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2007年を斬る:北朝鮮に起死回生策アリ(後編)

6カ国協議は停滞、プルトニウム型放棄は核放棄に非ず

2007年1月17日(水)

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 この夏に北朝鮮と韓国との間で、南北首脳会談が行われる可能性を指摘する武貞秀士・防衛省防衛研究所主任研究官。一方で6カ国協議は暗礁に乗り上げると予測する。その理由と、北の核開発の今後について見通しを聞いた。(聞き手は日経ビジネスオンライン副編集長=山中 浩之)


前編から読む

NBO 前回、この夏に南北首脳会談が行われるのではないかというお話を伺いました。仮説に仮説を重ねてしまいますが、だとしたら、6カ国協議はどうなるでしょう。

武貞 ここまでの読みが正しいとしたら、6カ国協議は、北が首脳会談に向けての雰囲気づくりをしていることと関連があるということになる。6カ国協議が続いているかぎり、国際社会は外交的努力で核問題を解決する流れにあると思うでしょう。米朝の協議も同様です。そのムードが続いていれば、南北は首脳会談の開催が決まったと発表しやすい。

6カ国協議はどうなるか

NBO すると6カ国協議は、「米国や、国際社会がいくら絡んでもうまくいかない」ということになりますか。

武貞 6カ国協議が膠着状態であり、かつ続いているという状態であることで、南北首脳会談への注目度が増す。そこに「核兵器開発問題で、北朝鮮が韓国に譲歩した」という展開になると、ニュースのインパクトが大きくなる。

 そもそも6カ国協議は、物別れになりましたけど、北が一番儲けちゃいましたよね。

NBO あれはそう取るべきなんですか。

武貞 中国に対して6カ国協議再開の提案をして、中国、米国と調整をして、「金融制裁停止」の一本槍で通すパフォーマンスをしたことまで、すべて北朝鮮の作戦勝ち。

NBO なぜです?

武貞 要するに、北京での会議では核問題の議論ができないまま終了して、米朝協議に期待が高まっている。米朝直接協議を提案してきたのは北朝鮮です。米朝協議で、金融制裁中止と韓国への米国の軍事コミットメントを低下させるための要求を米国に突きつけるためです。そのための米朝協議をやろうという考えです。米朝協議が続くために、6カ国協議は膠着状態のままになり、時間が過ぎていく。その間北は核問題に関して、何の義務も課されないままでいられます。

 時間が経つことで困るのは、北の弾道弾の射程内にある日本と、大量破壊兵器拡散防止を進めたい米国です。米国はイランの核開発問題、イラク情勢をにらみつつ、北朝鮮から外部に流れ出る核兵器、核技術、ミサイル技術が心配。時間が経てば拡散してしまう。北は時間があるほど核開発が続けられます。

NBO 北の経済がじり貧になるので、時間は北に不利に作用しているというのは。

武貞 むしろ時間が経てば、問題意識が風化して、対ロシア債務返済の免除、韓国からの経済支援、中国の北の地下資源への投資などがやりやすくなる、という見方もあります。

中国・韓国・ロシアはどう動く

NBO 核実験後、中国・韓国も態度を硬化させたとする報道が目立ちましたが。

武貞 核実験の後の10月、中国の北への原油輸出は前年同月比で87%余りも増加した。中朝間の貿易量は増える方向にある。そこに政治的意味があるのかどうかは不明ですが、核実験をしたからといって、中国、韓国、ロシアが北への経済支援、貿易を自粛したことはない。

 むしろ、「そのような北だから、経済的な動機を与えるために支援を加速しよう」という見方が目立ちます。韓国は太陽政策を続ける方針で、その方針を堅持する人が統一省長官になった。南北協力基金を減らすことはしない。中国は、長期的な50年計画で北の東北部にある茂山(ムサン)の鉄鉱石を開発するため、吉林省の会社が14億ドルを投資する契約に署名している。

 中国が対北経済制裁で米国と完全一致しているかと言えば、必ずしもそうじゃない。むしろ、船舶検査は米国、日本が実施する話で、中国と関係ないという感じです。中国には「6カ国協議が続いている間は、制裁という話じゃないはずだ」という姿勢が目立ち始めている。

 実は、北が中国に対して、6カ国協議再開のための調整を依頼したのは核実験の2日後です。調整役を快諾した中国は、米国との間で協議再開のための労を厭わなかった。そして、昨年10月末に6カ国協議再開の発表となった。

 中国には「6カ国協議を再開すれば、制裁を論議する流れは、外交的解決のありかたを論議する流れに変わる」という読みが早くからあったのです。北も北で、「6カ国協議から退場さえしなければ、中国は米国と一緒になって北への制裁をするわけにはいかないだろう」と計算していた。

 6カ国協議は、そもそも当初から北が「米国の軍事オプションへの楯」として考えていたフシがある。中国、韓国、北にとっては、北朝鮮問題を軍事問題から外交問題に転換させるための舞台作りという感があった。6カ国協議が継続して、査察、制裁、検証などの話が出ないまま、時間が経過することについて、「困る」と思う日本と米国、それほど困らないと思う4カ国の間には、温度差があると言わざるを得ない。

NBO 中国の北政策はそんなに米国や日本と違うのでしょうか。

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「2007年を斬る:北朝鮮に起死回生策アリ(後編)」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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