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【新春特別対談】歴史に探る国と企業の盛衰の理

[日産自動車・仏ルノー社長]カルロス・ゴーン氏×[作家]塩野 七生氏

  • 宮東 治彦

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2006年12月27日(水)

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 世界的に競争が激しい自動車産業において、日産自動車と仏ルノーを率いるカルロス・ゴーン社長。海外を駆け回る経営者でありながら、歴史が大好きで、高校時代は「歴史の先生を志した」という一面を持つ。

 一方、ローマ史における数々のリーダーと国家の隆盛・衰退を研究、15年かけて『ローマ人の物語』(新潮社、全15巻)を2006年12月に完成させた作家の塩野七生氏。同著は「経営者、必読の書」とされるほど組織運営への示唆に富む。

 ともに欧州と日本などで活躍する2人が東京都内で初めて顔を合わせ、歴史を通して見るあるべきリーダー像から、国家や企業の盛衰の理まで語り合った。


 塩野 私は歴史上のVIP(最重要人物)には慣れているのですけれども、まだ生きていらっしゃるVIPには慣れていないので(笑)。緊張しています。

カルロス・ゴーン氏 (写真:村田 和聡)
カルロス・ゴーン氏 (写真:村田 和聡)

 ゴーン 歴史がご専門の塩野さんに比べますと、私こそ一読者に過ぎません。ただ歴史の本は大好きで、いろいろなことを学んでいます。塩野さんの著作『コンスタンティノープルの陥落』(新潮社、英訳はVertical刊。15世紀にオスマン帝国が東ローマ帝国を滅亡させることを描いた)も拝読しました。陥落の理由は興味深いですね。

 私は、最終的に都市が崩壊するのは対外的な脅威があったからではないと思います。恐らく、滅びるのは内部の問題があったからではないか。結局のところ、ビジョンを失い、戦う意欲を失っていたからではないでしょうか。人間で言えば110歳まで生きていて、もうこれ以上生きる活力がなくなってしまうから崩壊するのだと思います。

 塩野 人にも命がありますけれど、国にも民族にも企業にも命というものがあって、それが尽きると死ぬんです。日産も例外ではないですよ(笑)。

ローマ史は企業に通じる

 ゴーン 誰も永続的に生きることはできませんから、いつかは死ぬでしょう。何らかの「事故」に遭うことはあると思います。ただ、私が申し上げたいのは、国家や文明、あるいは文化が滅びるのは事故で偶然に死んだとか、敵が来たから死んだのではないと思います。もう生きる意欲がない、エネルギーがないから死んでしまうのではないでしょうか。

 ローマ帝国の歴史には、当社の経営にとっても興味深い内容があると思います。私自身、興味を引かれるのは、ローマ(伝承によるとローマ建国は紀元前753年。1453年に東ローマ帝国滅亡)を日産に照らしてみると、最高の皇帝は、イタリア本国出身ではなかった点です。

塩野 七生氏 (写真:村田 和聡)
塩野 七生氏 (写真:村田 和聡)

 塩野 トライアヌス(初の属州出身の皇帝で、98~117年まで統治。五賢帝の1人)のことですか?

 ゴーン そう。トライアヌス。彼はイタリア人ではありませんが、それでも最高の皇帝の1人と言えるでしょう。つまり、文化が混ざり合った土地で、トップに立つ人物は、その国の出身ではないかもしれない。どこの出身であれ、スキルや実力があればトップになれる可能性はあるんです。

 2つ目に興味深いことは、(初期段階で)ローマがカルタゴに敗北したことです(紀元前3世紀のポエニ戦争)。その後、ローマはスキピオ・アフリカヌスをリーダーとして戦い、今度は勝利した。私どもの経営に照らし合わせても同様のことが言えます。脅威にさらされた時が、実は最大のチャンスということです。

 自分自身の経営がうまくいっている時もあれば、危機に陥る時もありますが、自分の能力やスキルが発揮されるのはむしろ脅威にさらされた時です。組織が再び活性化されるのです。

外部からの抜擢で繁栄が続く

 塩野 ただし、巻き返しができたのはまだ民族が若かったからでしょうね。ローマ末期の4世紀や5世紀になると脅威を逆手に使って、自分たちの力を元に戻すことはできなかった。

 しかし、ローマは確かに何度も危機にさらされながら、その都度、危機を克服する歴史を持っている。ローマは多民族であり、衰えないように常に新しい血を導入していったわけです。

 最初のうちは、古代ローマの皇帝もローマ市生まれでした。ネロ皇帝(在位54~68年)まではローマ市生まれです。それからヴェスパシアヌス(69~79年)や、ティトゥス(79~81年)の時代になると、今度は皇帝たちはイタリア半島生まれになります。

 それからトライアヌスやハドリアヌス(117~138年)やマルクス・アウレリウス(161~180年)の時代になりますと、今度は属州スペイン生まれの皇帝が出てきます。

 さらにシリア生まれの皇帝も出てきますし、コンスタンティヌス大帝は今のバルカンの生まれです。だから、ゴーンさんがおっしゃるようにローマには、いろいろほかの人間を受け入れる土壌がある、というわけです。

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