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JAL、正念場は5月、8月…

再生計画の未達が続けば銀行の協力姿勢に暗雲

  • 永井 央紀

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2007年4月10日(火)

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 3月30日朝、日本航空(JAL)(9205)の西松遙社長は、いつもより30分ほど遅く自宅を出てきた。普段はライトグレーなど明るい色のスーツが多い西松社長だが、この日はフォーマルなダークスーツ。「急いでいるから」と報道陣を振り切り、妻の運転する車で慌ただしく出かけていった。行き先は「3月28日に追加融資の契約を交わした主力銀行へのお礼の挨拶」(関係者)だったという。

 懸案だった追加融資が決まった直後で、本来なら上機嫌であるべきところ。それが、報道陣を避けるように去っていったのには理由がある。前日夕方、主力取引行が相次いでJALの債務者区分を引き下げる動きが明らかになったのだ。

 まず三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行が金融庁の検査を受けて、債務者区分の引き下げに動いた。JAL向けの融資には大幅な引当金の積み増しが必要となり、今後の新規融資は困難になる。準メーン銀行のみずほコーポレート銀行も3月下旬から金融庁の検査が入っており、JALの債務者区分を両行に合わせてくると見られる。

 カギとなるのは融資額が4000億円近いメーン銀行の日本政策投資銀行だ。幹部は「うちに金融庁の検査は入っていない。債務者区分は(JALが2月に策定した)再生計画の推移を見て決めること」と語る。しかし、関係者からは「一部の幹部はJAL担当者のやり方が生ぬるいと不満気だ」との声が聞こえる。

「苦戦しているが、数年で必ず再生する」と入社式で語る西松遙社長

「苦戦しているが、数年で必ず再生する」と入社式で語る西松遙社長

 週が明けた4月2日、東京・天王洲アイルのJAL本社ビルで開かれた入社式。「厳しい状況なのは分かっているが、この会社に引かれた」と言う新入社員に、西松社長が「社会から糾弾されている時期によく日本航空を選んでくれた」と話すなど、再建途上の緊張感は入社式にも漂っていた。その後、取材に応じた西松社長は債務者区分の見直しに対する質問に「銀行からは今後もサポートしていただけると、つい最近も聞いた」と強調した。

 3月29日からこの日までに株価は6%下がり、信用リスクを表す社債(2011年2月償還)の国債利回りに対する上乗せ幅(スプレッド)は2.35%から2.46%に急拡大した。「再生計画の発表後、楽観的な見方が漂っていた市場の目を覚まさせた」(フィッチ・レーティングスの青山悟ダイレクター)という。

新たなリストラ策も

 では、JALは今後どうなるのか。まず、JALの資金繰りがすぐに危うくなるのかというと、必ずしもそうではない。下の表は、再生計画の目標数値や市場関係者の試算を基に、JALの今後の必要資金額をまとめたものだ。

当面の資金繰りは銀行の借り換え応諾が前提

 新たに調達が必要な資金は、2007年3月期の550億円のみ。この分は3月28日に契約した595億円の追加融資で賄える。今後、再生計画の目標を達成し、各行が残高の借り換えに応じてくれる限りは、当面の資金繰りに問題はないと言える。国土交通省の安富正文事務次官は4月2日の定例会見で「今年度の資金繰りに問題はないと聞いている」と述べた。

 ただ、JALが過去に立てた経営計画目標はことごとく未達に終わってきた。今回の再生計画は、3年で営業キャッシュフローを倍増させるなどハードルが高い。にもかかわらず、不採算路線として撤退を決めた路線を、計画発表の直後に復活させるなど、早くも行き当たりばったり感がにじんでいる。目標達成に疑問が生じてくれば、借り換えに応じない金融機関が出てくる可能性がある。

 その場合、「最初の山場は500億円の社債償還と長期借入金の借り換え期限が来る5月だ」(JAL関係者)。金融機関が必要と判断すれば、この時期に新たな追加リストラ策を求められる可能性が高そうだ。西松社長は「環境の変化に合わせて適切に対応を取っていく」と追加的な施策も示唆している。

 その次に来る節目は航空需要が高まる8月。航空会社の収支は季節性が大きく「春が大赤字、夏に黒字化して、秋冬を耐えてしのぎ切る」というもの。金融機関が注目するのは夏場の搭乗率だ。この唯一とも言える稼ぎ時に、どれだけの実績を残せるか。目標を大きく下回れば銀行の協力姿勢に影響し、JALの資金繰りにも直結しかねない。

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