信越化学工業の業績拡大が止まらない。
4月27日に発表した2007年3月期の連結決算は、売上高が前期比16%増の1兆3047億円、営業利益が同30%増の2410億円といずれも過去最高を更新した。12期連続の最高益更新で、直近では3期連続で20%を超える増益を果たしている。今期の営業利益予想は2670億円と、2ケタ増益を見込む。
米デュポンや米ダウ・ケミカルを凌駕
その強さは、債券市場でも評価されている。米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4月12日、「好調な業績と強固な財務構造」(ムーディーズ)を理由に、信越化学の発行体格付けをA1からAa3に1段階引き上げた。Aa3は独BASFと並んで、世界の化学メーカーでは最も高い格付けだ。
米デュポンや米ダウ・ケミカルなど、「ケミカル・ジャイアント」と呼ばれる大手化学メーカーの格付けを上回る。国内では他の業種も含めて見ても、信越化学を上回るのは、Aaaのトヨタ自動車やAa1の武田薬品工業、Aa2のキヤノンといった“超優良企業”に限られる。
5月に入り、株価は7000円台後半で推移する。今年1月に付けた8170円の上場来高値をうかがう動きを見せている。野村証券金融経済研究所の西村修一アナリストは「DCF(割引キャッシュフロー)法による1株当たり株主価値は1万942円。今の株価は割安感が強い」と評価する。日興シティグループ証券の金井孝男アナリストも「ターゲットプライスは9800円。今後の株価上昇余地は大きい」と見ている。
半導体シリコンの利益が実質倍増
前期大幅増益の牽引役となったのは、世界シェア首位の半導体シリコン事業だ。売上高は前期比33%増の4067億円、営業利益は同70%増の900億円となった。信越化学は今期、半導体シリコン製造設備の耐用年数を5年から3年に短縮し、減価償却費負担が260億円発生した。この減益効果を除くと、前期比2.2倍の大幅増益となる。
好調の背景には、半導体メーカーの需要を先取りし、ウエハー製造能力の増強を続けていることにある。半導体用シリコンウエハーは直径200ミリの旧世代から最先端の300ミリへ世代交代が急速に進んでいる。1枚のウエハーから生産できる半導体チップが倍以上になり、同じチップなら生産コストを約3割削減できるからだ。日本だけでなく、台湾や中国でも300ミリ対応工場の能力増強が相次ぎ、需給逼迫が続いている。
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