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北朝鮮、核実験へのシナリオ~ワーストケースに備えよ

防衛庁防衛研究所主任研究官・武貞秀士氏インタビュー

2006年9月8日(金)

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 9月9日、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の建国記念日に「核実験が行われるのではないか」との観測がある。わずか2カ月前、7月5日に北朝鮮が行ったミサイル実験は、日本の地政学的リスクと、情報収集・分析力の乏しさを浮き彫りにしたばかりだ。

 当時「北朝鮮はミサイルを必ず発射する」と主張し、的中させた数少ない存在が、防衛庁に所属する北朝鮮ウォッチャー、防衛研究所図書館長・主任研究官の武貞秀士(たけさだ・ひでし)氏だ。氏の持論は、ミサイルと核開発の背景には北朝鮮の緻密なシナリオがあるとするもの。それに基づいて「核実験は遅かれ早かれ必ず行われる」と分析する。

-- 7月の段階では最後まで「北朝鮮はミサイル発射はしない。ブラフだ」という意見が支配的でした。

武貞 北朝鮮、中国、韓国の事情に詳しい人たちが皆、「脅かして譲歩を誘い、体制維持を図る」という金正日の発想からいったら、絶対にミサイルは撃たない」と言っていたわけですよね。ですから、実験が行われた後、「金正日は狂った」という説明になってしまった。

-- もう1つの説明は、金正日の知らないところで軍が暴走して撃ったというものでした。

武貞 私は「北朝鮮がミサイルを撃つ理由16項」というのを、発射の3日前までにいくつかの国際会議で話しました。「彼らのシナリオからすれば、撃たねばならないし、撃つだろう」という話です。

-- その理由は何でしょうか。北朝鮮にすれば、実験を止めた方が実利がある状況でしたよね。

制裁中止よりも価値がある目的とは

武貞 そうです。「核を手放します」「ミサイル実験は行いません」と言ったら、見返りで食糧、重油、制裁中止など、有形無形のいろいろなものをもらえます。それなのに、北はなぜミサイルのテストをし、核を持とうとするのか。

 それは、止めたときの見返りでは補うことのできない、もっと大きなものがあるからです。言い換えると彼らには大きな目標があり、それを実現するためのグランドストラテジーがあるからです。それは統一であり、それもチュチェ(主体)思想による統一です。朝鮮半島有事のとき、米国を核で脅かしながら傍観者にして、自国主導で韓国と一体化を狙う。そのための核戦略なのです。

 統一を目指す戦略に基づいて、大陸間弾道弾を作り、性能確認のためにミサイルの発射ボタンを押した。戦略あってのテストであって、狂気でも、軍の暴走でもない。

-- 率直に申し上げて驚きました。にわかには信じられません。

武貞 北朝鮮は、これまでずっとそのように説明してきました。おかしな言い方ですが、彼らの発言に「嘘」はないんですね。「自主的平和統一を望んでいる」と言ってきました。「平和」というのは、米国と戦争したら勝ち目はありませんから、当然です。「自主的」というのは、「南北だけで、統一を考えれば北朝鮮が主導権を握れる」という意味です。

 「統一をしたい」というのも、毎日のように「労働新聞」に書いてあります。それに対しては「北朝鮮の強がりで、北が主導する朝鮮半島統一はあり得ない」という見方が多いですね。しかし、今のまま行けば私は、現実になると思います。

-- 我が国にとって一番見たくないシナリオですね。しかし、どうやったらそんなことが可能なのでしょう。金正日の統治は失敗して、災害に苦しみ、国力が低下し、治安が相当悪化しているという話も聞きます。第一、米国がそれを許すでしょうか。

米国は手を引きかけている?

武貞 米国の朝鮮半島でのプレゼンスから考えてみましょう。在韓米軍がいる限り、米国は韓国の防衛戦に自動的に巻き込まれるのですが、米国側には、韓国の防衛に対する以前ほどの熱意は見られない。韓国内には、外交と国防で自主性を高めようというムードがここ数年で出てきた。仮に、南主導で朝鮮半島が統一されたとしても「もう統一したから米軍はいらない。出ていってくれ」と言いそうな状況です。それを読んでいる米国は、利用されるときだけ利用されて、用が無くなれば出て行ってほしいとなることはまっぴらだというので、韓国の自主化を推進する方向に転じた。

-- 8月末に、ラムズフェルド米国防長官が「2009年に朝鮮半島の戦時作戦統制権を韓国軍に移譲する」と通達していたと報じられました。韓国は2012年を予定していたとのことですが。

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「北朝鮮、核実験へのシナリオ~ワーストケースに備えよ」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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