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アジアを軸に経済成長

安倍 晋三 内閣官房長官に聞く

  • 井上 裕

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2006年7月19日(水)

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国民的人気を背景に、次の首相に最も近いと目される安倍晋三・内閣官房長官。ポスト小泉に向けた様々な憶測が飛び交う中、本誌の単独インタビューに応じた安倍氏が、成長戦略から対アジア外交、格差問題から農業まで経済政策の基本理念を存分に語った。
(聞き手は本誌編集長、井上 裕)

安倍晋三氏
安倍 晋三(あべ・しんぞう)氏
1954年9月21日生まれ、51歳。77年3月成蹊大学法学部政治学科を卒業し79年4月神戸製鋼所に入社。82年11月に同社を退社し、外務大臣だった父、安倍晋太郎氏の秘書官となる。93年7月、首相を目前に死去した父の跡目として総選挙に初出馬しトップ当選を果たした。2000年7月、第2次森内閣で官房副長官に就き、2003年9月には自民党幹事長に就任。2005年10月、第3次小泉内閣で官房長官に就く。母方の祖父に岸信介元首相、その弟、佐藤栄作元首相、そして父に晋太郎元自民党幹事長という名門の系譜に連なる。

  激しい議論の末、歳出・歳入改革を柱とする、いわゆる骨太の方針がまとまりました。最大で14兆3000億円という歳出削減などを盛り込みましたが、どう評価しますか。

  今回の骨太の方針は小泉純一郎総理の卒業論文だという見方もありますが、そうではなくて、次期政権への大きな宿題と理解すべきものだと思っています。これで一件落着というわけではありません。まだまだ課題は残っていると。小泉政権が取り組んできたのは、構造改革と財政健全化ですが、後者についてはまだ第1期の改革なのです。

  改革を進めたにもかかわらず、国と地方を合わせた債務残高は計770兆円と、GDP(国内総生産)の1.5倍という先進国で最悪の状況は変わりませんね。

  そこで、第2期の改革では経済成長力を強化するとともに、財政健全化に向けた努力を継続し、2011年度までにプライマリーバランス(財政の基礎的収支)を確実に黒字化することを目標とします。そしてその次の第3期の改革で、GDP比で見た債務残高を安定的に引き下げていきます。

 こうした方向に進んでいくという強い意志を国の内外にきちんと示す必要性があると思っています。それができないと、日本は規律を失ってしまう。日本の市場、日本の財政に対する信用度に関わる問題です。

  景気回復では民間の活力が大きかったわけですが、ライブドアや村上ファンドの事件といった、これまでの日本にはない問題も起きました。

  民間は、日本の活力の源泉です。グローバルな競争という観点を基本的に頭に入れておかなければなりません。世界で競争している企業という金の卵を産む鳥を殺してしまっては元も子もない。ただそこには、自由と規律というバランスが重要です。しっかりとした規律の中で、自由に活力を生かしていただくということが、私は望ましいのではないかと思いますね。

  小泉政権では、よく官邸主導という言葉が使われました。そこで大きな役割を果たしたのが経済財政諮問会議です。次期政権で、この会議はどういう位置づけになりますか。

  会議のメンバーをどうするかを別にすれば、今後も位置づけは変わらない。つまり総理・官邸がリーダーシップを持って予算編成の方針を決めていくことになるでしょう。その議論をしていく過程は公開、つまりは透明性の高さが求められます。

 問題は、自民党との対立をどうするか。ことさら、その対立を煽ってはならないと思っています。そこをうまく政治的に解決していけば、諮問会議というものの役割は変えるべきではないと思っています。

アジアとオープンな関係に

  人口減少時代に入り、国としての経済規模の縮小もやむなしとの見方もありますが、どうお考えですか。

  日本は昨年から人口が減少する社会になっています。そこで、現在の経済規模を維持できなくともいいじゃないかといった意見も確かに聞かれます。しかし私は、そうは思いません。日本の社会保障に大きな影響が出てしまうからです。

  断固として成長を維持すると。

  ええ。私は断固として成長路線を取るべきだと思っています。これは不可能ではないのです。成長に向けたキーワードの1つはオープンです。

 アジア各国などとFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の交渉ルールを作っていくことは、とても重要なことです。相手国も開かれていなければならないし、その前に日本もオープンでなくてはなりません。

 日本が人口減少の時代に入ったことで、消費者の数も減っていくと考えがちです。しかし、それは国内だけを見た場合のことです。視点をアジアに広げれば、状況は大きく変わってくる。そう、アジアには中国やインドなど、これから爆発的に人口が増える成長センターがある。アジアの成長を日本の成長に取り込んでいくことは十分に可能なのです。そうすれば市場としての可能性も出てくるし、また有能な人材がどんどん日本に入ってくることにもなります。

  日本の経済成長をアジアの視点で見つめ直そうとする時、問題点はズバリ何ですか。

  今、アジアにおいては、アジア太平洋経済協力会議(APEC)やアジア欧州会議(ASEM)、東アジア首脳会議(サミット)など、国際的な会議が複層的に開かれています。これは決して屋上屋を重ねているのではない。複層的にこうした会議を開くことが、アジアと欧州、太平洋諸国との連携につながっていくものと考えています。

 ここにきてアジア版・経済協力開発機構(OECD)といった構想も出てきています。これは検討に値する。例えば、各国の法制度をさらに整備したり、金融制度の整備を地域で進めていったり。そうした枠組みの中で日本ができることがいくつもあります。

 ただし、アジアを一体的に考えたとしても、欧州連合(EU)とは異なる。GDPの規模に大きな差があるし、政治体制もかなり違います。そうした点を念頭に置きながら、複層的な会議を最大限活用していくことが大切です。

 ヒト、モノ、カネ。これらの移動をできるだけ自由にしていく。それが、各国の利益、そして成長につながり、ひいてはアジア全体の成長となる。そして再び、各国の利益に反映される。そうした共通認識を持ってはいかがでしょうか。

 大切なことは、そこに政治的な意思をなるべく絡めない原則を持つことです。例えば日中関係について、政治と経済の関係がよく出てきます。日本は中国へ輸出し、投資をして大きな利益を上げている。片や中国も日本からの投資によって1000万人以上の雇用が創出されている。日本独自の半製品を中国は輸入して、後加工を施して北米などに輸出して外貨を獲得している。つまり、両国の関係は、もはや切っても切れないものなのです。

 そうした事実を踏まえ、「政治的な目的を達成するために経済面でのハラスメント(嫌がらせ)はしない」との共通認識を持つ。それこそ世界貿易機関(WTO)の精神です。そういう認識と原則があれば、近隣諸国同士で起こりやすい政治問題を必要以上に悪化させずに済ますことができると思います。

  地政学的には北朝鮮という問題がありますが、日中や日米の経済的な関係を考えていくうえで6カ国協議の場をうまく活用するといったアイデアもありませんか。

  6カ国協議を将来、アジアの安全保障を議論する場にしたらどうだろうか。ただまあ、現時点では北朝鮮という問題は残っていますが。あるいはエネルギーに着目してロシア、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、日本という枠組みも考えられるでしょう。金融インフラの整備で日本が協力できる点も多いと思いますし、アジアの通信ネットワークの共通化なども可能性としてはあるでしょう。

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