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2007年4月26日(木)

銃乱射事件ショックに揺れる韓国

「犯人は韓国人」の衝撃と米国との微妙な距離感

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 米バージニア工科大学での銃乱射事件は、米国はもちろんのことだが、韓国をも震撼させた。

 「犯人は中国系」──。そう見られていた頃までは、乱射事件に関連してジョージ・ブッシュ大統領を皮肉る漫画評論が新聞に掲載されるくらいで、韓国内では“対岸の火事”を眺めるような雰囲気があった。だが、「犯人の国籍は韓国」ということが判明するやいなや、韓国内の空気は凍りつき、韓国人はパニック状態に陥った。

韓国を挙げての謝罪と懺悔

 ノ・ムヒョン大統領は米国に対する謝罪コメントを3回も出した。駐米韓国大使は在米韓国人の集会において、「32日間の断食」に入って悔い改める気持ちを米国民に示そうと提案した。政府は大統領特使や弔問団を送る計画を立てた。ソウル市内の米国大使館前では、市民団体の人々が泣きながら土下座で謝罪した。枢機卿の呼びかけで被害者を弔う集会が各地で開かれた。

 グローバル企業のイメージが高いサムスンやLGなどは、ビジネスへの直接的な打撃は大きくないだろうと予測しながらも、米国内では「KOREA」という国名を掲げてのイベントは控えることを決めた。「韓国企業」としてのブランドが浸透している現代自動車は、なるべく目立たないように広告キャンペーンなどを自粛する方針だ。

 韓国観光公社は、米国からの観光客を増やすためのキャンペーンを張り始めた矢先だった。事件が起きた4月16日から「コリア・スパークリング」というキャッチフレーズでCNNに広告を流し始めていた。キャンペーンは6月30日までの予定だったが、事件発生翌日の17日には放映を中断した。

 外国人が他国で殺傷事件を起こすことはあるが、今回は32人という多数の犠牲者を出した。米国の教育現場を舞台とする銃乱射事件では史上最悪の記録を塗り替えてしまった。だから、犯人が韓国籍だったことが、多くの韓国人に連帯責任の情と重苦しい罪悪感を抱かせた。まるで事件を起こしたのが「韓国」そのものであるかのような集団心理に陥ったのである。ある有名な韓国人詩人は、被害者を弔う集会で献上した詩の中で「私たちがあなたたちを殺した」と書き綴った。

韓国と米国の間にある微妙な距離感

 だが、冷静になって考えれば、「韓国」が今回の事件を起こしたというわけではない。国家対国家のイデオロギー対立という要素が事件の背景にあったわけでもない。確かに犯人の国籍は韓国だったが、8歳の時に両親とともに移民して米国永住権を得ている。米国で長く生活し、米国の教育を受けてきたわけで、限りなく米国人に近い韓国人だった。

 犠牲者に対して哀悼の意を表するのは人として自然な気持ちの動きだとしても、「韓国があなたたちを殺した」とまで言って懺悔するのは行き過ぎのように思う。ただ、その背景には、韓国と米国との微妙な距離感がある。

 第1に、200万人もいる在米韓国人、そして10万人を超える韓国人留学生の存在である。韓国人にとって忘れられない記憶──それは、15年前、カリフォルニア州ロサンゼルスで大暴動が起きた時、韓国人や韓国商店が集中的に狙われたことである。米国社会に多くの韓国人が根ざしているのに、両者には乗り越えることのできない壁があるという現実。あの悪夢が韓国人の深層心理に与えた衝撃は大きかった。

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著者プロフィール

アン・ヨンヒ

韓国・梨花女子大学の非常勤講師。JMM(Japan Mail Media)の「Younghee Ahnの韓国レポート」、朝日新聞 BEの「Ahn@Korea」など、コラムニストとしても活躍中。著書に「シナブロ−若い韓国を知る本」(小学館)がある。


このコラムについて

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