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常識外れの高額炊飯器、三菱電機「本炭釜」

大ヒットの秘けつは“身近なファン”作り

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2007年3月9日(金)

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 三菱電機(6503)が2006年3月21日に発売した高機能炊飯器「本炭釜」は、2006年度の大ヒット商品となっている。出荷目標として月間1000台を掲げたが、わずか半年後の9月に累計1万台を突破。「年末商戦の際は、販売店からの追加注文に2カ月待ちと返答せざるを得ないこともあった」と、白物家電などの製造子会社、三菱電機ホーム機器の赤石都良・営業部商品企画課調理家電グループ・グループリーダーが打ち明けるほどだ。

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「本炭釜」。炭でできた内釜は手作業の工程が多く、月産1000台が限界であるため、実売価格は10万円程度と異例の高額製品

 本炭釜の実売価格はなんと10万円程度。炊飯器では異例の高価格であるこの商品のヒットによって、三菱電機のほかの炊飯器の売り上げも伸びているという。「相関関係をまだ綿密に調査したわけではないが、本炭釜によって三菱電機の炊飯器のイメージが向上したのか、定番製品の中には(前年同月比で)2ケタ以上の売り上げを記録するものが出てきた」と、同製品のマーケティングを担当した赤石氏は言う。
 
 本炭釜の大ヒットの秘訣は、炊飯器市場を再分析し、常識外れに高額でも高機能な製品には大きなニーズがあると仮説を立てて実行に移した点。そして、プレスリリースすら出せないという広告宣伝面での逆境をはねのけ、口コミを効果的に引き起こした点にある。

「0次コンセプト」で導き出した顧客層と合致

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三菱電機の家電製品の製造子会社である三菱電機ホーム機器の赤石都良・営業部商品企画課調理家電グループ・グループリーダー

 この製品は内釜を炭で作ってある。手作業の工程が多いため、月産1000個が限界であり、それゆえ高額なのだ。その代わり、炊き上がった米の味に特徴がある。「炭の遠赤効果などによって米の芯まで熱がきちんと入り、炊きムラを抑えつつふっくらと炊き上がる。かまどで炊いたような噛み応えのあるしゃっきり感と甘みの強い味がよく出る。50〜60代の人には懐かしい味わいだ。また、保水膜が適度に米を覆うため冷めてもおいしい」(赤石氏)。

 三菱電機ホーム機器は、本炭釜を開発するかたわら、どの層にこの製品を強く訴求すべきかを徹底的に検証した。まず、年代ごとの食に対する生活実態を突き詰めて調査したところ、「50代以降の人は好きなものにとことんこだわる傾向が強い」と分かった。特に米に関していうと、米の銘柄や水にまで強くこだわる人が多かった。

 しかも、本炭釜で炊いた米の味わいは、50〜60代の郷愁をかきたてる可能性が高い。そこで50〜60代をコアターゲットに据えた広告宣伝戦略を練ることにした。ちょうど同時期に三菱電機が実施していたプロジェクト「0次コンセプト」の活動結果が商品化への背中を押してくれたという事情もある。

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著者プロフィール

杉山 泰一(すぎやま・やすかず)

1994年日経BP社入社。「日経コミュニケーション」で通信分野の国内外の取材を担当した後、2004年4月から「日経情報ストラテジー」に所属。経営管理や業務改善、社内の士気向上など、企業を強くするためのノウハウや事例の取材を担当する。99年から2000年にかけて、米国カリフォルニア州立大学大学院にてマスコミュニケーションを専攻。2009年11月から日経BP社電子新聞開発部次長。

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