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高校の卒業証書は何を証明するのか?

履修漏れは起こるべくして起きた、高校を追い詰めた「放置」の罪

  • 耳塚 寛明

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2006年10月30日(月)

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 地方の一高校に端を発した高校必履修漏れ問題は瞬く間に全国へ波及し、連日トップニュースの座を独占する事態となった。筆者自身は、10月25日にNHKから取材申し込みがあった時点で「これは氷山の一角だ」と考えていた。

履修漏れは「確信犯」

 必修科目の履修漏れがどんな量的規模で起こっているのか、文科省やマスメディアが現在調査を行っている過程にあるので正確には把握できない。私立高校での調査まで進めば、全国5000高校の多くで“逸脱していた”実態が浮かび上がるだろう。学習指導要領を逸脱した教育課程編成を行ってきた高校が、全国で、また相当規模で存在することが露わになった。一部の特殊な高校の問題ではない。

 現行の高校学習指導要領は、一貫した多様化・弾力化政策の産物であり、ただでさえ個別高等学校の自由度は大きく、生徒にも科目選択の幅が広く認められている。必修科目は卒業に最低限必要な74単位中31単位に過ぎず、しかも複数の科目から選択できる「選択必修」となっている。

 その自由度の大きさにもかかわらず、なぜ指導要領を逸脱し、生徒の卒業要件さえ充足できない教育課程をあえて編成していたのか──。そこには、大学受験に向けて効率的に教育課程を編成しようとする高校側の意図が明白に認められる。確信犯である。

“ゆとり”からの脱皮、“ゆとり”の足かせ

 この問題の背景には、相互に関わる複数の要因がある。

 第1に、教育政策の転換である。新指導要領実施前から高等教育関係者を中心に沸き起こった「学力低下」への懸念が保護者にも共有された。遠山敦子元文科相は「学びのすすめ」を発表し、“ゆとり”から“確かな学力”へと事実上政策を転換した。

 とりわけ進学校は、保護者の期待に応え、生徒の学力を低下させないことを証明する必要があった。それを象徴するのが進学実績である。私立高校との進学実績競争にさらされた地域では、実績を上げなければいけないプレッシャーに拍車がかかった。

 第2に、教育現場の実情である。そうした期待に応えるべき授業時間が、高校には絶対的に不足していた。確かな学力への事実上の路線転換があったとはいえ、高校の教育課程を基本的に縛っているのは、ゆとり教育路線の総決算というべき標準授業時数が相当に縮小された指導要領であり続けているのだ。

 土曜日や長期休業中に補習などを実施する、3学期制を2期制に変えてわずかな授業時間を工面する──。そうした諸々の工夫を実行する地域や学校は多いが、なお完全学校5日制のくびきは大きい。

高校側の選択は必然かつ合理的

 こうした状況の中で、指導要領を逸脱してでも受験目的に特化した効率的なカリキュラムを編成することは、必然的でありかつ合理的な選択肢だったのである。

 大方の私立大学はかねてから2、3教科を受験で求めているに過ぎない。国立大学は5教科6科目以上の受験を大学入試センター試験で求めていることになっているが、後期日程試験や推薦入試などの特別選抜はその限りではない。そもそも私学並みの教科数しか求めない国立大学も現れ出した。

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