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日本的経営は解体の最終局面へ

「残業代11.6兆円が消失」と試算した牧野・日大経済学部長が斬る

  • 水野 博泰

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2006年12月5日(火)

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 本コラムで12月1日に掲載した「残業代11.6兆円が消失する?! 国民的議論にならないまま着々と進む労働法制の大改革」には、読者から大きな反響が寄せられた。現在進められている労働法制改革を巡る議論の末に導入されるという“ホワイトカラー・エグゼンプション制度”。最大で「11.6兆円」に相当する残業代が消失すると試算した日本大学経済学部長の牧野富夫氏に、問題の核心を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス編集委員=水野 博泰)

日本大学経済学部の牧野富夫学部長
日本大学経済学部の牧野富夫学部長

NBO そもそも、なぜ今、労働法制の改革が議論されているのですか?

牧野 労働法制というのは、労働者を保護するための仕組みとして整備されてきました。「労」と「使」が向き合えば、当然「使」の方が強いからです。

 遡れば、1900年代に入った頃から、労働時間の上限や最低賃金、安全衛生面での規制を設けるなどして、国が介入して様々なブレーキをかけて労働者を守ったわけです。それは労働者が可哀想だとか、権利を守れという要素だけではなくて、労働力をきちんと再生産していかないと企業活動そのものが成り立たないということだった。日本では、特に戦後に労働法制の充実が図られたのです。

「高コスト構造」の是正とは、人件費の削減にほかならない

 ところが70年代の半ばあたりから、いわゆる「新自由主義」が台頭。とにかく、すべてを競争に任せておけばいいという考え方が広まっていく中で、労働分野でもそういう議論が出てくるようになった。国際的な流れとして、労働者を守る規制、労働者保護政策に対する見直しがずっと進んでいたのです。

 日本では、90年代の半ばあたりからそうした動きが顕在化していますよね。これまでとはがらっと違う労働環境が作り出されてきている。その背景には、グローバリゼーションや長期不況の中で、日本が国際競争力を維持・向上するという課題があった。経済界がしょっちゅう言ってきたのは、「高コスト構造」です。それは、ずばり人件費のことを意識した言い回しだったわけです。

NBO その方法としては?

牧野 賃金そのものを抑制することと雇用そのものに踏み込んでいくという2つがありました。正規雇用者(正社員)を非正規に置き換えていくことが人件費抑制には大きな効果があったので、今、大流行しているわけです。

 95年に当時の日経連(日本経営者団体連盟、現日本経済団体連合会)が、「新時代の日本的経営」という歴史的な報告書を出しました。雇用形態の多様化という考え方を打ち出して、第1のコースでは正社員を残すけれども、第2のコースとして契約社員、第3のコースではパートタイマーとか派遣社員、超短期の契約社員というものを作っていくと。

 その後、財界のポリシーが企業の現場にどんどん導入され始めたのです。それと並行して、労働法制、派遣法といった法的な問題が議論され、実際には日経連戦略に呼応する形で労働分野の規制緩和が推進されてきました。

「新日本的経営」などというものはどこにもない!

NBO 「労働ビッグバン」などとも言われています。

牧野 マスコミもそういう言葉に乗っかっていますね。ただし、使用者側と労働者側では見え方が全く違います。労働者の視点に立てば、労働者保護の観点から使用者を縛ってきたルールがどんどん削られている。雇用、賃金、労働を巡る舞台装置をガラッとひっくり返すようなことが、今、行われているわけです。

 経済界は、「日本的経営」を「新日本的経営」に変えるなんてことを言い始めた。学会でもそういうことを言う者がいた。僕はね、みんなに噛みついたんですよ。日本的経営は連続性を保ちながら刷新されているのではなくて、質的に全く異なる別物に変わろうとしているじゃないかと。「新日本的経営」ではなく、「X(エックス)的経営」だと。「X」のところは誰か好きなようにつけてくれとね。

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