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弾ける前に萎む天然ガスバブル

原油高で一躍脚光浴びたが、供給不足に顧客困惑

  • 星 良孝

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2006年9月11日(月)

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 原油高の下で一気に進んだエネルギー多消費企業の天然ガスシフト――。だが、ここにきて頼みのガス会社の供給能力への不安が表面化、かつて起きたことのない珍事が日本列島の様々な所で起きている。

 まず、ここに興味深いデータがある。

 帝国データバンクが倒産企業を対象に行った調査。「燃料高を原因とする」は2005年の29件から今年は7月までに既に53件になった。表面化しづらい廃業はこれをはるかに上回ると見られ、最悪の事態を避けようとする企業は重油からガスへの転換に走った。

東ガスの牙城に食い込む東電

 そうしたトレンドの反動として広がった不安の震源地が、トヨタ自動車をはじめとする大企業が集まる東海北陸地方。右のグラフからも分かるように、この地域のガス販売量の伸びは著しい。2004年以来の原油高で重油の価格が2倍以上に高騰。天然ガスの価格が重油の3分の2程度と相対的に割安になったために、企業はなだれを打つように天然ガスに殺到した。

 ガス会社にとって、原油高に伴うガス需要の拡大は供給を伸ばす絶好の機会のはず。だが、「現在の調達体制では供給し切れない」(東邦ガス)事態が出現。そして今、東邦ガスは顧客に対してガスを新たに供給できないことを詫びて回っている。

 「どうか2010年まで燃料転換を進めることは待ってください。御社の主力工場に今よりも天然ガスを出すことができません」

 東海地方に製造拠点を置く大手金属メーカーの幹部は、重油から天然ガスへの転換を加速させようとした矢先に“お詫び行脚”に遭った。燃料転換の道が閉ざされたこの会社の幹部は、あきれた表情を見せる。

 中国地方を足がかりにガス販売事業の拡大を目論む新日本石油と中国電力の共同出資会社、水島エルエヌジー。同社も天然ガスのあまりにも急激な需要拡大に驚く。「既存顧客に売るので精いっぱい。売り物のガスが全く足りない」(宮崎憲二社長)。

 今や天然ガスの品薄は、来るところまで来た感が強い。日本製紙技術本部の福島義和部長は「ガス会社と契約した天然ガスの購入をいったん取り消してしまうと順番待ちの企業がそばから買っていくので、再び買い増すことが難しくなっている」と言う。

 そこで、供給不安を抱えるガス大手の足元を見透かしたように動き始めたのが東京電力。来年にもタンクローリーを導入、北関東の工業団地などへの広域ガス販売を本格的に始める。従来の販売エリアは、東京湾岸の火力発電所の周囲企業。遠方に攻め入るのは東電でも初めての試みで、既にガス導管の網を関東一帯に張り巡らせる東京ガスに立ち向かうことになる。

 東ガスのLNG(液化天然ガス)販売量は年間900万トン。一方、火力発電向けに1600万トンものLNGを輸入する世界最大級のLNG輸入企業である東電といえども、ガスそのものの販売は70万トンにとどまる。平時ならば東ガスには到底太刀打ちできない。それでも東電が勝機を見いだすのは、天然ガスの需要急増で東ガスが顧客を取り切れず、いわば“おこぼれ”が出ると判断したからだ。

 「電力の供給先でガスも売ってほしいとの要望をたくさん聞く」。東電ガス・カンパニーの天野茂部長は、ライバル会社のお膝元に食い込むことに手応えを感じている。

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