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教育現場にもっと自由を!

元河合塾教務本部長の亀井信明氏が学習指導要領の矛盾を斬る

  • 水野 博泰

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2006年11月2日(木)

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高校必修科目の履修漏れ問題が拡大している。公立校だけでなく、私立校での履修漏れの実態が次々と明らかになり、政府は最終的に8万人前後の3年生が該当するという見通しを示している。現時点では生徒の救済策として「補習」の負荷軽減が論じられているが、問題の本質は、文部科学省が定める「学習指導要領」が教育現場の実態から乖離していることにある。そこに踏み込まない限り、発展的な解決にはならない。将来の日本経済を支える人材をどう育てるかという問題でもある。元河合塾教務本部長で、高校の教育現場に精通し、現在教育コンサルタントとして活躍している亀井信明氏に教育現場の視点からの意見を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス編集委員=水野 博泰)

NBO 今回の問題をどのように見ていますか?

亀井 大学進学率が5割、専門学校などを含めれば8割が高校卒業後にさらに高度な教育を受ける時代です。入試科目や問われる資質は千差万別なのです。東京大学みたいに大学入試センター試験を受けたうえに、英語、数学、国語、理系なら理科2科目、文系なら社会2科目が必要という大学がある一方で、1科目入試、AO(アドミッションズ・オフィス入試)ということで何か特技があればいいという大学もある。私大文系なら2科目を選択して受ければいいのに、国公立の医学部では理科だけで3科目が必須というところも出始めています。

教育現場とのギャップ広がる学習指導要領

 そういう中で、文部科学省の学習指導要領が非現実的になっているのです。現場とのギャップがあまりにも大きい。東大を受ける子も、私大文系を受ける子も、一律に同じようにやりなさいというのですから。

 「指導要領は大学受験とは関係ない」と文科省は言うのでしょうが、小泉改革の競争原理が教育現場にまで持ち込まれて進学重点校なるものがいっぱい作られているのです。私立の中高一貫校に負けるなと、公立高校にも進学実績を残すことが求められている。昔は、ケンチバ(県立千葉高校)とか、ウラワ(県立浦和高校)とか、ヒビヤ(都立日比谷高校)なんかが東大合格者数でトップクラスだったじゃないかと。

 ところが、現行教育課程は学校の週5日制を導入しました。授業の時間枠が縮小したのに進学成果を残せと言われ、教育現場にはすさまじいプレッシャーがかかっています。しかも、センター試験の科目負担は増える方向にある。現場は頭を抱えているんです。履修漏れのようなことは多かれ少なかれどんな高校でもやっていますよ。叩けばいくらでも埃が出ます。

必修科目とはいったい何なのか?

 そもそも、必修科目とはいったい何なのでしょうか。例えば「情報」という科目が必修になっていますが、高校生ぐらいになるとコンピューターの扱いは雲泥の差がついています。使える生徒はハッカー並みですが、使えない生徒は全くできない。そんな生徒を1つの教室に押し込んで同じ指導要領で学びなさいと言う方が、よっぽどどうかしていますよ。

 10年ぐらい前からは、男女共同参画の時代だということで男子にも家庭科が必修になりました。少し前に四国の有名受験校で家庭科を履修していないということが叩かれましたが、無理もないんです。東大に受かるために必死になって勉強している生徒に、家庭科が必修になっている。教育現場は矛盾でいっぱいなんです。

NBO 画一的な教育を見直して、生徒一人ひとりの才能を伸ばしていこう、多様化していこうというのが流れなのに、学習指導要領が逆に足を引っ張っていると?

亀井 その通りです。こういうことは、昔からやっていたんですが、現場に余裕があった頃は問題にもならなかった。ところが、“ゆとり教育”、学校5日制の導入、大学側の科目負担を増やす傾向という中で、やらざるを得なくなってしまったのです。

NBO 世界レベルで活躍する優秀な人材をもっと育てなければならないというのにお寒い状況ですね?

亀井 そう思います。文科省の施策は矛盾だらけです。スーパーサイエンスハイスクールとか、スーパーランゲージハイスクールとか、百何十校もの指定校を認めたりしているのに、そんな学校の生徒に対しても、現代社会は必ず何単位履修しなさい、家庭科もやりなさい、保健体育もやりなさいと言っている。

 本当にそんなことで、世界水準の人材を育てることができるのか。多様化とか、高度技術立国とか、グローバル競争というものに対応できるのか。大いに疑問です。抽象的に言えば、教育の国家統制的システムが崩壊しつつあるというのに、その現実に真正面から向き合っていないということが一番の問題です。

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