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地方の輝き~オホーツク「海の牧場」

活気みなぎる北限の海、官民結束の“つくり育てる漁業”で復活

2007年3月9日(金)

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 「オホーツクの漁業は、ただ獲ってるだけじゃないんです。“つくり育てる漁業”なんです。主力は、稚魚であり、稚貝(ちがい)です」

 昨年の夏、日経ビジネス オンラインで連載中の小説「エネルギー」の取材で北海道網走を訪れた私は、網走漁協の北村常務理事の言葉に、目から鱗が落ちる思いがした。

 「後継者問題もありません。人材獲得のために、あの手この手をやらなくても、ちゃんと漁業を経営すれば、人はおのずと集まってきます」

ニシン不漁、200海里で“死んだ”はずの村が大復活

 その晩、私は高校で同級だった地元の男と夕食を取った。

 オホーツク海に面したカニの加工場を改造した居酒屋の入り口付近は潮の匂いがむっと立ち込めていた。中に入ると、窓一面に青い海面が広がり、戸外からは、寄せては返す波の音。

 「この辺の漁業は、ニシンが獲れなくなったり、200海里問題で壊滅寸前になったけど、増殖事業の成功で、今はものすごく豊かになってるんだ」

 炭火が赤々と燃える炉端で、毛ガニを惜しげもなくちぎりながら、同級生が言った。

 「6月頃になると、農家のおっかちゃんたちがパートで雇われて、稚貝を海に撒きに行くのさ。それが3年経つと、立派なホタテになるんだわ。最近は中国のホタテ消費が伸びてるから、売れて売れてしょうがないんだって」

 「猿払村なんか、ホタテ漁家(ぎょか)の年収は3000万~4000万円あるんだ。稚内の車や宝石や衛星放送受信テレビとかの営業マンは、まず猿払村に行くっていうね。行ったら分かるけど、漁家が金の使い道に困って、2階建ての民家に自動ドアやエレベーター付けたりしてるわ」

 同級生は愉快そうに笑った。

獲れぬなら、育てて増やせ、ホタテ貝…

 北海道で、かつて豊漁に沸いたニシンが獲れなくなったのは、1955年前後からである。

 そこに「200海里問題」が追い討ちをかけた。76年に米国が、翌年にはソ連が相次いで沿岸200海里経済水域を宣言したため、スケトウダラを中心とした日本の遠洋漁業が締め出される結果になった。

 当時、北海道の漁獲高は250万トン(75年)だったが、その約45%が、他国200海里内での水揚げだった。1977~78年の日ソ暫定協定で30~40%の減船がなされ、北海道の離職者数は1万800人余りに達した。ピーク時で120万トンに達したスケトウダラの水揚げは20万トンに激減した。

 国内では、商社や卸売り業者が魚を確保するために思惑買いや在庫隠しをして価格が急騰し、流通上の混乱が見られた。三菱商事(8058)と組んで数の子を買い占めた北商が倒産(80年)したのは、この頃のことである。

 猿払村をはじめとするオホーツク海沿岸の漁家はどん底状態に陥り、ニシンや遠洋漁業に代わるものを模索しなくてはならなくなった。

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「地方の輝き~オホーツク「海の牧場」」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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