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「資産デフレ終焉」の実相

“公示地価16年ぶり上昇”からは見えない選別の脅威

2007年4月10日(火)

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国土交通省は3月22日に、2007年1月1日時点の公示地価を発表した。16年ぶりに全国平均地価が上昇したため、報道には「もはや資産デフレは終わった」という論調も見られた。だが、みずほ証券の石澤卓志・不動産アナリストは、水面下では厳しい選別が進んでいると指摘する。公示地価からは見えない実相を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン=谷川 博)

みずほ証券の石澤卓志氏

NBO 公示地価が16年ぶりに全国平均で上昇し、「ようやく日本の資産デフレが終わった」と言われています。

石澤 それほど大騒ぎすることではありません。既に東京都の都心部など一部地域では3年ほど前から地価の底打ち感が出ています。そうした状況を見ている不動産専門家からすれば、資産デフレはとっくの昔に解消されています。「今さらなんだ」という印象です。公示地価はリアルタイムの指標ではないので、実態より遅く傾向が出てくるのです。いわば、実態の後追いなんですね。おおむね1年半遅れといったところでしょうか。

 ですから、不動産取引が盛んになっている時には、前年までの公示地価と実態との乖離がものすごく大きくなる。国交省の委託を受けた鑑定員は、公示地価の評価の際にこのギャップを埋めようとします。その結果、今回の公示地価では前年の価格と比べた「地価上昇率」が実態よりも高く出ました。前年比伸び率40%以上のところがゾロゾロありますが、これは実態よりも2~3割高いと見ています。

 国が一般土地取引の指標として毎年発表している公示地価を眺めているだけでは、日本の不動産市場の実相は見えてこないのです。

外国人投資家が東京の地価高騰を牽引

NBO では、実際にはどのようなことが起こっているのですか?

石澤 既に東京都心部では地価が相当に高くなっています。例えば、REIT(不動産投資信託)は最近、以前のように他社と競争して入札で不動産を買うことを避け、設立母体である不動産会社などから物件を割安に譲り受けている。従来のやり方では購入価格が高すぎて想定利回りを確保できないからです。新規投資を抑制しているREITさえあります。

 また現在、首都圏の賃貸マンションの平均月額賃料は1坪(3.3平方メートル)当たり約9000円ですが、REITが運用対象にしている東京都内のハイグレードな物件は坪1万2000~1万4000円。そうしたREIT物件の中で最も賃料が高いのが東京都港区にある「元麻布ヒルズ」です。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が以前住んでいたことで有名ですが、ここが坪2万4000円もします。

 ところが、もっと高い賃貸物件が出てきた。3月末に東京都港区にオープンした大規模複合施設「東京ミッドタウン」の住居棟です。ここには何と賃料が坪3万5000円もする住宅がある。ミッドタウンに入居する外資系ホテルには1泊200万円のスイートルームもあるそうで、この施設は全般的にかなりの高級感を売り物にしています。

NBO そんなに高額な住宅やホテルへの需要があるのですか?

石澤 外国人投資家にすれば、「日本でもようやくグレードの高い物件や値段の高い物件が出始めた」という感覚なんですよ。彼らの目には「日本の不動産はこれまで出遅れていた」あるいは「日本の不動産には割安感がある」というふうに映っているようなのです。

 そう思うのも無理はありません。米国では超高級マンションが続々と建てられていて、ニューヨーク、マンハッタンの一等地であるバッテリーパーク周辺の高級住宅になると、日本企業の駐在員などにはとても手が出せないほど高い。また、英国ロンドンの金融街シティでも、この1~2年間にビジネスマンが平日の“ネグラ”として使うための賃貸住宅が多く供給されています。住戸面積は30~40平方メートル、10坪前後ですが、その月額賃料は日本円で70万~80万円。坪単価で、東京ミッドタウン住居棟の倍以上にもなる。

