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日の丸半導体、再生への最後の選択

力の分散が命取り、「解体」と「大統合」で活路を開け

  • 水野 博泰

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2007年5月11日(金)

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日本の半導体産業の再生のために残された時間はあと3年──。電機業界のトップアナリストとして知られるドイツ証券の佐藤文昭氏は、分散したリソースの大統合を急がなければ未来は暗いと警鐘を鳴らす。“日の丸半導体”のターニングポイントを聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)

■佐藤文昭氏は、クオンタムリープなどの主催で6月6日(水)、7日(木)に福岡市で開催されるフォーラム 【Asia Innovation Initiative(AII)】 にパネリストとして参加。半導体産業の未来について議論します

■関連記事: 出井流、楽観的ニッポン改造論

ドイツ証券の佐藤文昭氏(写真:清水盟貴)

NBO 日本の半導体業界が置かれた状況は厳しいですね。

佐藤 中長期的に見ると、かなり厳しいものがあります。日本の半導体は1988年に世界で51%の市場シェアを握っていたのがピークです。そこからずっと下がり続けていて現在は20%程度まで落ちています。メモリーは既に底を打ってシェアを戻していますが、ロジックはまだ落ちている最中です。

 まずメモリーについて何が起こってきたのか振り返ってみましょう。かつて日本には10社ぐらいのDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)メーカーがあってピーク時には80%の世界シェアを押さえていました。ところが1つの工場当たりの設備投資の規模がどんどん大きくなり、各社が負担しきれなくなってしまった。そこで中堅規模メーカーがアジアに出て行ったのです。技術を提供するからお金を半分出してよという具合に。当然ノウハウが流出し、台湾や韓国を含めたアジア勢が自分たちで作れるようになるわけです。お金はグローバルな資本市場でいくらでも調達できます。安い製品がアジアから大量に供給されるようになって、日本勢は太刀打ちできなくなってしまった。1990年代にすさまじい勢いでシェアを失い、DRAMのシェアはボトムで3%まで落ち込んでしまったのです。

 ところが、現在は15%近くまで戻しています。10社もあったDRAMメーカーは撤退と集約が進み、エルピーダメモリだけになりました。CEO(最高経営責任者)を外部から引っ張ってきて、IPO(新規株式公開)して資本市場から資金を調達して大規模な設備投資をした。全社員にストックオプション(株式購入権)も与えてやる気を引き出した。これまでとは全く違う手法によって再生に成功したのです。

ロジックの落ち込みが止まらない

NBO 世界と戦うために世界のルールに従ったということですね。ロジックはどうですか。

佐藤 実は、日本の半導体シェアが51%から20%まで落ちた要因の3分の2がロジックなんですよ。ロジックの落ち込み方はメモリーよりも厳しい。誰に奪われたかというと、「ファウンドリー」と「ファブレス」のモデルです。ざっくり言えば、台湾にあるファウンドリー(受託生産会社)、米国を中心にたくさんあるファブレスのデザインハウスという組み合わせによってシステムLSI(大規模集積回路)、ロジックが作られて、世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)になっていった。その過程において日本のロジック、システムLSIがどんどんシェアを奪われていったのです。

 問題は、パソコンやテレビ、携帯電話などのセットメーカーの多くがまだ自分たちで半導体事業を抱えていることです。いわゆるIDM(integrated device manufacturer)として、セットを差異化するために半導体を持たなければならないと。しかし、世界ではほとんどのセットメーカーが半導体事業をスピンアウトしてしまった。内部に抱え込んでいるのは日本企業だけなんですよ。

 セットが世界でかなり高いシェアを握っていればそれでもいいかもしれませんが、日本のセットメーカーのシェアはそれぞれを見るとあまりにも小さい。だから数量効果が出ないのです。例えば携帯電話メーカーは日本に10社ぐらいありますが、日本という閉じたマーケットの中で10社でシェアを奪い合っている。日本の市場は世界の10%ぐらいしかない。10%を10社で単純に割り算すると世界の1%にしかならない。一方、海外のトップメーカーは25%とか30%です。1対30です。1%のために半導体を作るのと、30%のシェアを握るメーカー向けに半導体を作るのとでは、規模感が桁違いに違ってくる。量産ビジネスである半導体で、この差は致命的です。

解は、「製造」の大統合と「設計」のスピンアウト

NBO メモリーは変われたのに、なぜロジックは変われないのでしょうか?

佐藤 メモリーはコモディティー(汎用品)であって、自社セットの差異化のポイントにならないと考えられたので、外に切り出すことができた。しかし、ロジックについては切り出す正当化ができていないんです。半導体事業に携わっている人たちはもうこのままではジリ貧になると分かっているんですよ。もう自分たちの会社では最先端の45ナノメートル(ナノは10億分の1)への投資はできないことを分かっている。投資額は莫大ですから。投資しなければ、競争にならないことも分かっている。しかし、まだ決断ができない。

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