「NB100」

花王

見えないカネボウ化粧品との相乗効果

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2007年4月27日(金)

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 子会社化したカネボウ化粧品を含めた初の決算として注目された花王の2007年3月期決算は、営業利益が連結で前期比0.6%増と辛うじて減益は免れたものの、利払い費用の増加などで経常利益、純利益ともそれぞれ同1.5%、同0.9%減少した。

 花王は2006年3月期、24期続いた連続増益記録が途絶えた。2006年2月に約4200億円で買収したカネボウ化粧品の商標権や営業権などの償却負担と、買収資金を全額有利子負債で充てたため、支払い利息が増加したからだ。2007年3月期も状況は変わらなかった。

 カネボウ買収の効果が利益貢献に表れなかったことに対して、花王の尾崎元規社長は「今は投資の時期」と強調する。それは今期(2008年3月期)も変わらない。今期は国内の家庭用品の売り上げ拡大に向けた市場投資と、中国化粧品市場に向け先行投資を本格化させる方針。そのため今期の連結予想業績は5.7%の営業利益減、7.6%の経常利益減を見込む。「増益に転化するのは2009年以降を見込んでいる」(尾崎社長)。

 花王の大きな課題は、カネボウ化粧品との合併効果を早期に出すことだ。合併後、2010年までに130億〜150億円のコスト削減効果を狙っているが、2006年はシナジー委員会を設立し「お互いを知り、今後の方策を練る」ことに費やしている段階。

 今期から共同での物流、原料調達、広告宣伝を進めていく考えだが「今期の削減効果は全体の1割、15億円程度を見込んでいる」(尾崎社長)と大きな進展は望めそうにない。

高付加価値路線の推進が増益の鍵

 増益体質を取り戻すには、まず売上高の約60%を占める家庭用トイレタリー商品の強化が必須で、既に明るい兆しは見えている。2007年3月期には同事業の売上高は前期比で5.8%増、営業利益は同6.7%増となった。家庭用トイレタリー製品はここ数年、市場全体が単価下落の波に飲み込まれ、花王も少なからず影響を受けてきた。こうした状況を打開するため、花王は単価を高くできる高付加価値商品の開発に取り組んできた。

 技術を前面に押し出し機能性を重視してきた従来の製品開発方法に対し、消費者の視点に立ち、消費者を引きつけるブランドイメージや製品の雰囲気を重視する方法に切り替えた。こうした高付加価値商品には洗顔フォームの「ビオレ マシュマロホイップ」や住宅用掃除用具「クイックルワイパー ハンディ」などがある。

 特に力を入れているのがヘアケア製品だ。2006年に30年以上の長寿ブランドである「エッセンシャル」を10〜20代女性向けに全面的にリニューアルした。そして4月27日から40代女性を対象にした「セグレタ」を投入する。

 年齢とともに増える髪の毛のウネリを抑え、ツヤを高める効果をうたったセグレタは、原材料にざくろやローヤルゼリーなど5種類の天然素材を使うなど高級化を図り、店頭実売価格はシャンプー(500ミリリットル入り)で1000円程度。シャンプー低価格品の平均単価は500円程度。これに対してセグレタは2倍の値段になるが「高くても売れる」と強気だ。

 花王はヘアケア市場で資生堂とトップ争いを展開しており、セグレタで5%のシェアを確保することでトップの座に着きたい考えだ。

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著者プロフィール

宇賀神 宰司(うがじん・さいじ)

日経ビジネス記者。1993年に日経BP社に入社し、パソコン専門誌「日経MAC」「日経クリック」「日経WinPC」の編集を担当する。2002年〜2004年、米ニューヨークに留学。帰国後、中小企業のためのIT化情報サイト「SMB+IT」「日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)」の編集を経て、2007年から「日経ビジネス」編集部。流通、中小ベンチャー、マネジメント、IT(情報技術)を担当する。2011年、約4カ月にわたりケニアの首都ナイロビに滞在。趣味はサーフィン、スノーボードとサンバ楽器演奏。



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日経ビジネス編集部が、NBonline(日経ビジネス オンライン)上で定点観測していく100社のこと。100社は東京証券取引所第1部に上場する企業のうち、CSR(企業の社会的責任)と成長性を中心に日経ビジネス編集部が独自に選定した。このコラムでは、100社の動向や経営戦略を解説していく。NB100およびNB100株価インデックスについては、こちらのページを参照いただきたい。

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