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船頭多くして再生成り難し

辞任するダイエー樋口社長が語る「小売りの壁」

  • 聞き手 馬場 完治

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2006年9月4日(月)

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 ダイエーの樋口泰行社長(48歳)が突然辞任を表明して2週間余り。筆頭株主となった丸紅は常務執行役員の西見徹氏(58歳)を後任に送り込む。「一定の役割を終えた」という談話以外は沈黙していた樋口社長が「目標に達しなかった以上、けじめは当然」と心境を語った。

 辞意が固まったのは、産業再生機構が保有株を丸紅に売却すると発表した7月28日の1週間ほど前だったでしょうか。再生機構や丸紅、アドバンテッジパートナーズ(AP)関係者には8月に入ってから改めて伝えました。

 記者会見で、丸紅が事業パートナーの話を突然持ち出したことを気にしたとか、私を推薦したAP側の人間がダイエー取締役を退いたことで後ろ盾を失ったとか、いろいろ報じられていますが、何か1つの出来事が引き金になったわけではありません。1つの出来事で進退を決めるべきではないし、そんな単純な問題でもないですから。

 お国のためと引き受けたわけだから、再生機構が売却するまでは社長としての仕事がミッション。再生に貢献したいという気持ちはありました。一方で、矛盾した言い方になりますが、昨年春に引き受けた時から、うまくできるだろうか、どうだろうかと考え続けていました。1年半の間、いろいろな事が積み重なって、今回の判断に行き着いたとしか言えません。

 後任の西見氏について丸紅の勝俣宣夫社長(63歳)は「ダイエーに派遣しても高圧的にならない、温厚な人柄」と言う。ダイエーの現場が丸紅に対して、既にある種の恐怖を感じていることを暗に認めた発言ともとれる。例えば、生鮮食品部門などでダイエーとの取引拡大を狙う丸紅の動きは筆頭株主として当然だが、それがダイエーの現場で新たな軋轢も生んだ。

100店閉めるべきだった

 当初は、小売業を知らない人間に経営を任せてよいのかといった指摘も多かったですが、それは否定しません。しかし、私が来た時のダイエーは正しい情報、例えば「青果売り場がなっていない」という声がお客から寄せられているといった事実が本部にきちんと伝わらない状態だった。小売業を知っている知らないという以前の問題です。正しい声が響き渡る体質に変えていくということでいえば、結構やれたと自分では思っています。

 経営というのは、自分の考え方とか哲学が社員に響き渡るかどうかで結果が大きく変わってきます。小売業の場合は、店舗と本部が離れているので特に心のつながりが必要です。東京の店にいた社員が鹿児島県の店に転勤になった時に、本部の目が届かず、頑張ろうが頑張るまいが誰も見ていないというのでは、急激にモチベーションが下がる。経営者はその逆の状況を作り出さなければいけないんですよ。

 昨年5月の就任後、最初の土日で1日半かけてすべての店舗に電話して一緒に頑張ろうと呼び掛けました。閉鎖予定の店舗も訪れて、一連のリストラの経緯を伝えました。地方の店では30年も勤めてくれていたパートさんもいて、直接「これまでありがとうございました」と言いたかった。こんなことをしたのは私が初めてだったらしいけど、そのおかげで、売り場とのコミュニケーションは格段に良くなったと思いますね。辞任表明後、各地の店長たちから励ましのメールをもらいました。結果的に中途半端な形で辞めることになり、社員に対して大変申し訳ないと思っています。

 再生機構の主導で不採算店の閉鎖、ノンコア事業の売却といった「負の遺産」の処理は進んだかに見える。だが一連のリストラは、金融支援の総額、つまり損失をいくらまで出せるかの「上限」で決まったもの。そこで示された54店舗という閉鎖の規模では不十分という指摘は、今でも根強い。

 個人的には、本当はもっと踏み込んで不採算店を100カ所ぐらい閉めて、もっと深いリストラをしないと、業績回復の浮力が働きにくいと思っていました。閉めて閉めて、放っておいても利益が出るぐらいまで、最初の時点で踏み込むべきだったと。

 とにかく今は、現行の再生計画をしゃにむに続けることです。大株主が丸紅に変わったからといって、現計画を否定したり、悠長に新しい再建計画を作り直したりしている余裕はない。再建は時間との戦いでもあります。

 先ほど言ったようなもう一段のリストラをし、そのために更なる資金が必要ということにでもなれば、ユニクロの柳井さん(正氏、ファーストリテイリング社長)に話をしたかもしれない。ユニクロと提携した「ジーユー」は成果の1つで、ああいうのをもっと手がけたかった。テナント提携のような取り組みを複数店舗の「面」で展開して、総合スーパーの売り場の転換を図っていくべきでしょう。

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