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好業績に潜む「失速」の不安

薄型テレビの在庫調整で電機関連に赤字・減益も

2006年8月7日(月)

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欧州の量販店でも薄型テレビメーカー各社が競ったが、期待したほどには伸びなかった

 「電機の復活」につい目を奪われがちな各社の2006年度4~6月期(第1四半期)の好決算。だが、目を凝らすと忍び寄る変調の兆しが見える。

 業績を左右する薄型テレビでは、セットメーカーの堅調とは対照的に、パネルや部品・材料メーカーの間に失速懸念が芽生える。市場が拡大する薄型テレビだが、在庫・コスト管理次第では、「売れても儲からない商品」となる時期が予想以上に早く訪れるかもしれない。

 松下電器産業の4~6月期は営業利益が前年同期比41%増の651億円と大幅に伸び、シャープは売上高、営業利益ともに10%以上の成長を遂げた。前年同期は66億円の営業赤字だったソニーも270億円の黒字に転換した。

 「デジタルAV(音響・映像)関連の売上高が前年同期に比べ14%増えた。特に海外市場では薄型テレビが増販を牽引した」。松下の川上徹也副社長がこう話すように、デジタル家電が第1四半期の好業績を引っ張った。

 経営再建中のパイオニアも薄型テレビ市場拡大の恩恵を受けた。4~6月期の連結売上高は1917億円と前年同期比20.4%増、営業利益は71億円と、赤字だった前年同期から160億円の利益改善が進んだ。

 収益向上の最大の要因は「プラズマテレビの価格が予想していたほどには下落せずに済んだ」(石塚肇専務)ことだ。パイオニアは1~3月期に比べて10%強の値下がりを予想していたが、実際には同社のプラズマテレビの価格はほとんど下がらなかったという。

パネル大手は設備投資見直し

 同社は国内市場では苦戦したものの、売上高の約4割ずつを占める北米と欧州で健闘した。他の大手テレビメーカーが力を入れる量販店ではなく、オーディオ専門店の販路を重点的に開拓したことが奏功し、値下げを食い止めた。欧州では2.2倍にも売上高を伸ばし、営業利益の拡大に寄与した。

 一方、「サッカーのワールドカップ(W杯)商戦が期待していたほどには伸びなかった」(大手電機部品メーカー幹部)という声も電機大手や電子部品メーカーなどから上がる。W杯の反動が、収益の源泉である薄型テレビ事業の業績を「失速」させつつあるとも取れるデータも浮かび上がってきた。特に液晶テレビ陣営にその傾向が顕著だ。

 オランダの電機大手フィリップス。AV部門の業績は4~6月期、売上高こそ前年同期比17%増の24億8400万ユーロ(約3650億円)を計上したが、営業利益が約3割減の4500万ユーロ(約66億円)にとどまった。「W杯需要を当て込んだが、供給過剰が発生したため、値下げして在庫を減らさざるを得なくなった」。ピエール・ジャン・シヴィニョンCFO(最高財務責任者)はAV部門の減益要因を説明する。

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 営業黒字に転換したソニーも、実は在庫が大幅に増えている(右グラフ)。エレクトロニクス事業の連結棚卸し資産は、直前の四半期(2006年1~3月)に比べて1418億円も急増し、8076億円となった。在庫回転日数も前年同期比9日増の52日と悪化した。大根田伸行CFOは「(11月に発売予定の次世代ゲーム機)プレイステーション3向けに半導体を作りだめしていることも一因だが、棚卸し資産が増えた最大の要因は薄型テレビだ」と認める。

 パネルメーカーでは変調がさらに際立つ。液晶パネル世界最大手の韓国LGフィリップスLCDは4~6月期、営業損益が3720億ウォン(約445億円)の赤字となり、四半期ベースで過去最悪となる3220億ウォン(約385億円)の最終赤字に転落した。台湾の友達光電(AUO)も連結純利益が直前の四半期に比べ97.3%も下落した。

 両社とも需要の増加やパネルの大型化を見込んで設備の増強計画を立てていたが、見直しを迫られた。LGフィリップスは7月中旬、2006年の液晶パネルへの設備投資額を当初計画から約3割減に下方修正。大型液晶パネルを効率的に生産できる最新鋭の「第8世代」のライン建設を先送りすることを明らかにした。

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「好業績に潜む「失速」の不安」の著者

西頭 恒明

西頭 恒明(にしとう・つねあき)

日経ビジネス副編集長

1989年4月日経BP社入社。「日経イベント」を経て、96年8月「日経ビジネス」編集部に異動。2008年10月日経ビジネス副編集長。2009年1月日経情報ストラテジー編集長。2012年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト