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クライスラー終わりの始まり

「突然死」は許されない自動車メーカー

2007年5月23日(水)

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 独ダイムラークライスラーは14日、北米クライスラー部門を米投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントに55億ユーロ(約9000億円)で売却すると発表した。ダイムラーが持て余したクライスラーをどう再生するのか。投資ファンドの手腕が注目されるが、サーベラスに与えられた真の使命は「再生」ではなく「時間稼ぎ」かもしれない。

 「ダイムラー、クライスラー双方が新しいスタートを切るための正しい状態を生み出した」。14日の会見でダイムラークライスラーのディーター・ツェッチェ社長はこう語った。
 重荷を下ろしたダイムラーは確かにそうだが、クライスラーが「正しい状態」になったとは考えにくい。クライスラーはこれからどうなるのか。それを知るための大きなヒントが実は中国にある。

10ポンドで売られたローバー

 3月27日、中国の南京汽車集団が新型セダンの生産を開始した。「中国初の本格的スポーツカー」をうたうオープンカーの土台は往年の名車、英ローバーである。南京汽車は2005年、経営破綻した英MGローバーの資産を買い取り、生産設備を南京に持ち込んでこの車を作った。南京汽車は、ローバーが30年に及ぶ苦難の長旅を経てたどり着いた終着駅なのだ。

 ローバーの歴史は社員が自ら「クライシス・ドリブン(常に経営危機に突き動かされてきた)」と呼ぶほどの綱渡りだった。

 ローバーは石油ショックによる経営危機で1975年に国有化され、88年に英航空機メーカーのブリティッシュ・エアロスペース(BAe)による買収で民営化、ホンダとの資本提携を経て94年に独BMWが買収した。ここでも再建は思うに任せず、2000年にはBMWが英投資会社のフェニックス・コンソーシアムにわずか10ポンドでたたき売った。そして国有化から30年目の2005年、ついに破綻。人気ブランドの「ランドローバー」は米フォード・モーター、「ミニ」はBMWの下で生き残ったが、企業としてのローバーは消滅した。破産管財人は工場などの資産を南京汽車に売却した。

 ローバーの遍歴は「キング・オブ・インダストリー」と呼ばれる自動車メーカーの幕引きの難しさを物語る。
 産業生態系の頂点に君臨する自動車メーカーがひとたび破綻すれば、下請け会社や販売店のみならず、鉄鋼、化学、電機などあらゆる業種の取引先が連鎖倒産に巻き込まれる恐れがある。そのメーカーが世界各地で生産・販売した自動車の保守・整備に責任を負う主体がなくなり、数千万台から数億台が「走る凶器」と化してしまう。

 雇用、景気、消費者保護。あらゆる意味において自動車メーカーに「突然死」は許されないのである。

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「クライスラー終わりの始まり」の著者

大西 康之

大西 康之(おおにし・やすゆき)

ジャーナリスト

日本経済新聞産業部記者、欧州総局(ロンドン)、日経ビジネス編集委員、日本経済新聞産業部次長、産業部編集員などを経てフリーのジャーナリストに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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