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心理学を政策の起点に

鈴木 敏文セブン&アイ・ホールディングス会長に聞く

  • 日経ビジネス編集長 井上 裕

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2007年1月31日(水)

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 上向く気配のない個人消費。いつになったら上昇に転じるのか。 それとも、経済成長に関係なく、今の状態が続くのか――。 今回の「ここが焦点」は、個人消費の行方がテーマ。 日本を代表する流通業のトップは、個人消費は経済学ではなく、 もはや心理学で捉える時代に入ったと説く。(聞き手は日経ビジネス編集長、井上 裕)


  景気が「いざなぎ超え」をしたにもかかわらず、個人消費は相変わらず弱いと言われます。

鈴木  敏文(すずき・としふみ)氏 (写真:清水 盟貴)
鈴木 敏文(すずき・としふみ)
1932年生まれ。56年中央大学経済学部を卒業し、東京出版販売(現トーハン)に入社。63年ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)入社。73年にセブン-イレブン・ジャパン創設に携わり、78年同社社長。92年イトーヨーカ堂社長兼セブンーイレブン・ジャパン会長。2005年9月セブン&アイ・ホールディングス会長、同11月中央大学理事長。2006年6月からトーハン副会長も務める。 (写真:清水 盟貴)

  弱いですよ。表現としては、「強い」「弱い」ではなく、消費が飽和していると言った方が適切かもしれません。日本の消費者は先進国の中でも平均的に(生活の)レベルが高く、改めて何かを買う必要性がない。明日食べる物がなかったら借金をしてでも買うけれど、そういう状態ではありません。普通の物だったらもう持っているから、「新しい物、珍しい物だったら買ってもいい」という感じです。

 高級ブランドが売れていると言われますよね。あれも別に高額品が売れているわけではなく、珍しい物、希少価値のある物が売れているに過ぎない。それが「高い物が売れる」ように見えているということじゃないですか。

  民間企業では2006年冬のボーナスが過去最高だったり、春闘で賃上げを要求する労働組合が出るなどの動きがあります。これで個人消費が上向くとの期待はありませんか。

  「輸出がいいからこれで給料が上がる」などと言っても、その産業に従事している給与所得者は、全体から見たらどれだけのボリュームを占めるのか。例えばトヨタ自動車さんがあれだけ利益を上げていても、国内の売れ行きは下降しているわけでしょう。

  給与所得者のうち、大企業が雇用しているのは2割程度に過ぎません。残りの約8割は恩恵にあずかっていないという見方もできます。

  今、全体の景気を支えているのは輸出であって、国内の消費そのものは決して良くありませんよ。

  2007年から団塊世代の大量定年が始まり、人口減少時代が本格化します。シニア層の増大で消費の構造がどのように変化するとお考えですか。

  今は人口の減少幅以上に消費の絶対量が減っています。食品で言えば、食べ盛りの人間が減っているのですから、消費量は落ちますよね。

 そんな中でシニア層が増えてくる。彼らは今後、収入が減っていくのだから、お金を大事に使いたい気持ちが強い。シニア層の頼りは預金です。ところが今、金利は完全に抑えられている。年齢が高い分、ただでさえ「大抵の物は既に持っている」傾向が強い人たちです。預金金利を上げなかったら、消費支出は増えませんよ。0.1%ぐらいの金利ではどうにもならない。

  貯蓄大国の日本は、働き盛りの世代も貯蓄をしています。社会保障の見通しを考えると、若い年代でも消費に対しては引き気味になりがちです。

  将来への不安がある中で、年金だって減らされることがある。消費税の引き上げ議論もある。表に出てくるあらゆる改革が負担増を伴うものだらけですから。

経済学では消費を見抜けない

  この景気の腰を折りたくなかったら、政府は将来の設計ができるような方向性を考える必要がありますね。そうしないと消費がどんどん縮小均衡に入っていく。

  既に完全に縮小の局面に入っていますよ。要は心理の問題なんです。消費者心理を考えないと。消費(を読み解くカギ)は今や、経済学から心理学に移ってきている。物が不足していた、成長時代の経済と同じ感覚で受け取っていてはいけないと思います。

 消費の現場にいると、そういう消費者の心理的なものがよく分かるんです。商品のライフサイクルが短くなったのも、新しい物を出さなかったら売れないからです。

  だけど売り手はそれについていかざるを得ない。

  ライフサイクルが短いということは、衣料品にしろ、何にしろ、ムダが相当出ているわけです。

  それは経営上、看過できませんよね。今のまま商品を出し続けるとムダが出て利益が出ない。そうすると小売業そのものが衰退に向かいます。解決策はありますか。

  もっと消費を増やさなくては。消費に対する消費者一人ひとりの活力を出させる必要があります。先ほど食べ物で言ったように、もう全体の消費量が減っているわけですから。

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