「ニュースを斬る」

竹中平蔵と松原聡が地方を斬る(前編)

統一地方選で問われるもの、問うべきものは何か?

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2007年3月19日(月)

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小泉政権で改革タッグを組んだ竹中平蔵・慶応義塾大学教授と松原聡・東洋大学教授に、今回の統一地方選で問われるもの、問うべきものについて語ってもらった。(司会は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)

なお、3月24日(土)に開催される公開シンポジウム「分権時代のローカルマニフェスト―統一地方選で問われるもの―」(主催:マニフェスト評価機構)では、竹中、松原両氏のほか北川正恭・早稲田大学教授、中田宏・横浜市長、福嶋浩彦・前千葉県我孫子市長らも加わり、このテーマについてさらに深く議論する。

司会 ズバリ、今回の統一地方選で、何が問われているのか、何を問うべきなのでしょうか?

竹中 統一地方選ですから国政選挙とは違います。各地方が抱えている活性化へ向けた課題について、リーダーになろうとしている人たちがしっかりとビジョンを示して、県民、市民の審判を仰ぐということだと思います。

 我々は今、民主主義の中にいます。民主主義というのは主権者がすべてを決めるという建前になっていますが、実際、そんなことはできないわけです。いわゆる、リーダー民主主義、指導者民主主義なのです。指導者がこうしようではないかと提案して、それに対して賛成、反対する。これが民主主義の実際のプロセスです。

 従って、こうしようではないかということを、リーダーがしっかり示すことが極めて重要なポイントです。地域それぞれの個性を生かして豊かになっていく、地域が自立していくためのビジョンをどのように示すか。それに対して有権者がどう判断して投票するかということです。

松原 地方自治を巡る環境が大きく変わりましたよね。1つは、竹中さんが総務大臣時代に頑張った地方分権ですね。これはかなり進みました。今までの選挙とは違うところです。もう1つは、市町村合併が進みました。3200が1800まで集約されたわけですから。分権が進み、受け皿の自治体の合併も進んだ。さらに、少子高齢化、人口減少といった自治体が抱える問題が顕在化しました。実際、夕張のような破綻も出てきた。地方自治について、今までと違うレベルで問われる選挙になると思います。

自治体の首長に問われる条件とは?

司会 そのリーダー民主主義において、リーダー、首長とはどうあるべきなのでしょうか?

竹中平蔵・慶応大学教授

竹中 リーダーのタイプというのは様々ですから、画一的にこうあるべきだということは言えないし、まさにそれを選ぶのが選挙です。ただ、あえて言うなら、この先どうなるのか、その中で自分達はどうすればいいのか、自分の目で将来を見通す洞察力を持っていることが第1の条件です。

 第2の条件は、そのことを住民やステークホルダーに語って聞かせる能力です。優れたリーダーというのは、皆、話が上手ですよ。話が上手というのは、自分の考えをしっかりと持っていて、それを説得力を持って構成員に聞かせる力を持っているということです。今風に言えば、アカウンタビリティー、説明責任です。リーダーは語れないと駄目だと思います。

 そして、3番目が組織を作ることです。自分1人では何もできません。組織をうまく作って、組織を活用する、そういう術を身につけている人でないと、どんなに優れた考えを持っていても活躍できない。

 そういう方にどんどん出てきてほしい。松原先生が言われたことで非常に重要なのは、環境が変わっているということです。今回立候補する方にお願いしたいのは、本気で地方の自立を目指してほしいということなんです。地方議会などの話をよく聞いてみると、地方分権と言いながら結局自立したくないという人がたくさんいるんです。

司会 自立したくない?

竹中 そうです。国は干渉するなと言いながら、自分たちの地域はこういう問題を抱えているからよく考慮してほしいと頼る。全然自立してないんです。地方の方は、分権や自立を否定するような発言を結構平気でやっていますよ。今回、その点は厳しく見たいと思っています。自立って厳しいんですよ。自由を持つというのは厳しいことなんです。しかし、覚悟を持って前へ進もうという気概をリーダーにはぜひ持ってほしいのです。

松原聡・東洋大学教授

松原 地方自治の場合、国とは違ってリーダーは大統領的な存在ですから、相当強い権限があるんですね。だからこそ、リーダーシップ、将来へのしっかりとした展望が問われるんです。自治体の職員や議員さんというのは多分に守旧的にならざるを得ない存在ですから、そういう人たちを説得して、かつ国民、県民、市民に訴えて世論を形作りながら改革していく。そういうリーダーシップが問われていますよね。

もう1つは、大統領的であるが故に議会との関係が問題になります。地方自治、とりわけ選挙の時に、国政のような与野党対立の構図と違って、“オール与党”になりたがる傾向が強いんです。自民党と民主党が一緒になって一人の知事を支えるような傾向が強く出てきている。本当にそれでいいのか。オール与党の基盤の上に乗った首長が本当に改革を断行できるのか。そういう選挙の構図も考えないといけないと思います。

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著者プロフィール

水野 博泰(みずの・ひろやす)

日経コミュニケーション記者、日経E-BIZ副編集長、日経ビジネス編集委員、日経ビジネスオンライン副編集長を経て、2008年4月よりニューヨーク支局長。



このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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