三菱UFJフィナンシャル・グループが、松井証券との業務提携を検討中であることが本誌取材で分かった。将来の資本提携も視野に議論を詰めている模様。メガバンク最大手とインターネット専業証券の先駆者が手を結べば、業態を越えた金融再編ムードに火をつける可能性もある。
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「(松井証券との話は)数ある提携、出資話の1つ」と三菱東京UFJ銀行の首脳は松井証券との提携、出資に向けた検討が銀行内部で進んでいることを認める。双方の顧客基盤を利用し合うなど様々な提携形態を模索しているようだ。「ただ相手方はサラリーマン社長ではないし“個性的な方”ですから交渉がすんなり進むかどうか…」(同)としており、慎重に詳細を固め、松井証券に正式に打診する。
カブコムの掌握難しく
実はこの構想には伏線がある。2006年初め頃、両者のトップクラス同士が、「お互いに協力し合えることがあれば」と意気投合し、具体的な話はその下の幹部クラスの話し合いに委ねられた。しかし、松井証券側には疑心暗鬼が広がり始める。話し合いに参加した松井証券関係者の1人は、「三菱UFJには(グループで3割ほど出資する)カブドットコム証券があるのになぜウチとの関係強化を目指すのか、狙いが見えづらかった」と打ち明ける。
別の三菱UFJグループ幹部が内情を吐露する。「三菱UFJが進めるリテール(個人向け)戦略に沿う形でカブドットコムが動いているとは言い難い。いつまでも三菱UFJグループにとどまる保証もない。離脱ともなれば松井証券の重要性はグッと増す」。
三菱UFJがここへきて松井証券との提携を急ぐ背景にはグループ成長の牽引役たるリテールビジネスの先行き不透明感がある。
いわゆる“グレーゾーン金利”問題の余波で、UFJニコスやアコムなどは業績の大幅な下方修正を迫られた。金融商品取引法の施行により、投資信託などリスク性の金融商品は慎重な販売を求められる。思ったほど金利が上がらない状況もマイナス要因だ。三菱UFJが投資家向け説明会で配った資料ではリテール事業につき「戦略的アライアンスを積極展開」と明記し、事態打開の意向を隠そうとしない。
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