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私(40代)が結婚式に呼ばれない理由
~失われた「仲人」の10年

  • 山中 浩之

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2007年5月1日(火)

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 まずは下の図をご覧いただきたい。ぱっと見て何のグラフかお分かりだろうか。背景になっているのはもちろん日経平均。折れ線は何を意味するかというと…。

図1 「日経平均と“仲人率”の乖離」

 仲人なのだ。

 結婚式を挙げた中で、結婚式に仲人を立てた、と答えた組の比率(首都圏、結婚情報誌「ゼクシィ」(リクルート)の「結婚トレンド調査」より)だ。

 なんとか5割を維持してきた仲人率は、1997年4月の消費税税率引き上げ(仲人率の調査は毎年5月時点)から、北海道拓殖銀行破たんと山一証券の自主廃業(11月)を経て急落する株価と足並みを揃え、98年に急降下。株価はいったんITバブルで浮上していくのに一本調子で落ち込み続け、そして最近の株価回復にもかかわらず、とうとう1.1%になってしまった。

 10年ちょっと前は6割が仲人を立てていたのも今となっては意外だが、現状は絶滅状態というのも驚きだ。当サイトのK編集長(40代後半)によれば、「1組の夫婦は、生涯に3度は仲人をする」という言葉があったそうだが、100組のうち1組ではとてもとても、出番はなさそう。K編集長も「ああ、僕も仲人なんてやったことないよ」と笑う。

※(注)この調査数字は首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)のもの。あらかじめ申し上げると、この後に出てくるデータも含めて首都圏が他の地域と大きく異なる傾向はない。サンプル数が多い分、信頼性が高いともいえる。全国の数字を挙げないのは、ゼクシィの調査が94年から行われているエリアが首都圏に限られるためだ。調査データはこちらから確認できる(仲人のデータは掲載されていない)。また、「仲人」は結婚式や披露宴だけでなく、縁談、あるいは結納から立ち会う人であり、式当日だけ立ち会う役目を負うのは「媒酌人」と呼ばれる。しかし本記事、ゼクシィの調査では仲人=媒酌人として扱っている。 ※5月1日追記 記事中の「結婚式」は「披露宴」と書くべきとのご意見を頂戴しました。本記事中では慣用的に「結婚式」と書いておりますが、正しくはご指摘の通りです。お詫び申し上げます


 数字を見ているうちに「仲人はともかく、そういえば、最近結婚式(正しくは披露宴、以下同)に呼ばれることもめったにないぞ?」と気がついた。

 社内報を読んで「えっ、こいつら社内結婚していたのか」と気づくことが多いのだ。私(40代前半)の同年代が時々「最近の連中はいつの間にか結婚しているんだよな」とつぶやくのを聞いたこともある。これをお読みの同世代以上の方、思い当たる節はないだろうか。

 順序よくいこう。結婚自体が減っているなら、呼ばれる可能性も低くなる。まず、婚姻届の数の推移はどうなっているだろう。

図2 「婚姻数の推移」

 2000年前後は、第二次ベビーブーム(1971年~74年)で生まれた層がまさに婚姻期(25歳~34歳)を迎える。理屈の上では、日本でおそらく最後の婚姻数が盛り上がる時期だ。しかし、第一次ベビーブームの層は、1970年代前半にくっきりした婚姻数の山を描いたのに対し、今回の山は晩婚化の影響でなだらかになり、件数自体は盛り上がりを欠く。

 件数が減少気味なのは確かに理由のひとつだ。しかし、我々が式に招かれなくなった理由は他にもある。招待客の人数が減っているのだ。しかもどうやら、会社の上司が削減対象になることが多いようなのだ。

図3 「披露宴・披露パーティの招待客人数」

図3 「披露宴・披露パーティの招待客人数」

 「媒酌人を立てないことと合わせて、規模を小さくして、呼びたい人だけ呼ぶ。そういう傾向がどんどん強くなっていますね。会社の人は呼びたくない、とか、上司は呼ばないで同僚、友人、親戚の方だけお招きになるとか。親戚の方だけ、というケースも珍しくありません」(笹川達也・ホテルグランパシフィックメリディアン セールス&マーケティング部婚礼サービスグループ課長補佐)

図4 「首都圏の挙式・披露宴・披露パーティの費用総額」

図4 「首都圏の挙式・披露宴・披露パーティの費用総額」

 自分自身「おカネを使って、義理で会社の上司を呼ぶ結婚式などまっぴら」などと思っていたが、実際にここまで正直かつドラスティックに、状況が変わっていたことにまた驚いてしまう。そうは言っても、日頃顔を合わせる会社の人間は呼ばねばならないもの、じゃなかったんだろうか。

 もうひとつ面白いのが、招待人数は減っても費用はむしろ増えていること。つまり、招かれる側にとっては、コストパフォーマンスがどんどん良くなっているのだ。

 ここで、今まで出てきた数字と日経平均を重ね合わせてみよう。

 バブル後最安値の2003年4月28日を過ぎて(調査は毎年5月)以降、結婚式にかける費用は急上昇を始める。仲人率はさらに下降する。婚姻件数は昨年から上昇に転じた。招待客人数も復活の気配を見せるが、やはりこちらも底ばいだ。

図5 カイシャとケッコンシキは切り離された?

