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セイコー創業家CEOの追放と正論

「脱・技術依存」の警鐘も悪役の解任とともに消え失せるのか?

2006年11月27日(月)

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 「技術立国・ものづくり立国を目指しても日本は生き残れない。いいモノを安く大量に作って輸出するモデルではもうダメなんだ」

 11月16日付でセイコーインスツル(SII)代表取締役会長兼社長代行の職を解任された服部純市氏は、かねてこう主張し、大学で講演したり、雑誌に寄稿したりしていた。

 セイコーグループの中核企業であり、大手電子部品メーカーでもある企業のトップが唱える論としてはいささか過激だったが、自社だけでなく日本の製造業の行く末について論じる姿は間違いなく真摯であり、その主張は傾聴に値するものだった。服部氏の解任によって、その警鐘までもが消え失せてしまうのはあまりにも惜しい。ここに、服部氏の持論をぜひとも書き記しておきたい。

警鐘1 日本経済不振の真の原因はバブル崩壊ではない

 服部氏はこう主張していた。「バブル経済とその崩壊によって、日本経済が停滞した。不良債権問題を解決し、製造業がしっかりすれば日本は再生すると言われている。しかし、これは間違い。実は1970年あたりから日本企業は徐々に儲からなくなっていた。バブルがあろうがなかろうが、日本企業は問題を抱え込んだはずだ」。

 儲からなくなった理由は、日本を牽引していた製造業の不調である。生産性や歩留まりの向上を徹底して追求し、最低のコストで最高の機能と品質を持つ製品を大量生産できるようになり、度重なる円高を乗り越えてきたにもかかわらず、以前ほどの利益を出せなくなった。

警鐘2 生産性の向上だけでは勝ち抜けない

 その典型例として、服部氏は自分が所属している時計産業を挙げた。日本の時計産業はクオーツ技術により、ほとんど時刻が狂わず、止まらない時計を安価かつ大量に作れるようになった。この結果、日本の時計メーカーは、スイスなど欧州のメーカーを蹴散らし、一時は世界一の座を占めた。

 ところが今や、顧客は2万円のクオーツ時計ではなく、数十万円もするスイス製の機械式時計を好んで買う。国内の時計売り上げを見ると、輸入時計の売り上げが国産時計のそれを上回っている。生き残ったスイスの時計メーカーが世界のリーダーに返り咲き、日本の時計メーカーは大量の時計を生産しているものの、作っても作ってもさほど儲からなくなってしまった。

 日本の時計メーカーの栄枯盛衰について、「スイスの時計産業が復興したのは、ブランド戦略の成功であって、日本は技術の競争で負けたわけではない」という解釈が一般的である。しかし、服部氏はそうではないと主張した。クオーツにシフトした結果、日本の時計メーカーは機械式時計を作る技術を失ってしまった。ブランド戦略で負けたのは確かだが、技術でも負けたというのである。

 日本の時計メーカーのクオーツ開発は、NHKの「プロジェクトX」にも取り上げられ、日本の技術者が必死に努力し、世界に先駆けてクオーツ時計を開発、世界の時計市場を席巻した感動物語として放映された。ところが、服部氏は「あの話は真っ赤な嘘」と公言していたのである。

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「セイコー創業家CEOの追放と正論」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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