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「Begin(ビギン)」「LEON(レオン)」など数々の人気雑誌を手がけてきた岸田一郎氏の新たなプロジェクトが始動した。LEONの創刊以降、5年間編集長を務めた岸田氏は今年8月に主婦と生活社を退職、新たに「KI&Company」という出版社を設立した。次なる狙いは「富裕層」。まずは「@zino」というウェブサイトをオープンし、来年3月には月刊の新雑誌「zino」を創刊する。
新媒体創刊の狙いは何か。ウェブをどう効果的に使うのか。広告主や広告代理店などの関係者を招待して、新媒体創刊のレセプション・パーティーを六本木ヒルズで開催した30日、岸田社長に話を聞いた。
(聞き手は日経ビジネス 井上 理)
―― 『LEON』のキャッチフレーズは「ちょいワルオヤジ」でした。新媒体『zino』のキャッチフレーズは。
「脱・タダのお金持ち」。単なるお金持ちじゃなくて、女性にモテるお金持ちになりましょうというコンセプトで、キャッチフレーズの一つは「リッチーノ」です。漢字で「洒落金男」と書いてリッチーノと読ませる。女性は「リッチーナ」。逆に野暮なお金持ちのことを「野暮金男」と書いて「ヤボーノ」と。
以前の「ちょいワル」は卒業です。時代が変わっていくのだから、言葉も古くしていかないと。我々はトレンドのクリエーターだからね。「紺のスーツがいいですよ」と言って、それが永久定番と決めちゃうと、トレンドって回っていかないでしょう。
―― 読者ターゲットのイメージは。
『LEON』がだいたい年収1500万円ぐらいの、小金を持っている「よこしまオヤジ」向けだったんだけど、『LEON』をやってみて、それ以上の富裕層がいるなと分かった。年収で言うと2000万円から数億円の、言い換えれば大金持ちの「よこしまオヤジ」向けです。だから闇雲に読者を増やす数頼みのメディアではありません。
―― 『LEON』は10万部くらいでした。
『LEON』は10万部の書店搬入で完売とはいえ、実質は8万そこらじゃないかな。今回は5万部くらいでしょうね。読者の絶対数ではなく、質で勝負する。質って何かというと、経済力とラグジュアリー商品に対する購買意欲が旺盛な人。彼らを囲い込んで、いかに影響力を及ぼすかが勝負ですよね。
お金持ちは待ってくれない
―― 今度は雑誌だけではなく、ウェブとの2本立て。その狙いは。
『LEON』を創刊から5年やったんですけど、ほかのメディアがどんどん発達している中で、雑誌の限界を感じたんです。例えば、『LEON』に広告を出すと物が売れるという状況を戦略的に作ると、逆に読者にとって不便な状況も生まれてしまう。
土日に編集部員が出ていますよね。「何ページに出ていたこの商品を今すぐに欲しい。どこにありますか」と読者から電話がかかってくるわけですよ。「それは後ろの店名リストに書いてあります。そこにお電話ください」と言うと、「いや、電話はしているんだけれども、土日で休みなんですよ」と。それは東京であれば教えてあげるよ、「青山のどこにありますから」と。ところが岡山のどこで、このブランドが買えるのかまでは分かりません。インターネットがあれば、岡山のどこで売っているのかまで紹介することができる。
我々が売っているのはラグジュアリー商品なわけですよ。例えば彼らが時計を買う時というのは、時計がないから買うのではない。もう我々の読者は30個、50個の時計を持っている。そうじゃなくて、時計のページを読んでワクワクして、この時計を俺がつけると格好よくなるだろうと思って、すぐに欲しくなる。
そうすると、月曜日まで待ってくれないんですよ。土日の間にいろいろな誘惑がいっぱいあって、時計は買えないから忘れちゃう。それで、他に気になっていたこれを買っちゃおうとか、愛人とハワイに行っちゃおうか、とかになるわけです。そういうジャンルなんですよ、ラグジュアリー商品の特性というのは。
―― 機会損失を防ぐためにウェブを有効活用すると。
もう1つあって、僕がやってきた雑誌のビジネスは、僕のところに「おかげさまで紹介していただいた商品が完売しました」と広告主さんから電話があって、「来期も広告を入れさせていただきます」と、そんなビジネスなんです。でも、誰が100人買ってくれたのかというデータが何もないわけですよ。だから、この2つの例だけをとってみても、やっぱり紙メディアの限界があるんじゃないかなと思って。
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