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孤立深めた権限なき責任

社長の電撃辞任が見せたダイエー再生の限界

  • 編集委員 田中 陽,馬場 完治,田中 成省

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2006年8月28日(月)

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 ダイエー社長兼COO(最高執行責任者)の樋口泰行(48歳)が辞意を漏らした8月18日。ダイエーの筆頭株主である丸紅首脳は「慌てた」――。

 それもそのはず。新たな再生の青写真を樋口と一緒に描き始めた矢先のことだったからだ。

 迷走するダイエー。その新たな一幕が加わった今回の辞任劇の根は深い。

 「トップは交代させていただきたい」。実は丸紅は今春、産業再生機構が保有するダイエー株式33.6%のすべてを取得する交渉の中で、会長兼CEO(最高経営責任者)の林文子(60歳)と樋口のダブル退任を再生機構に打診していた。

機構のメンツと丸紅の及び腰

 現場の樋口評は決して悪くなかった。「店長会議などでは即効性を求める指示は出さず、小売りの基本動作を確実に行うよう説いていた。現場を守ってくれる人だった」(ダイエー店長)。

 だが、店舗は予算をなかなか達成できず、儲かる仕組みを確立できない。「改革のスピードが遅い」。丸紅首脳は苛立ちを募らせていった。

 とはいえ林も樋口も第2位株主である投資ファンド、アドバンテッジパートナーズの推薦を受けて、再生機構が再生計画の仕上げまでを託した人物。株式移動後すぐに2人が交代すれば、再生機構主導で進めてきた計画が失敗だったという印象を周囲に与えかねない。これを恐れた再生機構は2人の退任に難色を示した。

 もっとも、新たにメーンのスポンサーとなる丸紅が本気であれば、トップ交代を再生機構にのませることはできたはず。そうしなかったのは、丸紅にも“樋口続投”を望む屈折した事情があったから。そしてここにダイエー問題の根幹、「責任の不在」が見える。

 丸紅は、再生機構が保有する株式を取得することでダイエー株の保有比率が44.6%に達した。そのため社長を送り込むと、ダイエーは丸紅の実質支配子会社と見なされ、連結対象となる可能性が高い。

 日経ビジネス8月21日号の特集「偽りの再生」でも指摘したように、取引金融機関はダイエー向け債権のランクを下げたばかり。連結で8217億円(2006年2月期)もの有利子負債を抱えており、連結子会社化は丸紅自体の信用力に影響を及ぼしかねない。

 事実、丸紅はダイエー再生の新たな事業パートナーを探している。筆頭株主の地位を維持したまま、このパートナーに保有株式の一部を譲渡するなどして持ち株比率を下げれば、連結対象に加えずに済む。パートナーが確定するまでは、樋口で“つなぐ”ことが望ましいわけだ。

 7月28日の再生機構から丸紅へのダイエー株譲渡会見。ここでの「引き続き貢献させていただきたい」(樋口)、「私も同じです」(林)というトップ2人の続投宣言、そして丸紅社長である勝俣宣夫の「引き続きお2人にお願いしたい」という発言の裏には、再生機構のメンツと丸紅の計算があった。

 こう見ると、公の席で続投を宣言した樋口がわずか20日後に、突然社長職を投げ出した理由も浮かび上がる。

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