オーストラリアで日本狙う不動産ファンドの上場が相次ぐ

 こうした世界的な不動産価格の高騰を目の当たりにしている外国人投資家が、「日本の不動産はまだ割安だ」と感じるのは当然でしょう。彼らの積極的な投資が東京都心部の不動産価格の高騰をもたらしているのです。実際、オーストラリアの証券市場では2005~06年に日本専門の不動産ファンドが3つ上場しました。つい先頃も4つ目の上場予定が公表されたばかり。日本の不動産市場への海外マネーの流入が盛んになっています。

コメント5件コメント/レビュー

この1,2年中国は勿論、東南アジアの首都の変貌ぶりには目を見張る。日本はバブル崩壊後萎縮してしまって取り残されていたのではないのかと思われた。しかしお台場、汐留の開発以来ようやく各国に追いついてきたのではと感じる。それとは別に、国内のことを考えると東京だけに全てが集中し、地方が衰退する姿は決して健全だとは思えない。どなたか財界の方が、「投資効率を考えたら過疎地に投資するより大都市に集中投資をする方がより効率がよい」と言っておられた。確かに“投資効率”だけを考えたらそうかもしれないが、日本全体を健全な国土にするには、それぞれの地方を健全に維持することが大切なのではないだろうか。各地を健全な形にするのは、広い道路や大きなビルを建設するだけではないだろう。自然を生かす、伝統を生かす等々方法は沢山あるのではないだろうか。そうしたところへ投資する資金は生まれてこないかと待たれる。(2007/04/11)

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この1,2年中国は勿論、東南アジアの首都の変貌ぶりには目を見張る。日本はバブル崩壊後萎縮してしまって取り残されていたのではないのかと思われた。しかしお台場、汐留の開発以来ようやく各国に追いついてきたのではと感じる。それとは別に、国内のことを考えると東京だけに全てが集中し、地方が衰退する姿は決して健全だとは思えない。どなたか財界の方が、「投資効率を考えたら過疎地に投資するより大都市に集中投資をする方がより効率がよい」と言っておられた。確かに“投資効率”だけを考えたらそうかもしれないが、日本全体を健全な国土にするには、それぞれの地方を健全に維持することが大切なのではないだろうか。各地を健全な形にするのは、広い道路や大きなビルを建設するだけではないだろう。自然を生かす、伝統を生かす等々方法は沢山あるのではないだろうか。そうしたところへ投資する資金は生まれてこないかと待たれる。(2007/04/11)

首都圏から四国へ移動して一番驚いたことは、交通の便が悪いこと。高松や松山などは公共の交通機関がありますが、それ以外は自家用車で移動しなくてはなりません。高齢化した方が住むには、ちょっと・・・。危ない運転の方、自動車の動向を見ずに走るよろよろ自転車(もちろん、自転車専用通路は田舎にはないのです)。その他高齢化した医者、無選挙で決まる議会議員。もちろんいいところもあります。農業・漁業でなくても安く新鮮な食材があるなど。ただし種類は限られます。まちは、老若男女ともにいなくてはやはり発展しないのでは?東京も若い元気な労働者とそこに投資する一部のお金持ちだけのまちになっているように思えますしね。(2007/04/10)

家計金融資産1500兆円といわれるこの国は、まともな金融教育がいまだになされず、大半が預貯金に眠ったまま。そのまま年を取るので、利回り10%とかの金融サギに簡単にひっかかる。インド株式がいいと聞けば資金が殺到し、インド人も驚く指数の急騰。一方為替相場では緩やかな円安を主導しているようだ。このような資金が国内の不動産に向わないのは何故だろう?バブル期のイメージが悪いのか、投資商品の品揃えが悪いのか。海外マネーがどんどん来るのは分かるが、自分の庭は自分が一番良く分かるはずでは?相も変わらず「外資マネー批判」してもしょうがない。ついでに「格差批判」まで出てくるようでは・・・(2007/04/10)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長