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イランのアザデガン騒動は「省益油田の挫折」

失われたのは経産省の面子、日の丸油田の夢と混同するな

2006年10月11日(水)

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 「日本のエネルギー政策の問題は、すべてアラビア石油の権益延長失敗から発している」

 多くの石油関係者のこの言葉は、多少大げさだが、問題の本質をよく捉えている。

アラビア石油権益喪失から狂い始めた歯車

 サウジアラビアとクウェートにまたがる自主開発原油の雄、カフジ油田の権益をアラビア石油が失ったのは、サウジ側が2000年2月、クウェート側が2003年1月。

 アラビア石油は、もともと「アラビア太郎」と呼ばれた異色の実業家、山下太郎がサウジアラビアに乗り込んで利権を獲得し、財界が音頭を取って設立した民間企業だ。それを4代目の社長から旧通商産業省が天下り先にした。

 カフジの権益延長に失敗する直前の1998年には、やはり通産省の天下り先だった石油公団の1兆円を超す不良資産が発覚し、国会で問題になった。(その後石油公団は清算された)

 ただでさえ、世界的規制緩和の流れの中で、通産省は存在意義を問われていた。

 そうした逆風が吹き荒れる中で持ち込まれたのが、アザデガン油田の開発案件だった。イラン南西部に位置し、推定埋蔵量は最大で260億バレルという巨大油田だ。

 通産省は一も二もなく飛びついた。

飛びついたのは「犬も食わぬ油田」

 ところが、この油田は曲者だった。(1)地層の構造が複雑で、油層も上下数層に分かれており、開発が一筋縄でいかない、(2)ガソリンや灯油の留分が少ない重質原油である、(3)場所がイラクとの国境に近く、油脈がイラクのマジュヌーン油田とつながっている可能性がある、(4)イラン・イラク戦争の際に埋められた地雷が無数にある、(5)イランは外資による石油資源の所有を法律で認めていない、といった数々の難点がある。採算の確保が困難、とシェルもしり込みした「犬も食わぬ」(『選択』2003年8月号)油田だった。

 通産省(2001年1月から経済産業省)は、イランに強いトーメンの支援を受けながら、イラン側と交渉し、2000年11月に、当時のハタミ大統領が来日したときの経済協力案件として、日本に優先交渉権が与えられた。日本側の開発主体には、後に石油公団の職員約70人を引き取ることになる通産省色の濃いインドネシア石油(現・国際石油開発)が予定された。

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「イランのアザデガン騒動は「省益油田の挫折」」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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