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哲学なき企業は去るのみ

稲盛和夫 京セラ名誉会長に聞く

2006年10月2日(月)

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「改革」の小泉政権から、「成長」の安倍新政権へ。国のリーダーの交代とともに、時代は大きな転換点を迎えつつある。国も企業も個人も、一段の高みを目指し、今こそ目覚める時だ。稲盛和夫・京セラ名誉会長に、企業経営のパラダイムシフトを聞いた。

(聞き手は日経ビジネス編集長、井上 裕)


  企業経営のあるべき姿、経営者の生き方を長年にわたって説いてこられた稲盛さんの目には、小泉政権下のこの5年間と新しい時代への節目がどのように映りますか。

  景気が上向いてきて、多くの日本企業が一息ついている。今はそんなところでしょう。ずっと日照りが続き、必死に渇きをしのいでいた草木が、若干の雨に恵まれて息を吹き返しています。でも、雨が降っている時こそ楽をせずに抵抗力をつけておかなくては、次の日照りで今度こそ本当に枯れてしまう。

  景気は底堅くなってきていますが、日本企業にはまだまだ抵抗力が足りないということですか。

京セラ名誉会長 稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
稲盛 和夫(いなもり・かずお)氏
1932年1月、鹿児島市生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミツク(現京セラ)を設立。社長、会長を経て97年に名誉会長就任。2005年に取締役を退き第一線から身を引いた。1984年、第二電電(現KDDI)を設立し会長に就任。2001年からは最高顧問を務める。1984年には私財を投じて稲盛財団を設立、人類社会の進歩に貢献した人物に送られる「京都賞」を創設。経営塾「盛和塾」の塾長として、若手経営者に経営の哲学や手法を伝えている。(写真:福尾 行洋、以下同)

  自然界で生き残るためには、すさまじい闘争心が必要です。でも、闘争心をどこに向かわせるべきなのかで、経営者は勘違いしやすい。対象にすべきなのは、決して競争相手ではないのです。

  10%の利益率があれば、不況で売上高が30%減っても利益は70%残るから、赤字にならなくて済みます。でも、日本では大半の企業が数%の低い利益率のままでひょろひょろと生き延びてきました。この後、また景気が低迷するようなことがあれば、すぐにまた赤字に転落してしまうでしょう。

 日本企業にはもう余分な蓄えはありません。例えば日本の電機業界は、2001年のIT(情報技術)バブル崩壊で大半の企業が赤字に転落し、貸借対照表の資本の部を大幅に傷めました。公的資金によって何とか生き延びた銀行も同じです。戦後、60年をかけてこつこつと積み上げてきた内部留保の多くを、既に失ってしまっています。

 だから、同じ失敗は許されない。必死に戦う力を身につけていない雑草は、次の日照りでは生き延びることなく、枯れ果てていくでしょう。

弱肉強食ではなく適者生存

  日本企業同士のTOB(株式公開買い付け)合戦など、これまでの日本ではあまり見られなかった闘争心むき出しの競争が目立ってきています。

 もちろんビジネスなので、同業者との競争にも勝たなければならない。でもその前に、ジャングルの中ではまず自分自身が必死に生きなくてはならない。相手を殺すために戦うのではなく、自分が生き延びるために戦うのです。

 京セラはずっと高収益を維持しています。「あそこはがめつく儲けている」と言われることも少なくありません。しかし今の高収益体質は、競争相手をなぎ倒して身につけたものではない。お客様に信頼され、支持されてきた証拠であり、生き延びようと必死に努力してきたことの結果なんです。

  相手を叩き潰して自分だけが生き残ろうとしても、生態系が崩れれば自分も枯れてしまうと。

  もはや企業間の競争は「弱肉強食」ではありません。「適者生存」こそ真理です。滅びる企業は競争相手に負けたのではなく、日々刻々と変わっている環境にうまく適応できなかったというだけのことです。

 適者になるためには、歯を食いしばって必死に努力しなければならない。「こんなに日照りが続いたら枯れるのは当たり前」と思ったら終わりです。「これだけ値段が下がったら、もうテレビは儲かるはずがない」と諦める企業と、「それでもうちはテレビで食っていくんだ」と努力をする企業では結果は全然違う。相手がどこであれ、力強い生き方ができない企業はいつかは敗退します。

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