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都政を知り尽くした人物が語る~
都知事選の注目ポイント

  • 村上 富美

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2007年3月29日(木)

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 統一地方選挙の目玉とも言える東京都知事選の投票が10日後に迫った。投票日は4月8日。現職・石原慎太郎知事の3選はあるのか、それとも新しい知事が誕生するのか。都庁職員として36年勤務し、石原都政の1期目で副知事を務めた青山やすし(「やすし」は「にんべん」に「八」と月)・明治大学大学院教授に、都知事選の各候補者の政策の評価や注目ポイントを聞いた。

(聞き手は、日経BP社 村上 富美)

―― 都知事選も中盤に入ったが、各候補の政策をどう見るか?

 

青山 やすし(あおやま・やすし)

中央大学法学部卒業後、都庁に勤務し都市計画局課長、高齢福祉部長、政策報道理事などを歴任。1999年から石原慎太郎知事のもとで副知事を務めた。2004年、明治大学公共政策大学院教授に就任。国内外の行政、都市政策に詳しい。著書に『東京都副知事ノート』(講談社)他多数。

青山 現職の石原都知事はともかく、選挙前から各候補の論調を聞いて、東京をどんな都市にしたいかという明確なビジョンが伝わってこない。

 石原氏への明快なアンチテーゼとなりそうなのは、オリンピック反対を鮮明にしてきた浅野史郎氏だ。しかし浅野氏が情報公開を前面に押し出したのには、違和感を覚えた。いくら宮城県知事として在籍した間に情報公開を進めたとは言っても、東京とは規模が違いすぎる。

 東京には全世界から情報公開の請求が寄せられる。その多くが都民以外からの請求だ。膨大な請求に応えるためには多額のコストがかかるが、コストを負担するのは都民。だから抑止のために料金を課している。

 都知事選なのだから、東京都の街づくりや福祉や環境、教育の問題にどう取り組むか、という政策を示さなければ都民の関心を呼ばないし、選ぶ側の材料にならない。浅野氏は当初の戦略を誤ったのでは。

 石原批判だけでは批判票は取れるだろうが、限界がある。都知事選では、(1995年に立候補した)大前研一氏でさえ50万票も取れなかった。

「五輪か福祉か」を論ずるのは時代遅れ

―― 黒川紀章氏、吉田万三氏らはオリンピックに伴う開発に反対し、環境、福祉を優先すべきと訴えるが。

 青山 「オリンピックか福祉か」という議論をする候補者もマスコミも時代遅れだし、勉強不足だ。なぜ2012年の開催地が戦後2回目の開催となるロンドンなのか。過去の新聞を読めばわかることだが、ロンドンが選ばれたのはオリンピック開催により、福祉を進めると宣言したからなのだ。

 ロンドンの住民に占める移民の割合は3割に及び、特にロンドン東部(イースト・ロンドン)に集中している。2000年に大ロンドン市の市長に当選したケン・リビングストン氏は、交通網の整備や教育振興、雇用対策などによって、移民や貧しい人にも機会を与え、貧富の格差解消を図る都市政策「ロンドンプラン」を推し進めた。つまり福祉政策の延長線上にオリンピック計画がある。
 
 だから東京でも、例えば世界に比類ない技術立国の首都として、環境政策を全面的に打ち出したオリンピックを実施することは十分可能だ。オリンピックと環境、福祉は対立する概念ではなく並び立たせることができる。
 
 また2008年に北京で開催して、その8年後に同じくアジアの東京ではあり得ないとの見方もあるが、アジアの人口規模を考えればこの地域での開催回数が増えても不思議ではないし、「環境」のような、日本が世界に発信すべきメッセージがあれば十分、有力な候補となり得る。
 
 実際に開催地として立候補すべきかどうかは知事候補者がそれぞれの政策の中で論じ合うべきだが、オリンピックか環境、福祉かという議論は前提条件がそもそも正しくないので、的外れに感ずる。

石原都政2期目には見るべき成果はあまりない

―― では石原都政の8年を振り返って、その成果をどう評価するか。

 青山 石原氏が知事としての成果として挙げるのは、ディーゼル車の規制にしろ、羽田の国際線就航推進にしろ、いずれも1期目に取り組んだことが中心だ。2期目には見るべき成果があまりない。

 唯一の2期目の成果と言えるのが、任期切れを前に昨年12月に策定した「10年後の東京」プランだ。オリンピック招致のために作ったビジョンだが、東京の方向性を示した意味は深い。

 他の候補はこの「10年後の東京」の対案を打ち出して競ってほしい。

―― 成果がないのはなぜか。2期目にはワンマンぶりや都政の私物化も批判されたが。

青山 1期目で張り切りすぎて、2期目は力が入らなかったということもあるのでは。また都の職員からすると、知事の意に沿わない案件を持っていくと一喝されるので、そもそも提案しづらいという雰囲気もあったと聞く。しかし、ワンマンが本当だとしても責任は五分五分。怒鳴られようとなんだろうと、提案すべき政策は提案すべきだ。

 私物化と批判されるようになったことは、権力には批判勢力が必要だという定理を示す事例だと思う。1期目当時は私自身、石原知事はクリーンな政治家という印象を持っていた「俺が知っている業者を優遇するようなことはするな」と口にするのを聞いたこともある。だが、様々な批判について反省すべき点があることは本人も認めている。

―― 3選による長期政権への批判もある。

 青山 長期政権には利点も弊害もある。鈴木政権は4期続いたが、その成果で都営地下鉄大江戸線などの計画を遂行することができた。公共工事偏重などと批判され、また線路が深すぎるといった不評も聞かれたが、地下鉄路線の連係が進んだうえ、深いがゆえに災害時には非難場所として、また線路を歩けば練馬に駐屯する自衛隊第1師団が移動できるなど防災の点から再評価されている。長期政権だから実現できる政策もある。

 ただ繰り返しになるが、弊害もある。権力を監視する仕組みや勢力は必要だ。

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