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「日韓米液晶戦争」が勃発?

液晶カルテル疑惑は濡れ衣と古参ジャーナリストが斬る

  • 水野 博泰

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2006年12月14日(木)

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突如として浮上した感のある日韓メーカーの液晶カルテル疑惑。真相究明は今後の調査に委ねられる。事実ならば成長市場に水を差す由々しき問題だが、半導体やディスプレー分野を長くウオッチしてきた半導体産業新聞の泉谷渉編集長は、「全くの濡れ衣」と断言。背景に巨大市場を巡る米国の思惑が見え隠れしていると分析する。(聞き手は、日経ビジネス編集委員=水野 博泰)

半導体産業新聞編集長の泉谷渉氏

NBO 今回の液晶カルテル疑惑は、日米韓の司法当局が連携している形を取っていますが、米国が日韓のメーカーを狙い打ちにしたように見えます。しかも唐突感がある。背景には何があるのでしょうか?

泉谷 この件の背景を理解してもらうためには、少し遠回りして説明しなければなりません。

 ディスプレーとか半導体というのは日本の基幹産業です。ところが、一般的な論調はすごく悲観的ですよね。日本の半導体はダメ、エレクトロニクスもダメ、デジタル家電もダメ、システムLSI(大規模集積回路)もダメと。大手マスコミもこぞって日本がダメと書いてるじゃないですか。

日本のハイテク産業復権が米国の癇に障った

 しかし、実態は違う。半導体を見てください。世界市場の成長率は今年8.6%です。ところが我々の最近の集計では日本メーカーの成長率は15.4%なんです。世界平均を5ポイント以上も上回っている。成長率がですよ。

 一方で、世界最大手の米インテルはあろうことか11%ものマイナス成長です。かつてなかったことです。これには2つの理由があって、1つは米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)というライバル会社に猛追されていること。もう1つは、やはりパソコンという市場が成熟期を迎えてサチっているためです。MPU(超小型演算処理装置)が主力のインテルは追い詰められている。

 日本メーカーは状況が全く違うんです。DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)はエルピーダメモリ、NAND型フラッシュメモリーは東芝、液晶はシャープ、プラズマは松下電器産業というように「選択と集中」を進めてきた。弱いものを捨て、強いところを伸ばすことによって、這い上がってきている。

 かつて、1986年に「日米半導体協定」というものが締結されました。日本人の多くが平気な顔をしていますけど、あんなものはGATT(関税貿易一般協定)違反の暴挙ですよ。いいですか、民間企業が自由競争している分野にもかかわらず「日本市場における外国系半導体シェアを20%以上にせよ」なんてことを、日本と米国の2国間で決めてしまったんです。前代未聞の国際ルール違反でした。あの時、ヨーロッパは烈火のごとく怒っていた。なぜ、日本とアメリカだけで勝手に半導体協定を結ぶんだと。GATT違反で訴えてやるとまで言っていた。

 当時は、日本の半導体メーカーが世界のシェアを席巻していました。53%ぐらい取っていましたからね。それに対するアメリカの政治的な“叩き”だったことは明らかです。協定によって、日本における外国製半導体の比率は20%どころか30%ぐらいまで上がりました。アメリカの思い通りになったわけです。

 じゃあ、日本の半導体は沈んでしまったかというと、データをよく見ていくとそうでもないんです。半導体産業を見るための要素としては、生産と消費、設備投資の3点があります。生産の世界シェアは80年代に53%だったのが今20%ぐらいですから、確かに日本の半導体生産は落ちた。これは間違いない。アメリカは相変わらず40%近いシェアでダントツの1位です。

 一方、半導体の消費、つまり使う、購入するというのを金額で見るとどうかと言えば、日本は3年連続で世界トップなんです。つまり、世界で最も多く半導体を買う国であり、半導体を使う国なんです。

“ウィンテル”の栄華よ、もう一度?

NBO 購入した半導体をどこで使っているかと言えば…。

泉谷 お分かりでしょう、デジタル家電とクルマです。日本が強い分野に半導体がいっぱい使われている。

 設備投資額についても、日本は4年連続で世界トップです。しかも、生産も今年後半から一気に上がってきて、世界平均を5ポイント以上も上回っている。要するに日本の半導体が復権してきているんです。アメリカにとっては面白くない。

NBO 米国にとって日本の半導体が再び脅威になっていると?

泉谷 そうです。もう死んだと思っていたのに、また“ゾンビ”のように生き返ってきたってね。だって、投資は4年連続トップ、消費は3年連続トップ、生産もこの下半期から盛り返してきている。そういうデータだけを見ていくと、アメリカにとっては「嫌だな」という感じがある。

NBO 半導体はハイテク産業の根っこのところですからね。

泉谷 アメリカは今でも強烈にそう考えています。例えば、NANDフラッシュメモリーという戦略商品がある。近い将来、DRAMに並んでくる。すぐに3兆円、4兆円というどでかい市場に成長します。メモリーカードの形で、デジタルカメラや携帯電話、iPodに入ってくる。来年はハードディスクの代替としてパソコンにも入ってくる超戦略商品なんですよ。

 ところが、これは韓国のサムスン電子がダントツのトップで、東芝がかなり追い上げている状況。そこに、インテルと米マイクロン・テクノロジーが手を組んで強引に割って入ってきた。明らかに米国勢として、韓国と日本にNANDフラッシュというどでかい市場を取られたらどうなるかということを考えてのことです。

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