「時事深層」

「タミフル、販売やめない」

批判浴びても強気を崩さぬ中外製薬社長

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2007年3月26日(月)

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2月に「タミフル」を服用した中学生の転落死が相次いで発生。販売元として非難を浴びる中外製薬の永山治社長が胸中を語った。「タミフルで助かった人がはるかに多い」と販売継続を断言する。


 今年2月、愛知県と仙台市でインフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した中学生がマンションから転落死した。事件の後、厚生労働省と販売元である中外製薬が厳しい批判にさらされている。タミフルの服用について警告を出したものの、転落死を招いた異常行動とタミフルの因果関係は認めていないからだ。

 因果関係について調べている厚労省の調査班のメンバーが中外から寄付金を受け取っていたことが問題視されるなど、両者に対する非難は強まるばかりだ。

 中外の永山治社長は本誌の取材に対し、一連の問題について重い口を開いた。

中外製薬の永山治社長(1999年に撮影、写真:村田 和聡)

中外製薬の永山治社長(1999年に撮影、写真:村田 和聡)

 これだけ記事になるとは正直驚いています。3月18日付の日本経済新聞にも、「医師の先生方に患者さんが不安を訴える声が相次いでいる」という記事が載っていましたが、心配されるのも無理はないでしょう。

 先生によっては「じゃあ、やめておきますか」ということもあるかもしれませんが、実際にタミフルを使われてきた医師で、「タミフルが(異常行動の)直接の原因だ」とおっしゃる方は非常に少ないのではないでしょうか。

 タミフルに異常行動を引き起こす副作用があると疑われ始めたのは2005年のこと。それにもかかわらず、2月の事件が起きるまで厚労省や中外は警告を出さなかった。批判の矛先はその対応の遅さにも向けられている。「薬害タミフル脳症被害者の会」の軒端(のきば)晴彦代表はこう悔やむ。

警告時期、遅くはなかった

 「インフルエンザが流行する冬を目前にした昨年11月に厚労省に警告を発するよう要請した。その時に対応してくれていれば、2月の転落死は防げていたかもしれない」

 厚労省が出した警告には、「タミフルの使用と精神・神経症状に起因すると見られる死亡との関係については否定的とされており、現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていない」と記されている。

 このように因果関係を否定しておきながら、「特に子供や未成年者はタミフルの処方の有無を問わず、異常行動が起きる恐れがある」と指摘。自宅で療養する場合に少なくとも2日間は子供や未成年の患者を1人にしないよう保護者に求めている。この対策について「2日間もつきっきりで看病するのは無理」といった抗議の声が上がっているが、永山社長はこう擁護する。

 科学的に因果関係が分からず、厚労省(の研究班)が一生懸命に研究している。その結果を待たざるを得ない。その間はインフルエンザの患者さんには確率的に異常行動が出るわけですから、それを注意して見ることがベストだと思います。警告のタイミングにも、特に遅かったとは考えていない。

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著者プロフィール

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス記者。日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経ビズテックの記者を経て、2005年12月日経ビジネス記者。2010年4月から現職。



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