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「成熟債権国」へ備え見えず

再び金融課税一体化見送り、証券税制論議の死角

  • 編集委員 田村 賢司 , 大豆生田 崇志

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2006年12月13日(水)

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 株価の行方にも影響を及ぼしかねない証券税制の議論が大詰めを迎えてきた。2007年度税制改革を検討してきた政府税制調査会は、株式譲渡益と配当にかかる税率を本来の半分の10%に抑えている現行の軽減税率の廃止を安倍晋三首相への税制改正答申に盛り込んだが、自民党税制調査会(津島雄二会長)は廃止に反対の構え。議論は12月半ばに予定されている2007年度税制改正大綱取りまとめぎりぎりまでもつれそうだ。

 軽減税率の取り扱いとともに、日本経済の活性化につながる重要課題とされてきた「金融所得課税の一体化」は事実上、先送りとなる見通し。政府税調会長の本間正明氏自身がかつて政府税調の金融小委員会の委員長として検討して以来、約10年にわたって浮かんでは消えてきたテーマだが、今回も議論は本格化しないまま終わりそうだ。

税軽減論とともに尻すぼみ

 証券取引の軽減税率はIT(情報技術)バブル崩壊後の景気低迷と株価急落が深刻となった2003年1月に導入され、5年間に限り、株式を売却した際の利益にかかる20%の税率を半分の10%に抑えるという思い切ったものだった。同4月からは株式の配当も、支払時に天引きする源泉徴収で本来、20%の課税を10%に軽減した。さらに翌年には株式投資信託の分配金の税率も従来の20%から10%に下げた。

 狙いは、個人投資家の負担を軽減して株価のてこ入れを図ることだったが、日経平均株価は2003年4月の7800円割れから今年4月には1万7563円まで大幅上昇。個人投資家を優遇する窮余の策は市場対策の一翼を担い、功を奏した形となった。

 政府税調が軽減税率について役割を終えたと見て、「本来の20%に戻すべきだ」としたのはこのためだ。全委員が参加する会合では「軽減税率廃止についての議論はあまりなく、すんなり決まった」(ある委員)と言う。

 これに対し、自民党税調は“反発”を強めているようだ。ある関係者は「政府税調が方針を打ち出せば打ち出すほど、党税調の反発は強くなっている」と言い、「来年夏の参院選前に税の負担増は求めにくいという思惑とともに、『株価が回復し切っていない今はまだ時期尚早』との声が大きくなっている」と打ち明ける。

 だが、この軽減税率存廃の議論とともに、もう1つ重要な課題もしぼんでいった。「金融所得課税の一体化」である。株式譲渡益などへの税の軽減が、株価てこ入れのカンフル剤だとすれば、金融所得課税の一体化は金融商品間の資金移動の壁をなくし、個人マネーの流れを円滑にする本格的な治療薬のはずだったが、“服用”に至る可能性は低くなっている。

 金融所得課税の一体化とは、株式の売買などによる譲渡益や配当、さらには預貯金の利子、生命保険の満期保険金、割引債の償還差益といった金融資産から発生する所得に対する税率や、課税の仕方を揃えることだ。

 例えば、株式の売買で利益を上げた場合、前述のように現在は、その10%を確定申告で納税する申告分離課税(証券会社の特定口座を使う場合は申告不要可)となっており、配当も同じく源泉徴収で10%の税率だ。一方、預貯金の利子は受け取る段階で税額が源泉徴収され、申告の必要がない源泉分離課税で税率は20%。割引債(一部)の償還差益や年金は雑所得扱いで、ほかの所得と損益通算できない分離課税。生保の満期金は一時所得で、半分をほかの所得と合算して税率が決まるが、期間5年以内の一時払い養老保険などは20%の源泉分離課税だ。

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牛島 信 弁護士