• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

2007年を斬る: 自動車産業に「8つのシフト」

歴史的転換点の大波に日本メーカーは乗り切れるのか?

  • 坂手 康志

バックナンバー

2007年1月24日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 2007年は、グローバルな自動車産業の潮流が大きく変わる年になる。同時多発的にいくつもの要因が重ね合わさるため、その潮目を正しく読むのは容易ではない。世界の自動車産業が経験する変化を、「8つのシフト」をキーワードに見通してみよう。

ポイント1 トヨタ世界一の後に来る「デジタルシフト」の衝撃

 2007年にトヨタ自動車(7203)が米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて生産台数で世界一になることがほぼ確実だ。ホンダ(7267)についても、北米市場で米フォード・モーターが例年並みのシェア低下を繰り返せば、年内か2008年にはホンダがフォードを追い抜くことになる。日本車勢の好調は、単に石油価格の高騰や小型車ブームに押されたわけではなく、生産性、品質のみならず技術開発などモノづくりのすべての結果である。

 特に、衝突防止機能など電子機器を駆使した新しい装備においては、自動車の機械技術に電子技術が融合した日本の自動車メーカーの底力を見せつけるだろう。ただし、自動車を「機械」から「デジタル商品」に変えてしまったことの影響は想像以上に大きい。日本メーカーは、膨れ上がるソフトウエアの開発・維持の重さとデジタル製品に特有の価格下落の速さという怖さを数年後に痛いほど味わうことになる。

ポイント2 再編の台風の目となる「軽自動車シフト」

 グローバルには圧倒的な強さを誇る日本メーカーも、日本の国内市場では軽自動車優位、登録車(登録が必要な普通自動車)の低迷という状況に大きな変化はないだろう。自動車に対するニーズの変化、軽自動車の居住性や機能の進化とともに、軽自動車へのシフトはさらに拍車がかかると思われる。人々が移動手段としての車に求めるものが最も合理的に凝縮されているのが軽自動車だからである。

 軽自動車市場でトヨタのプライドをかけた猛攻勢で利益なき繁忙を続けているダイハツ工業(7262)だが、スズキ(7269)は賢く回避した。インドや中国などのアジア市場での成否が、軽自動車が持つ合理性が新興国を中心としたグローバル市場に浸透するかどうかの試金石となる。リッターカーでの競合を考えても、普通車メーカーが小さい車を作るよりも軽自動車メーカーが小型車、普通自動車へ移行する方が攻めやすい。その意味でも、スズキとダイハツの動きからは目が離せない。

 迎え撃つ登録車メーカーにも厳しい価格競争が巻き起こる。トヨタが新興国向けに開発中の70万円のコンパクトカーは、軽の技術、登録車の規模のメリットを取り込みながらクルマの新しい世界標準となるだろう。利幅の薄い軽自動車を売るには現在ある高コストのディーラー網は重荷になる。必然的に販売形態の見直しが流通再編を引き起こす。2007年にその予兆が表れてくるはずだ。

ポイント3 「内陸シフト」で変容する中国の巨大市場

 中国は日本を抜き、台数規模で世界第2位の自動車市場となる。遠くない将来には米国を抜いて世界最大の座を獲得するだろう。そして、昨年末の北京モーターショーでも注目を集めたように、3000ドル台の国産軽トラックが乗用車として内陸部を中心に拡販されていく流れが際立ってくる。今の中国の内陸部市場では、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やエアバッグといった安全装備へのニーズは低く、多少リベットの跡が残っているような仕上がりだとしても、価格が安くて、丈夫な軽トラックが最も合理的な移動手段となるからだ。

 中国市場における競争の焦点が沿岸部から内陸部に広がっていくのが2007年の注目ポイントである。沿岸部と内陸部では全く異なった経済圏、市場性がある。

 内陸部で闘うには、各省の力や合弁相手の国営企業との関係がカギを握る。地方政府や国営企業における若手の優秀な幹部は大抵が共産党員であり、彼らは日本企業が交渉で簡単に太刀打ちできるような相手ではない。内陸部では、沿岸部以上に日本メーカーは現地パートナーや省庁に振り回される。国産メーカーとの戦いも熾烈となる。

 沿岸部で成功したメーカーが内陸部で成功するとは限らない。中国の自動車市場は内陸シフトにつれて新しい競争ステージに入っていく。

ポイント4 生産の「インドシフト」の規模と速さに注目

 インドにおける自動車生産は、これまで国内向け市場が中心だったが、今後は完成車や部品の生産・輸出基地としての役割が大きく高まり、開発・生産拠点を置く欧米メーカーが増えることは間違いない。英語で高い教育を受けたインドの労働者の圧倒的な数とコストの低さは強力な吸引力である。既に、韓国の現代自動車はインドを生産基地として輸出を始めている。

 特に今後目立つのは部品輸出である。インド製の自動車部品の輸出は年率3割を超える猛烈な勢いで増加している。日産自動車(7201)が現地生産の計画を発表したように、これからもOEM(相手先ブランドによる生産)シフトが相次ぐと思われる。

 「市場」「生産・輸出基地」「開発拠点」という3要素を、自動車メーカーや部品メーカーがどのような規模と速さで絡み合わせていくかが、2007年のインドを見る着眼点となる。

コメント13

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

機械を売るんじゃなくて、電気が欲しい方に電気が起きる装置をソフトも含めて売るビジネスをしていこうと。

田中 孝雄 三井造船社長