「時事深層」

イオン、37年越しの執念

目当てはマルエツ、「関東1兆円連合」に王手

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2006年10月24日(火)

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 ダイエーの店員は、苦笑いして見ているしかなかった。

手薄な首都圏の店舗網の強化がイオンの課題
手薄な首都圏の店舗網の強化がイオンの課題
写真:都築 雅人 以下同

 10月13日、ダイエー南行徳店(千葉県市川市)。午前10時の開店と同時になだれ込んだ女性客らは一斉に、この日、2階にオープンした話題の新ブランド衣料品の売り場に直行した。

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが新たに開発した「ジーユー」だ。ひとしきりジーユーの売り場を見て回った女性客らが次に向かったのは、食品コーナーだった。

 ことごとく素通りされるダイエーの衣料品、日用品売り場。注目の新ブランドの期待度の違いはお客の動きに表れる。お目当てはジーユーであって、ダイエーではなかった。

 8時間後――。

 「ダイエーさんはつぶせない」「検討してみて、やっぱり降りますというのは1000に1つあるかないかの確率」。同日付でダイエーとの業務・資本提携に向けた独占交渉権を得たイオン。決意をのぞかせた豊島正明専務執行役は、最後にこうつけ加えた。

首都圏スーパー最大手のマルエツは240店舗を展開
首都圏スーパー最大手のマルエツは240店舗を展開

 「マルエツさんに、まず、きちんとご挨拶させていただかないと…」

 イオンは丸紅の持つダイエー株の15%分に加え、ダイエーが持つマルエツ株20%を取得する。イオンは丸紅からダイエー支援の独占交渉権を得るに当たり、マルエツ株の取得を条件に挙げた。目当ては当初からマルエツだったことになる。

地元勢と連携、急ピッチ

 食品、日用雑貨品を中心に取り扱うSM(食品スーパー)は、GMS(総合スーパー)事業に比べて利益率が高く投資回収もしやすい。イオンのSM事業は、マックスバリュ北海道、同西日本など地域ごとに子会社が手がけているが、関東圏は本体の管轄。郊外の大型ショッピングモールに力を入れる一方、手堅いSM事業の強化も急ぐ必要があるわけだ。

 そこで、関東地域の独立系スーパーとの業務・資本提携に相次いで動いている。茨城中心に強力な店舗網を持つカスミと提携(33.2%出資)したのは2003年6月。2004年4月に東京地盤のいなげや(15.1%出資)、今年に入って埼玉地域に強いベルク(10%出資)と、ネットワークを急速に拡大してきた。

マルエツは「関東1兆円連合」の中核

 この「関東1兆円スーパー連合」の仕上げが、2007年2月期の予想売上高3250億円と首都圏最大手のマルエツだ。ダイエー系の食品スーパー、グルメシティ関東(旧セイフー)やビッグ・エー、丸紅傘下の東武ストアを合わせると、関東の1都8県で計770店舗、売り上げは1兆円を超える。

 イオンの豊島専務は、ダイエーとの提携について「スケールメリットで仕入れ原価の低減や物流効率化が期待できる」と話す。当然、同じことを「関東1兆円スーパー連合」でも目論んでいないはずがない。

 イオンの、マルエツへのこだわりを読み解くカギは、もう1つある。

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細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経BP社入社後、経済誌「日経ビジネス」を振り出しに、建築誌「日経アーキテクチュア」、日本経済新聞証券部(株式相場担当)で記者活動に従事。「日経ビジネス」では主に自動車、流通、商社などの各業界を担当し、現在、米国特派員として、ニューヨークに駐在している。



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