 動き方が似ているからと言って、株価(景気)と結婚がダイレクトに関係しているとはもちろん言えない。仲人が必ず会社の上司というわけでもない。しかし、景気が好転、結婚式にお金をかけるようになった一方で、そのもてなしの向き先が大きく変わったことは確かだ。いわゆる「失われた10年」の間に、結婚式(をする個人)と、会社との関係が極めて薄くなったという、状況証拠くらいには採用してもいいのじゃなかろうか。

 結婚情報誌「ゼクシィ」の伊藤綾編集長は、この根底にあるのは「招く側と招かれる側の関係性の変化」だと指摘する。

 結婚式、そして披露宴は、社会と個人との関係を映し出す。

 かつては「家と家」との結びつきを、親の名前で招待状を出し、両家に繋がるお客を招いて「披露する宴」だった。それが高度成長期、企業と共に豊かになっていく時代には「仲人」「媒酌人」に上司を指名し、招く客も勤め先の人間中心になり「個人とカイシャ(の上司・社内組織)」の縁を知らしめる役割を担った。

上司も会社も守ってくれないならば

 そしておそらくは、「拓銀破たん」「山一廃業」の時期を契機に、「カイシャ」との縁を重視する時代は終わり、1999年の労働者派遣法改正などによる雇用形態の激変を経て、おそらく二度と帰ってこない。考えてみれば、上司に頼って守ってもらおうとしても、会社そのものが長く続くかどうか分からなくなった。派遣や契約社員ならば、誰がいったい上司なのか。

 「招待するゲストを自分たちの意思で選ぶようになって、そこ(披露宴の場)でやりたいことは『お披露目』から『おもてなし』になったんです。結婚式のスタイルが変わったのではなく、日本人の結婚に対する考え方の変化がある」(「ゼクシィ」伊藤編集長)。

 ならば、いま結婚するふたりは自らの意思で誰を招き、どうもてなそうとしているのだろう。ウェディングビジネスの現場からあれこれ聞いてみた。

コメント10件コメント/レビュー

私は50代で、約30年前に結婚式をしましたが、現在の仲人なし、会社関係招待せず、と同じ形でした。 ですから これだけ年数が経っても 90年代にはまだ少数派の形式だったんだと あらためて知りました。 そうなった理由は 今の若い人達が考えているのと全く同じものです。 結婚がもしその5年後だったらその時の主流の形だったかもしれませんが、若かったので勢いで 親を説得してしまいました。そうしたかった最大の理由は 結婚は個人的なものなので会社と絡ませたくないということでした。今思うと、形式だけは最先端だったのか ということです。(2007/07/11)

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私は50代で、約30年前に結婚式をしましたが、現在の仲人なし、会社関係招待せず、と同じ形でした。 ですから これだけ年数が経っても 90年代にはまだ少数派の形式だったんだと あらためて知りました。 そうなった理由は 今の若い人達が考えているのと全く同じものです。 結婚がもしその5年後だったらその時の主流の形だったかもしれませんが、若かったので勢いで 親を説得してしまいました。そうしたかった最大の理由は 結婚は個人的なものなので会社と絡ませたくないということでした。今思うと、形式だけは最先端だったのか ということです。(2007/07/11)

「セクハラ対策」で、結婚の有無や性交渉に関する言動が職場では基本的に禁止されています。(その勤務先でなぜ社内結婚が可能か、ある意味では謎ですが)冒頭の件もあって、当然のように上司・部下関係にある者でもギリギリまで婚姻の予定を知りません。そんな関係の人たちが、当然、私用で「世話になる」はずはありません。自分たちが楽しむパーティに、上司を呼ぶ理由など無いのです。(2007/05/10)

20代の女性です。私も今年10月に結婚式を挙げます♪今回の記事は大変興味深く読ませていただきました。私自身が上司を呼ぶことを断固拒否したからです。人生で一番幸せな時間に、なんで義理で会社の人間なんかを呼ばないといけないのか。その場に一歩でも足を踏み入れてくれるなぐらい思います。だって義理以外の何物でもないんですから。結婚式の主役は「新郎・新婦」であり、主役が呼びたくない人を「義理だから」とか「慣習だから」とかいう理由で無理やり呼ぶなんて、むしろ呼ばれた方にも失礼な気がします。心から「いつもお世話になってます」と思えるんであれば、別に上司だろうと後輩だろうと「友人の一人」として気持ちよく呼べる訳で、仲人としてであろうと上司を無理やりたてる必要性が理解できません。「自分らしさ」が主流となっているようですが、結婚式で大切なのは主役たちの「人生で一番幸せな笑顔」であって、義理だからと上司を呼んで、目が合った途端に笑顔も「義理笑顔」になってしまったら、本末転倒だと思います。(2007/05/08)

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