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公務員新人材バンクは選挙対策だ

労働基本権、キャリア制度、退職勧奨に触れぬ骨抜き改革

  • 水野 博泰

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2007年4月5日(木)

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“新・人材バンク”の新設を含めた公務員制度改革が急ピッチで進められようとしている。当事者である国家公務員は、この動きをどう見ているのか。日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の岡部勘市書記長に聞いた。(取材日は3月30日。聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)

国公労連の岡部 勘市書記長

NBO 国家公務員の再就職を一元管理する“新・人材バンク”の新設が注目されています。当事者としては、どのように見ていますか?

岡部 世間から批判を浴びているような“天下り”は禁止すべきです。当然、各省ごとの再就職斡旋はやめるべきです。そして、“新・人材バンク”に名を変えた組織的な再就職斡旋の仕組みもいらない。それが我々の基本的なスタンスです。

 国公労連は、いわゆるノンキャリア、特に地方勤務の職員が組合員の多くを占めています。省によって違いますが、ノンキャリアの地方職員でも、54~55歳から遅くても58歳ぐらいまでに肩をたたかれて、多くが退職勧奨で辞めさせられていくわけです。働きたくても辞めざるを得ない。

 しかし、新・人材バンクの議論は、不思議なことに、この勧奨退職制度が前提になっています。なぜ公務員は定年まで働くことができないのですか。民間では定年延長が議論されているのに、なぜ公務員は定年まで勤め上げてはいけないのですか。定年前に辞めさせるために新たな再就職斡旋の仕組みを作ること自体がおかしいのではないでしょうか。問題の本質はそこにあると思います。

なぜ、国家公務員は定年まで働いてはいけないのか?!

 現職中に関連していた民間企業に、自分の職責だとか、地位を利用して転職するなどということは許されません。けれども、全く別の世界に転身するような場合は個人の責任で、まさに職業選択の自由に基づいてやるべきです。早期退職勧奨をすることを前提に新・人材バンクなんていうものを作って、省だろうが、内閣だろうが、役所が組織的に再就職斡旋することはやめるべきです。肩たたきをして人を減らすよりも、年金支給開始年齢まで働き続けられるような枠組みを整備することが先決です。

 我々は、税金で飯を食わせてもらって公務を遂行するための専門性を磨いてきました。その能力は最後まで公務の場で発揮することが本筋でしょう。そうしたくない人は自由に新天地を求めればいい。しかし、公務の場で、国民への奉仕者として働きたいと望んでも、定年まで働けないという現状が問題なのであって、変えるのならそこを変えるべきです。

 退職勧奨が常態化しているから、対象者の行き場を世話してやらなければならなくなる。本省で活躍した本当に有能な人なら民間からの引き合いもあるでしょう。しかし、公務一筋でやってきた一般職員の能力を買って引き受けてくれる民間企業がどれだけありますか。

 特に、地方勤務のノンキャリアとなると引き合いなんてありませんよ。民間で求められる能力と、公務で要求される能力は違います。公務をきっちりこなす人が民間企業で活躍できるとは限らないのです。“おみやげ”とか役所とのパイプだとか、そういううまみがあるから民間は受け入れてきたわけだし、現実問題として“押しつけ的”な斡旋もあった。それが談合など、癒着の温床にもなりました。

 新・人材バンクを含めた公務員制度改革に関する現時点で公式の資料としては、3月27日の経済財政諮問会議に渡辺喜美行政改革担当相が提出したペーパーしかありません。この中には、専門能力を生かして公務部内で長期間在職可能な「専門スタッフ職」の導入や定年延長を検討するということが項目としては入っていますが、これから検討するとしか書かれていません。

 新・人材バンクにしても、これから有識者懇談会で詳細を設計するとしか書かれていないのでどのような仕組みになるのかは分かりません。しかし、それがまともに機能するとはとても思えません。

 新・人材バンクは中央組織だけではなく、地方の非現業一般職の公務員32万人も含めてすべてを対象にするといいます。毎年8000人から1万人近くの人が退職していくわけです。それらの人たちを管理し、企業からのニーズを把握して、斡旋、紹介するためにはそれこそ巨大な組織が必要になるでしょう。これ自体が“小さな政府”を目指す公務員制度改革の流れに逆行する話です。

 そもそも、公務員の総数を減らそうということで定員管理がものすごく厳しくなっています。この4月は全省的に新規の採用をかなり絞り込まざるを得ませんでした。退職勧奨をしてベテランを辞めさせ続けなければ、新卒が採れないどころか、定員を上回ってしまいかねない。肩たたきありきの制度設計なのです。

特権的キャリア制度の廃止こそ断行すべき

NBO 民間企業や特殊法人に天下って、それらを転々とするたびに退職金を何千万円ももらうなんていうキャリア組高級官僚の話とはずいぶん違いますね。

岡部 それこそ、直ちに改めるべきことなんです。そういう話が世間から批判を浴び、国家公務員全体が厳しく批判されています。ただ、大半のノンキャリア組にとっては別世界の話です。正直、忸怩たる思いはあります。

NBO 一連の公務員制度改革の中で、キャリアとノンキャリアの仕切りを見直すという話は出てこないんですか?

岡部 渡辺行革相のペーパーには出ていませんね。人事管理の原則として、「職員の任用、給与その他の人事管理について、職員の採用試験の種類や年次にとらわれてはならないこと、人事評価に基づいて適切に行うことといった基本的な原則を明らかにする」という項目がありますが、なんとも抽象的ですよね。

 国家公務員採用試験には、大学卒業程度のI種とII種、高卒程度のIII種があって、I種が幹部候補、俗にキャリアと呼ばれ、II種とIII種はノンキャリアと呼ばれます。その間には昇進や待遇の面で、厳然たる格差があります。これを抜本的に見直すとは書いてありませんね。我々は特権的なキャリア制度の廃止を要求しています。

NBO 国公労連にはキャリア組は加入していないのですか?

岡部 います。ただ、非常に少ないです。I種の皆さんの組合加入率は極めて低いです。本省の課長クラスになると組合には入れませんが、係長、課長補佐ぐらいまでは入れるのですが…。キャリアのための組合はありません。

NBO キャリア組は、一連の公務員制度改革をどう見ているのですか?

岡部 キャリアの人たちがどう考えているのかは、よく分かりません。私自身もあまり話したことがないんです。

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