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知財新時代に備えよ――第2回

巨額の発明対価は欧米が真似できないニッポンの競争力だ

  • 升永 英俊

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2006年10月24日(火)

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■5:技術者の目の色を変えさせる仕組みが必要

 「知的財産の時代」に突入している今日、大手電気メーカー10社の中のトップのシャープですら、2004年3月期の営業利益率は5%でしかない。他方で、知的財産の衣をまとった青色LED(発光ダイオード)のメーカー・日亜化学工業の営業利益率は40%を超えている。

 この事実が示すとおり、知的財産を十分利用することなく、資金を生産手段と労働力に投資することに頼って事業経営をしたのでは、「知的財産の時代」にかなった大きな富、すなわち、超過利益を得ることは不可能である。

 企業が社内で富を生む知的財産を創造するには、技術者に富を生む発明をしようとの動機付けを与える必要がある。それには、技術者の目の色を変えさせるような仕組みが必要である。

 発明者が得る発明の対価の大小は、発明に対する会社の評価を表している。富を生む発明をした発明者を会社が尊重し、発明による超過利益の一部を対価として発明を会社に譲渡するならば、技術者は自らの人生を賭けて会社からより高い評価を受けようと、富を生む発明をしようとするだろう。

発明対価は「コスト」ではなく後払いの「投資」

 少々専門的になるが、ここで超過利益とは次の4つのことを指す。

(1)発明を基にして作られた製品による利益 
    -(通常利益 + 会社が発明を非独占的に使用できる権利の価値)

(2)「会社がライセンシーから得たライセンス料」

(3)「会社が買主たる第3者から得た発明または特許権の売却代金」

(4)「会社が特許侵害者から得た特許侵害の賠償金」

 会社は発明で生まれた超過利益が発生した後、その一部を発明者に後払いすればよい。超過利益が生まれなければ発明対価を支払わなくてよいので、発明の対価が企業経営にとってリスクにはならない。「職務発明に対する多額の対価支払いが経営を圧迫する」というのは誤解にすぎない。経営者は「コスト」から「ノーリスクの投資」への発想の転換が必要である。

 ある大手電機メーカーは、2002年から毎年、約4000億円の研究開発費を投じているがその売上高営業利益率は、2005年度でわずか3%弱でしかない。これは、多額の研究開発投資が物的なものに限り投入される一方、知的財産を創造する人材への配慮が十分でなかったことと無関係と言えるだろうか。発明の対価の額を低額に抑え、物的なものに巨額の投資をすることは、知的財産が富を生む知的財産の時代にマッチした経営だろうか。

 「事業の損失を分担しないサラリーマン(発明者)に利益の一部を分配するなんてとんでもない」という批判がある。しかし、特許法により、職務発明は、使用者ではなく発明者に帰属している。発明者は、無償で職務発明を会社に譲渡しているのであるから、発明に関わる事業の核心部分に、発明に対する権利を「現物出資」する形で投資しているのである。しかも、従業員発明者に分配されるのは、通常利益とは別の、超過利益の一部でしかないことに注意されたい。

■6:日本発のルールで世界をリードせよ

 現在の日本の国家、社会の基本的な仕組み・要素を考えてみてほしい。

 民主主義、選挙、国会、裁判所、三権分立、文民統治(シビリアン・コントロール)、資本主義、株式会社、証券取引所、特許制度、租税法律主義、言論の自由、報道の自由、法の下の平等、独占禁止の理念(独禁法)、インサイダー取引禁止(証取法)…。

 これらの制度・ルールは、現在の日本の国家・社会・産業の中に重要な仕組みとして、組み込まれている。しかしながら、これらはいずれも、明治維新以前、すなわち、奈良時代~江戸時代の日本には全くなかったか、非常に原始的なものだった。すべてが欧米発であり、明治維新後に日本に輸入されたのである。

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