2000株を購入した逸話は村上神話の代表的なもの。「お金は命に次いで大切なもの。お金というツールを使えば自分のやりたいことができる」と信じるに至る。

 お金の話を他人の前でするものではない。お金に執着する人間は下品だ。こうした考えが根強い日本の社会風土にあって、村上はお金に対し確固たる信念を抱く。そして、この信念ゆえに村上は異端者のイメージを持たれる。

 東京大学合格率が驚異的に高い灘中学校(神戸市)に進学塾に通うことなく入学した村上は、自由な校風を満喫する。校内で村上の名前を有名にしたのは学業の成績でもなければ、部活動の成績でもなかった。放課後、せっせと他校の女生徒と戯れる姿であった。

 この中高一貫教育の進学校で、村上は後に村上ファンドで自分の右腕となる丸木強と出会う。

 「お金がなかったら貸しまっせ」

 教師にも軽口を叩く村上は、高校3年生の時の「私は燃える男よ~~」という作文に次のように記している。

 「この世彰には一発やるきがあるのだ。何となく給料をもらい静かに死んでいくような人間ではない。後四十年、一発屋の人生を豪快に咲かせたい」

 そんな村上は1年間の浪人生活を経て東大法学部に入学する。新入生であふれるキャンパスで、「今度文科I類に入った村上です」と言っては握手して回っていた村上は、誰よりも有名な1年生であった。

 東大時代の村上も様々な逸話を残している。法学部の同期で、丸木同様、後に村上ファンドに参画することになる滝沢建也は、公平、公正を重んじ、市場原理至上主義者となる村上の片鱗を借家法の講義で目撃する。

 借り手の権利、意向が必要以上に尊重されているこの法律に対して、村上は憤然とこう話していた。

 「弱者優先、弱者保護という名目で市場原理が歪められているから日本には優良な賃貸住宅が生まれないんだ。定期借家制度を作って、もっと選択肢を広げるべきだろ」。定期借家制度が制定される15年前のことであった。

コメント1

「時事深層」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

高齢者に配るお金はあるが、少子化対策のお金はないと言うのは、おかしいでしょう。

小泉 進次郎 衆院議員