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トランス脂肪酸は経営の“健康”にも影響か

使用禁止に揺れるファストフード業界

  • 木瀬 武

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2007年2月28日(水)

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 「なぜこれほど法制化を急がなければならないのか。我々は、自主的にトランス脂肪酸を排除しようとしていた。お上の命令など必要ない」

 2月16日午後。米飲食店が加盟する全米レストラン協会は、怒りに満ちた声明文を発表した。2月8日の午前中、米東海岸の都市、フィラデルフィア市が、心臓病のリスクが高まるとされるトランス脂肪酸の使用を禁止する条例を制定したからだ。

 強く抵抗する背景には、飲食業界の危機感がある。トランス脂肪酸は、米国の外食メニューには、欠かせないものになっている。特に、ファストフード店やコーヒーショップで必ずと言っていいほど添えられるフライドポテトには不可欠だ。

 サクサクとした歯ごたえ、カリッとした食感、香ばしい匂いなどは、トランス脂肪酸によって実現している。だが、それが使用できなければ、味が大きく変わってしまうと見られるからだ。

食費の約50%、カロリー摂取の約30%を外食が占める

 だが、「健康」を理由に、使用禁止の波が広まってきている。始まりは、2カ月前のことだった。全米最大の都市ニューヨーク市が、同様の条例を制定した。

 NY市民の外食依存率は高く、食費の約50%、カロリー摂取の約30%を外食が占める。そして、NY市民の最大の死因が、心臓病なのだ。もちろん、心臓病の原因がすべてトランス脂肪酸に帰するわけではない。いわば個人の生活習慣に負うところが大きい。だが、問題となる生活習慣に、トランス脂肪酸を多く含んだ食事が深く関係していると言われている。

 消費者の意識も、「使用禁止」に傾いている。米調査会社NPDグループによると、トランス脂肪酸の使用に反対する人が73%に達するという。NY市に寄せられた約3000のコメントも、「そのほとんどが、一刻も早くトランス脂肪酸を排除して、という内容だった」(NY市保健局のリン・シルバー局長補佐官)。

 NYの条例制定によって、火がついた。直後にはシカゴ、ロサンゼルスといった大都市が追随していく。

年間1400億ドル稼ぐ米ファストフード業界には死活問題も

 消費者の支持も得た流れだが、飲食業界の抵抗は強い。それは、味が変わるということが、収益に大きなインパクトがあると見ているからだ。特に、年間1400億ドル(約16兆8000億円)を稼ぎ出す米国のファストフード業界にとっては、死活問題とも言える。

 米ファストフード大手バーガーキング(BK)のジョン・シャウフェル・バーガー製品マーケティング部長は、こう打ち明ける。

 「バーガーキングという名前を聞けば、消費者はその味と食感をイメージしてしまう。消費者に(使用中止を)約束する前に、その水準をまず確保したい」

 味と食感を維持できなければ、消費者が離れていく――。その恐怖感から、ファストフード業界は、代替油の研究を進めてきた。だが、いまだにその有力候補が見つからない状態では、トランス脂肪酸の問題が分かっていても、使い続けざるを得ない。

 BKは代替油の全店での導入を、2008年後半に予定している。業界最大手マクドナルドも模索を続けている。現在、米国内の約1万3000店舗中、約1200店舗で試験しているが、全店舗への拡大にはまだ踏み切れてない。

増大する法的リスク、和解に850万ドル支払う例も

 対応の遅れは、飲食業界にとって「法的リスク」の増大を意味する。「健康への有害性を十分に公開していない」として訴えられたマクドナルドは、和解金として850万ドル(約10億円)を支払う羽目になった。2006年6月に同様の理由で訴えられた米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)。トランス脂肪酸の使用中止はもう避けなれなかった。10月、国内の全店舗で今後、使用を取り止めていくと発表することになった。

コメント3件コメント/レビュー

これまでも工業的に製造されるマーガリンには内心、不信感がつきまとっていたが、綺麗なパッケージングがなされ、食欲をそそるような着香と共に「マーガリンは植物性なので、動物性のバターより体によい」というセリフは、セールスポイントとして盛んに広告に使用されていた。今頃になってという思いと、やはりそうであったのかと云う思いだ。これはタバコの宣伝に美しい雪山の写真を使用していたのと同様に人類を欺く行為だろう。(2007/03/24)

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これまでも工業的に製造されるマーガリンには内心、不信感がつきまとっていたが、綺麗なパッケージングがなされ、食欲をそそるような着香と共に「マーガリンは植物性なので、動物性のバターより体によい」というセリフは、セールスポイントとして盛んに広告に使用されていた。今頃になってという思いと、やはりそうであったのかと云う思いだ。これはタバコの宣伝に美しい雪山の写真を使用していたのと同様に人類を欺く行為だろう。(2007/03/24)

日本では日本油脂工業会ですら トランス脂肪酸については及び腰で危険性を隠しています。 健康を考える前に 会社の利益しか考えない企業や工業会などの団体は淘汰されてゆく社会になるよう一般市民の啓蒙が必要と強く考えられました。 このような点ではアメリカ国民の方が民度が高いと言えるのかもしれません。 和食が高く評価され 心臓疾患やガンの発症率が下がってきているのも 先進国ではアメリカだけです。 ニュースを流すだけでなく 啓蒙運動にも力を入れてほしいものです。(2007/02/28)

健康に有害な物質を食品に添加していたとは驚きだ。納豆騒ぎなど罪のないものだったが、マーガリンは植物性なので、動物性のバターより体によいなどというのは、真っ赤な嘘だったということだ。参考文献http://www.food-safety.gr.jp/syokuhinhyouji/bunnsekikeltuka.htm、http://www.food-safety.gr.jp/syokuhinhyouji/kaigaitaiou.htm (2007/02/28)

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