2007年1月末、高知県東洋町が高レベル放射性廃棄物の最終処分場の調査候補地に応募し、その賛否を巡って町内を二分した騒動は日本全国に大きく報道された。しかし、「本質的な議論に至らないまま、世間から忘れ去られようとしている」と河野太郎・自民党衆院議員は警鐘を鳴らす。原子力政策に批判的な河野氏に、「核ゴミ」の深層を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者=谷川 博)

「“核ゴミ”問題は根深い」と河野 太郎氏
(写真:川口 愛)
NBO 東洋町の“核ゴミ問題”では、町長の独断による調査候補地応募と、金で過疎の町を釣るような国のやり方が批判されました。
河野 あれは、この問題のごく表層を見ているのに過ぎません。
いいですか、“核ゴミ”と言いますが、これにはいくつかのレベルがあるんです。原子力発電所の燃料はウランですが、ウランを原子炉で燃やすと「使用済み核燃料」というものが出てくる。これが、まず1つです。
この使用済み核燃料は、原子力発電所のすぐそばの貯蔵プール中で保管しているのですが、発電所によってはこれがそろそろ満杯になりそうなところがある。そうなると原子力発電所を止めなければいけないので、電力会社は莫大な損を被ることになります。
そこで、青森県六ヶ所村に「再処理工場」を作ったんです。使用済み核燃料をどんどん六ヶ所村に運び込めば、貯蔵プールが空く。原子力発電所を止めることなく、操業を続けることができる。青森県だって、核ゴミを押しつけられるというのでは困る。だから、“再処理工場”なんですね。今、稼働に向けて「アクティブ試験」というテスト段階まで来ています。ここで何が作られるかというと、プルトニウムです。
現在、日本にはプルトニウムが国内に5〜6トン、委託処理しているものが欧州に40トンぐらいある。確か、隣の北朝鮮にあるのは10キログラムか20キログラムぐらい。北朝鮮が保有しているキログラム単位のプルトニウムを巡って6カ国協議をやっている一方で、その隣の日本は50トン近いプルトニウムを保有している。
無意味に量産される“核ゴミ”
NBO でも、同じプルトニウムでもその性格は全く違いますよね。
河野 もちろんです。問題は、日本は大量のプルトニウムを生産しようとしているのに、実はその使い道がないことです。つまり、新たな“核ゴミ”を作り続けようとしている。
計画では、プルトニウムは高速増殖炉の燃料になるはずだった。「エネルギー需要を2000年分ぐらい賄える夢の技術」と喧伝されていました。ところが、高速増殖炉の技術はまだ確立されたものではありません。1995年に起きた「もんじゅ」の事故、そして事故後の隠蔽工作が露見したことによって、地元住民からの信頼を失墜。運転再開のめどさえ立っていません。政府は、「高速増殖炉は2050年頃までは実用化できない」という見解を示している。本当に“夢”の技術になってしまったのです。
つまり、何十年後に実用化できるのか分からない高速増殖炉の燃料として、プルトニウムがジャカジャカ生産をされている。じゃあ、そのプルトニウムはどうするのか。そこで、出てきたのが「プルサーマル」です。プルトニウムとウランを混ぜて、普通の原子力発電所で燃やす燃料にしようというわけです。
ところがですよ、プルサーマルにも問題が起きた。ウランとプルトニウムを混ぜて作った「MOX(モックス)燃料」の中に異物が混じっていて使い物にならなかったり、またもやデータが捏造されたりして、計画は遅れに遅れたんです。それでも、ようやく「プルサーマルをやってもいいですよ」という自治体合意が取れたと思ったら、今度は全国の原子力発電所で過去に事故の隠蔽があったことが次々に明るみに出た。プルサーマルも、いつ開始できるか分からなくなってしまったのです。
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