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沈黙は金、三菱商事の勝算

王子VS北越、高みの見物で描く「製紙・第3極」

2006年9月12日(火)

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 王子製紙が北越製紙に仕掛けた敵対的TOB(株式公開買い付け)は、北越株主の説得に失敗した王子の敗退で幕を閉じた。市場原理の王子対労使協調の北越――。そんな図式で語られがちな今回の「買収未遂劇」。だが、視点を北越の増資を引き受けることで買収を結果的に阻止した三菱商事の動きに合わせると、全く別の側面が浮かび上がる。救済者の立場を装いながらの「製紙・第3極」への大胆な布石だ。

 7月21日の夕方、王子のファィナンシャルアドバイザーを務める野村証券の担当者がタクシーに乗り込むと携帯電話が鳴った。

 「三菱商事が北越の第三者割当増資を引き受けるそうです」

 担当者は乗ったばかりのタクシーを飛び降り、真意を確認しようと三菱商事に電話した。しかし、返ってきたのは、「申し訳ありません。担当者は本日は退社いたしました」という返事だった。

 王子・野村サイドが無警戒だったわけではない。2年越しでM&A(企業の合併・買収)プランを練ってきた両社は、北越との経営統合を妨げる最大の障壁は「第三者割当増資」と見ており、「引受先の最有力候補は三菱商事」とズバリ予測していた。

増資を巡る攻防で勝負あり

 一方で「三菱商事を翻意させられる」とも思っていた。なぜならば、増資でTOBを妨害すれば、北越株主が手にするはずのプレミアムを奪うことになるからだ。「株主重視を標榜する三菱商事が、そんな市場原理に反する行動をするはずがない」という思い込みがそこにはあった。

 しかし、7月24日、王子側の要望に応える形で実現した王子の鈴木正一郎会長、篠田和久社長と三菱商事の小島順彦社長、井上彪副社長との1時間半に及ぶ会談は物別れに終わった。

 「これは信義の問題。世界中の取引先が見ている中で、北越との契約を反故にすれば、『ああ三菱商事は平気で契約を破棄する会社なんだ』と思われる」(三菱商事幹部)と突っぱねた。

 最終的に王子のTOBの呼びかけへの応募は、発行済み株式数ベースで全体のわずか5.3%。三菱商事は突っぱねた時点からTOBが成立しないという確信を抱いていたフシがある。

 その1つの根拠は北越の株主数。今年3月末時点の売買単位である1単元以上を持つ北越株の株主数は、わずか約4200人。第四銀行や北越銀行といった地元企業などが名を連ねる大株主だけでなく「北越OBなど地元に密着した株主が多い」(三菱商事幹部)ことも、TOBに応じる株主は少ないとの読みにつながった。

 頼まれる形で増資を引き受け、約300億円を投じて北越株の24.4%を取得した三菱商事は、その戦略的な狙いを語ろうとしなかった。不用意に口を開けば、王子の買収を妨害することが狙いの増資と疑いを掛けられ、増資の差し止め訴訟を起こされかねないからだ。とはいえ、ビジネスはビジネス。出資に見合うリターンはしっかり取るつもりだ。

各社の思惑が北越で交錯した

 まずは三菱製紙との製造、販売面での連携だ。北越と三菱製紙は2000~05年に経営統合を視野に資本・業務提携していたこともあり、北越の三輪正明社長も「三菱商事と正式に資本関係ができれば、その向こうには三菱製紙がいる」と明言している。距離が再び縮まることは確実だろう。

 王子が「嫌がらせ」と称した北越株の約9%の取得で第2位株主になった日本製紙グループ本社に対しても、「これまで取引がなかったが、新たな取引先となれば結構なこと」と三菱商事幹部は余裕を見せながら語る。

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「沈黙は金、三菱商事の勝算」の著者

細田 孝宏

細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経ビジネス 副編集長

1995年早稲田大学卒業。日経BPに入社し、日経ビジネス編集に配属される。日経アーキテクチュア編集、日経ビジネス・ニューヨーク支局長などを経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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