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福井総裁、消えたオーラ

「職責全う」でも茨の道は続く

  • 石川 潤

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2006年7月18日(火)

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 村上ファンドへの1000万円の資金拠出問題で進退が注目されている福井俊彦日銀総裁。野党などからの辞任要求に対し、これまで「職責を全うする」として続投の意欲を示してきた。しかし、福井総裁への信頼感は国会や世論だけでなく、お膝元の市場でも揺らぎ始めている。

 オーラの消えた日銀総裁――。2003年の就任当初、デフレスパイラルの瀬戸際で見せたような、市場の信頼に裏打ちされた鮮やかな金融政策を福井総裁に期待することはもはや難しい。その職にとどまったとしても、絶大な信頼感を誇ったかつての面影をそこに見いだすことはできそうにない。



市場に沈殿する不信

 「米国経済の先行きが不透明な段階でなぜ利上げを急ぐのか。後手に回った時の悪影響よりも、リスクの方が大きい」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)

 「設備投資の過熱と言うが、ずっと我慢していた中小企業がようやく投資を始めたところ。慌てて利上げする必然性はない」(第一生命経済研究所の嶌峰義清主席エコノミスト)

 日銀が利上げに前のめりの姿勢を見せ始めるにつれて、有力な日銀ウオッチャーからこれまでなかったような不信の声が出ている。

 7月7日発表の6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比12万1000人増と、市場予測(16万人程度)を下回り、米株式相場が大きく崩れたばかり。米国企業の業績の行方も不透明な現在では、日銀に慎重な対応を求める声が強いのも無理はない。

 しかし、そんな経済状況ばかりが理由ではない。市場関係者が不安を隠せないその裏には、福井総裁の姿勢と手腕への信頼感の衰えが見て取れる。

 村上ファンドへの資金拠出問題への対応で、福井総裁が弁解に終始したことが市場の失望を誘った面は否定できない。福井総裁は国会や記者会見でファンドへの出資の狙いや解約の理由を繰り返し問われ、「私は不正直で逃げ隠れする男ではない」と語気を強めた。息も絶え絶えだった日本経済を下支えすべく積極的に金融緩和を打ち出し、市場関係者が拍手喝采した2003~04年頃に見せたような、オーラを放つ姿との落差はあまりにも大きい。

 福井総裁はファンドへの出資を「プライベート」として金融政策運営と切り離そうとしている。ただ、プライベートであれ言動に疑いを持たれた人物について、日銀総裁という公の部分だけを切り離して信頼するということには無理がある。

 さらに、量的緩和政策の解除の後のヒヤリとした記憶も、市場参加者の不信感を助長している。

 日銀が3月、資金を市場にジャブジャブに供給する量的緩和政策を解除すると、日経平均株価はいったんは上昇した。しかし、12ページのグラフにあるように、日銀が4月に入って、本格的にジャブジャブの資金を回収し始めると、株価は一気に下げた。一時は1万5000円を割り込む水準にまで株価は落ち込んでいる。

 「量的緩和解除で過剰流動性が吸収され、その分だけ株価が押し下げられた」(第一生命経済研究所の嶌峰氏)。さらに量的緩和解除を機に新興国の株式相場が相次いで急落し、米国のトリプル安にも飛び火するなど、日銀発の金融恐慌が一時、真実味を持って語られたことも、市場は忘れていない。

 ようやく落ち着いてきたように見える株式相場を、また脅かすのか――。わずかな利上げでもリスクと感じ取る市場関係者が多いのはこのためだ。危険の芽は未然に摘み取ってくれるだろうという、かつてあった福井総裁への全幅の信頼はそこにはない。

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