仮想の都市をさまようゲームの世界で、街角に現れた広告看板。果たして、これは仮想なのか、現実なのか。
発売5年目を迎え、いまだに世界中のゲームファンを魅了する「アナーキー・オンライン(anarchy online)」。20の国際的なゲーム賞を獲得した怪物ゲームは、無秩序な世界で戦う主人公を演じる内容となっている。
いかれた科学者、官僚、ロボット…。次々と出現する難敵を倒し、ある街角にやって来た時のこと。荒んだ街路に、突如として巨大な広告看板が現れる。そこには、黒いベールに覆われたクルマと、「TOYOTA」のロゴマークが描かれている。
Massive,Inc.
「クリックして、ベールを剥がして!」
すると、荒れ果てた風景には場違いなピカピカの小型車の広告が出現する。
ゲームの中に現実の宣伝広告を出す――。トヨタ自動車は、米国向け小型戦略車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」を宣伝するため、こんな仕掛けを始めたわけだ。
ヤリスは今春、米国市場に投入されたばかりだが、ガソリン価格の上昇という追い風もあり、好調な売り上げを誇っている。8月末の販売台数は4万4200台に達した。目標だった年間7万台のバーは軽くクリアする見通しだ。
テレビの視聴時間を減らす18〜34歳の男性
「おやじグルマ」のイメージ払拭へ。好調な販売の裏側で、トヨタはこんな新広告によって、これまで広告訴求が難しかった若い世代を取り込もうとしていた。
「ヤリス」の販売価格は1万2000ドル前後で、購買力の低い若者もターゲットに据えていた。しかも、若者を意識して、少し丸みを帯びた“イマ風”のデザインにしている。
価格、デザインともに自信作のヤリス。だが、売れるための最大のハードルは、ブランドイメージだった。「おじさんが乗る車」というイメージの払拭は、トヨタの長年の課題となっている。
ところが、若者世代に向けた効果的な宣伝戦略を、トヨタは見失いかけていた。なぜなら、彼らはテレビを見なくなっているからだ。そこで、トヨタが探し当てた手法が、ゲーム広告だった。
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