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究極の盾は「日の丸連合」

アルセロール・ミタル誕生で浮き足立つ日本勢

  • 安倍 俊廣,上原 太郎,中野 貴司

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2006年7月12日(水)

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 「4社の経営統合? シナジー(統合効果)があるなら、検討すべきだろうね」

 6月30日。ミタル・スチールとアルセロールとの経営統合の影響を記者が尋ねると、JFEグループの幹部は驚くような考えを口にした。新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所の3社に、JFEホールディングスを加えた「日の丸連合」とも言うべき大合同構想――。にわかには信じられない内容だが、口ぶりは真剣そのもの。粗鋼生産量が1億1000万トン、世界シェア10%の巨大鉄鋼企業「アルセロール・ミタル」の誕生が、国内の鉄鋼業界をどれだけ狼狽させているかがうかがえた。

 買収に次ぐ買収で、粗鋼生産量世界一の座に駆け上ったミタルが、2位のアルセロールに敵対的買収を仕掛けたのが今年1月。以来日本勢は、次は日本が狙われかねないと見て、対応策を急いできた。今年3月に新日鉄など3社が、敵対的買収にさらされたら他の2社が買収防衛に協力するという「覚書」を交わしたのもそのため。いざという時は「3社で合併に踏み切る」条項が盛り込まれているとの観測もある。4社連合はともかく、新日鉄グループ3社が防衛策として合併を選択する可能性は否定できない。

新会社は時価総額でも他メーカーを圧倒

 6月28日に開かれた新日鉄の株主総会。三村明夫社長は「これからも第2、第3の再編が起き、日本も影響を受ける」と語った。日本勢が「次」の標的になる可能性を示唆することで、株主に不評な買収防衛策に対する理解を求めたのだ。

 日本勢を巻き込んだ業界再編は本当に起きるのか。カギを握るのは、新会社でも社長に就任する予定のラクシュミ・ミタル氏の意向だ。以前から「2015年までに、粗鋼生産量で1億5000万~2億トンの企業となることを目指す」と公言している。新会社発足後もさらなる規模拡大を目指すととらえるのが自然だろう。

経済産業省も援軍に

 さらに、日本勢が持つ高い技術力に新たな魅力を見いだす可能性がある。ミタルは汎用鋼を中心に買収で規模を追ってきたが、今回の合併で自動車の外板に使う亜鉛めっき鋼板など高級鋼の事業に初めて踏み出す。こうした高付加価値品の生産技術を持つのは新日鉄やJFEなど日本勢や韓国ポスコなど一部のみとあって、標的になりやすい。

 日本勢にとって何より脅威なのは合併で誕生するアルセロール・ミタルの時価総額が円換算で約6兆円となり、新日鉄(約3兆円)や住金(約2兆3000億円)などを簡単に呑み込める規模に膨らむことだ。来年5月には株式交換を用いた三角合併が外国企業に解禁され、買収はより容易になる。国内勢が統合という「究極の買収防衛策」を急ぐ下地は十分にある。

 海外の巨大統合の動きに危機感を募らせているのは企業だけではない。経済産業省も、さらなる国内再編を後押しするために動き始めている。

 企業が合併する際には原則として、公正取引委員会の合併審査を経る必要がある。審査基準の1つが統合後の国内シェアで、シェアが35%以下の際は、競争を制限する恐れが小さいとして、公取委はほぼ統合を認めてきた。

 ただ、既に大手4社に集約された鉄鋼業界の場合、上位4社のいずれが再編に踏み切っても、個別品目でシェアが35%を超えるのは確実。公取委の基準が、鉄鋼メーカーの経営陣が再編を検討する際の足かせとなってきた。

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