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「ネット接続0円」の衝撃波

英フォン本格上陸、無線LAN大連合へ発展も

2007年4月9日(月)

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 高速通信の波とともに姿を消した無料インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が、今度は無線の世界で復権を果たそうとしている。

 ユーザーを巻き込みながら「いつでもどこでもタダでネット接続」という世界の実現を目指すのは2005年11月に設立された英フォン・ワイヤレス。

 ノートパソコンや携帯型ゲーム機など、普及が進む無線LAN(構内情報通信網)対応機器とネット接続できる公衆無線LANサービス「FON(フォン)」を展開する。

 自宅のネット回線をほかのFONユーザーに開放すれば利用料金は無料。ネット接続の“相乗り組合”とも言える新手のサービスが本格上陸した。

「敵か味方か」、困惑のISP

 単独の公衆無線LANサービスとしては世界最大に成長したFON。サービス開始からわずか1年で、世界150カ国に約13万カ所のアクセスポイント(接続拠点)が立ち上がり、34万人が利用している。収益源は、接続拠点となる専用機器の販売収入と、ネット回線を開放せずに一時的に利用したい顧客向けの有料プランなど。

インターネット回線をみんなで共有

 昨年2月、米グーグルや米イーベイの子会社で無料ネット電話を手がけるスカイプ・テクノロジーズなど、錚々たるネット関連企業から合計1800万ユーロ(約28億円)の出資を受けた世界の有望株だ。

 そのフォンが日本での事業展開を本格化させている。フォンはこの3月、2回目となる大規模な公募増資を行い、6社から合計1000万ユーロ(約16億円)の出資を受けた。この中に伊藤忠商事、エキサイト、デジタルガレージという国内企業が名を連ねたのだ。

 日経ビジネスの取材に応じたフォン創業者のマーティン・バルサフスキーCEO(最高経営責任者)は、こう語る。

英フォン・ワイヤレスのマーティン・バルサフスキーCEO。今後は2カ月に1回訪日する予定 (写真:都築 雅人)

英フォン・ワイヤレスのマーティン・バルサフスキーCEO。今後は2カ月に1回訪日する予定 (写真:都築 雅人)

 日本は25番目に進出した国だが、昨年12月のサービス開始から3カ月足らずで9500カ所以上もの接続拠点が設置され、日本最大の無線LANネットワークとなった。もう熱狂的に受け入れられているのさ。

 ニーズが高い日本でFONをもっと普及させるためには、パートナー企業との関係を強化すべきだと考えた。ローカルパートナーとして株主になってもらったのは日本企業だけだ。

 フォンは提携企業の支援を受けながら、今年末までに国内で7万5000カ所の接続拠点設置を狙う。

 一方で「FONは敵か味方か」と困惑するのが、既存ISPだ。

 「我が社のリソースにタダ乗りされる形になる」「契約ユーザー以外の見知らぬ他人が利用して問題が起きた場合、誰が責任を担保するのか」

 大手ISP幹部からはこんな声が漏れる。FONは顧客が契約するネット接続を第三者に利用させる形になるが、それを規約で禁じているISPも多い。

 例えば国内最大のISP「ヤフーBB」を抱えるソフトバンクは、「FONの利用は規約違反になる。FONユーザーを当社が把握することが可能か技術的な検証をしている最中」という。

 だが、バルサフスキーCEOはそうした不安を一蹴する。

 ユーザーはすべてIDで管理しており、セキュリティーの問題はない。通信ログも取ってある。FONユーザーによって急激に通信量が増えるわけでもない。誰かが家にいない時に、ほかの誰かがその回線を使うだけのことだ。

 我々は世界の多くのISPと提携関係にある。FONはブロードバンド(高速大容量)通信の普及に貢献しており、ISPの敵どころか味方だよ。

 バルサフスキーCEOの自信を裏づけるように、風向きが変わる気配もある。フォンと大手ISPとの水面下の交渉に進展があったというのだ。

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「「ネット接続0円」の衝撃波」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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