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商社が石炭とウランに熱視線

原油高騰の裏で“古い燃料”に続々と投資

  • 小笠原 啓

  • 星 良孝

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2006年6月21日(水)

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 原油価格が高止まりする裏で、1次エネルギー源の地殻変動が始まっている。燃焼時の煤煙が大気汚染の元凶になるため、敬遠されてきた石炭。旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故から需要が低迷していたウラン。「古い時代の燃料」と見られがちなこの2つが今、にわかに脚光を浴びている。

 石炭の世界需要は、2000年頃までは45億トン前後で推移したが、中国やインドなど新興市場でのエネルギー消費拡大で増加に転じ、2005年は50億トンに達した。米エネルギー情報局の2005年の推定では、2020年には70億トンにまで増えるという。

 石炭は比較的、価格が安定している。原油価格が2004年初頭から2年で2倍以上に上昇したのに対し、燃料用の一般炭は1年間で2割程度上昇しただけ。石炭が注目されるのは割安感があるためだが、それだけではない。

 実は、石炭を利用するための新技術が発達したことがある。それは石炭を酸素の少ない状態で1500度近くに加熱、一酸化炭素と水素燃料に分解して利用する「石炭ガス化」技術。同技術を使うと、従来の石炭発電所と比べて、発電効率が約2割向上し、窒素酸化物など有害物質の除去にも優れる。

三井物産が石炭事業を強化

 ここに目をつけたのが、三井物産だ。石炭事業の切り札として、石炭ガス化を位置づける。石炭ガス化の本格的事業化に向け、5月に石炭・原子燃料部内に新規プロジェクト室を発足させた。大間知慎一郎室長は「国内外で提携先を探り、有望な技術と判断すれば積極的に出資する」と話す。

 大間知室長は「詳細は明らかにはできない」と言うが、既に日本や欧米の石炭ガス化の開発を進める企業と交渉している模様。提携先の技術力を結集して、中国などで設備を建設、石炭の利用拡大を進めると見られる。

 既に米ゼネラル・エレクトリック(GE)などが、中国などで新規の石炭ガス化設備の建設を推進。三菱重工業や日立製作所も国内で実証試験の最終段階にある。特にエネルギー源の6割を石炭に頼る中国では、2010年までの5年間だけで、欧米企業が、20基以上もの石炭ガス化設備を建設する予定で、ビジネスチャンスは多い。

 日本の大手商社が扱う石炭は主に製鉄用の原料炭。燃料用の一般炭強化で先手を打つ三井物産は異彩を放つ。三井物産は2006年5月発表の中期計画で、今後5年間で石炭権益を年670万トンから1600万トンと、2.4倍に伸ばす考え。石炭・原子燃料部の加藤広之部長は「石炭事業は、エネルギー事業の中核に据えていく」と意気込む。

 総合商社が熱い視線を注ぐのは石炭だけではない。住友商事や伊藤忠商事は、原子力発電所の燃料に使う天然ウランの確保に本腰を入れ始めた。

 「今までとは状況が全く変わってきている。10年後、20年後を考えると時折首筋が冷たく感じることもある」。ある電力関係者はこう漏らす。

 米調査会社「UxC(ユーエックスコンサルティング)」の集計によると、ウランのスポット価格は6月5日、1ポンド(約453g)当たり44ドルをつけ、27年ぶりに史上最高値を更新した。チェルノブイリ原発事故などを受けて価格は低迷していたが、ここ3年で価格は4倍に高騰した。

 ウラン価格高騰の背景には、世界的な需給ギャップがある。世界のウラン需要は現在年間約6万5000トンだが、天然ウランの生産量は約3万5000トンにとどまる。供給不足分は民間在庫の取り崩しなどで補っている状態だ。

 さらに、中国やインドで原発需要が急速に高まっていることも、価格高騰に拍車をかける。中国は2020年までに30基以上の原発を新設する予定で、インドも2020年までに原発の発電規模を約7倍にまで拡大する。

 そのため、2013年に米ロ間合意が期限を迎え、ロシアからの解体核ウランの供給が急減すると、世界的な供給不安に陥る可能性も指摘されている。「現在は完全な売り手市場になっている」(資源エネルギー庁)。

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