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ブロードバンド大国に死角

GyaO人気が露呈する脆弱な通信インフラ

2006年6月20日(火)

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 光ファイバーADSL(非対称デジタル加入者線)に代表されるインターネットを利用したブロードバンド(高速大容量)サービス。国内の契約数は今年3月末で2330万契約に達し、世帯普及率では4割を超えた。最新のニュースはポータル(玄関)サイトで見、目的地は経路探索サイトで調べる。ホテルの予約や株取引も自由自在。映画やニュース番組などの動画もネット経由で見られるようになり、日本人のライフスタイルを一変させた。

 ところが、急速に普及するブロードバンドサービスの裏で、その根幹を揺るがしかねない問題が浮上した。通信インフラの脆弱性――。短期間のうちに利用者や、大容量の動画などを配信する会社が急増する一方で、一部のプロバイダー(接続業者)の設備能力が追いつかなくなってきたのだ。

 脆弱なインフラは、利用者にとってブロードバンドサービスの根本を突き崩しかねない危険をはらんでいる。どれだけ加入者が増え、情報配信会社が番組を用意しても、双方を結ぶプロバイダーのインフラがボトルネックになれば、利用者はサービスを十分享受できない。

 「せっかくブロードバンドサービスに加入したのに、動画配信はコマ切れだし、ホテルは予約できず、株取引では大損した」――。インフラがパンクすれば、こうした深刻な事態を引き起こしかねないし、既に被害は一部で見られる。

有力企業が続々と動画配信に

国内のネット通信量の推移

ブロードバンドの普及で急増する動画配信サービス。ソフトバンクグループの「Yahoo!動画」(上)、USENの「GyaO」(中)、民放キー局5社らが設立したプレゼントキャストの「DOGATCH」(下)
ブロードバンドの普及で急増する動画配信サービス。ソフトバンクグループの「Yahoo!動画」(上)、USENの「GyaO」(中)、民放キー局5社らが設立したプレゼントキャストの「DOGATCH」(下)

 実際、国内のネット通信量は増加の一途。総務省によると、2005年11月時点で国内インターネットの総通信量は468ギガビット/秒(ギガは10億)と前年同期の1.5倍に増えた。

 その一因は大容量の動画配信サービスの爆発的普及にある。台風の目は有線放送大手USENが提供する「GyaO(ギャオ)」。視聴無料を売り物に6月中には会員登録が1000万を突破する見込みで、これにソフトバンクグループが提供する「Yahoo!動画」が追随、民放キー局5社などが出資する情報配信会社プレゼントキャストも「DOGATCH(ドガッチ)」と呼ぶ動画配信サイトを開設した。

 松下電器産業(株価情報)やソニー(株価情報)などのAV(音響・映像)機器メーカーも、デジタルテレビ向けのブロードバンドサービスを提供する共同出資会社「テレビポータルサービス」を7月7日に設立する。動画配信など通信量の増加ペースには、さらに拍車がかかりそうだ。

 こうなると、能力に余裕のある大手を除くプロバイダーは設備増強に踏み切る必要があるが、「それは無理」と業界関係者は口を揃える。

 どうしてなのか。その大きな理由の1つは、プロバイダーが契約者から徴収する月額の利用料金が頭打ちになっていることにある。

 料金競争の激化で、プロバイダーの1人当たりの月額収入は数千円程度。通信容量が増えても「競争上、値上げは非現実的」(地域プロバイダー担当者)。収入は一定のため、数百万円から数千万円が必要な通信機器の追加投資を負担できないと悲鳴を上げる。

 もう1つの理由は、プロバイダーの収支構造にある。この業界は、物理的な通信回線や経路装置などの通信機器設備を保有する1次プロバイダーと、利用者の会員管理や電子メールのアカウントなどのサービスを提供する2次プロバイダーに大別される。

 1次プロバイダーは、NTTコミュニケーションズや日本テレコムなど回線を保有する通信会社が多く、ニフティの「@nifty」やNECの「BIGLOBE」をはじめとした個人向けプロバイダーや、地域プロバイダーの大半は、2次プロバイダーに含まれる。

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「ブロードバンド大国に死角」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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