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2007年を斬る: 米国保守政治は歴史的転換点に

米国の後を追ってきた日本はその教訓から学べるか?

  • 竹中 正治

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2007年1月19日(金)

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 2006年11月の米国中間選挙で共和党は、民主党に上下両院の多数派を奪還されて大敗した(参考記事:「米国保守層はどこに向かうのか?」)。2008年の大統領選挙が次の焦点となり、2007年はそれに向けて主要な政治、経済政策の争点が浮上する年となる。

 共和党の大敗をもたらした米国保守政治の求心力低下は恐らく一時的な傾向ではない。ブッシュ政権は任期2年を残すものの、その歴史的な位置づけはおおむね見えてきた。同政権は1970年代後半以降に興隆した米国保守政治の頂点と同時に後退の始まりとなる可能性が高い。

 イラク問題に代表されるネオコン政策の失敗に加え、経済成長の成果が上位“ひとつまみ”の国民にしか還元されない経済成長パターンが長期にわたって続いた結果、過去30年間にわたり右に向かって振れた米国の政治・経済の振り子は重大な調整局面を迎えようとしている。

イラク問題に加え内政問題での揺り戻しが必定

 2007年の米国政治の主要争点は2つある。

 1つは言うまでもなくイラク問題をどのように収拾するかである。今後起こり得るシナリオは2つに大別できる。

(1)イラクで治安維持と政権の正統性の確立に成功し、米軍が成功裏に撤退できる

(2)不首尾のまま米軍は撤退し、イラクはクルド人の独立、シーア派とスンニ派の内戦で旧ユーゴスラビアのような分断国家となる

 (1)の可能性はますます低下している。年頭にブッシュ大統領はイラクへの米軍増派を提案したが、議会と世論は「イラクのことはイラク人に任せる」という理由で、不首尾なままでも米国の軍事的な関与を早々に削減、打ち切る方向に傾斜している。

 しかし、日本は米国の失敗を目の当たりにして高みの見物というわけにもいかない。イラクの政情混乱は中東地域全体の不安定化とテロリストグループの温床拡大につながるからだ。米軍が軍事的な関与をやめれば、それで問題の解決に向かった1970年代のベトナムとは事情が全く違う。

 イラク問題にまして重大なもう1つの争点は、医療、社会保障、教育、税制などの基本理念を巡る内政問題である。米国保守政治の潮流は、累進税制による富者から貧者への社会的な所得再配分を否定し、所得税率のフラット化を進め、同時に年金や医療の公的保険機能を個人勘定化、解体しようとするに至った。その結果引き起こされた所得の2極化とミドルクラスの分解によって、次に述べるように経済の好況が共和党への支持につながらない状態が生まれたのだ。 

経済成長の恩恵から取り残された一般勤労者の不満が噴出

 2001年の景気後退を底に米国経済は好況が続いている。それにもかかわらず、共和党と大統領への支持率が低下し、2006年の中間選挙で共和党が大敗した。その背景にはイラク問題や共和党の醜聞に加えて、経済成長の恩恵が実質労働賃金に反映されていないことが鮮明になってきたことが指摘できる。

 米国非農業部門の労働生産性は2000年以降、年率平均3.3%の高成長を続けてきた。しかし、実質労働給与(医療保険費などの非賃金給与を含む)の伸び率は労働生産性上昇率をずっと下回ってきた。労働省データに基づく実質時給賃金(非管理職の賃金部分のみ)を見ると、過去10年ほぼゼロ成長で推移している。さらに実質週給賃金の推移を1980年から見ると80年代から90年代前半にかけて低下、90年代後半にやや上向いたが、2000年以降はやはりゼロ成長にとどまっている。つまり、米国の平均的な労働者が労働生産性の向上と経済成長の恩恵から取り残されていることを意味している。

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