迷走を重ねたHOYAとペンタックスの経営統合問題は、HOYAがペンタックスに対するTOB(株式公開買い付け)を開始することで合意に達した。HOYAによるTOBは早ければ6月1日にもスタートする見込み。ペンタックス株の23.9%を握るスパークス・グループ、12.9%を持つフィデリティ投信の動向が焦点になるが、これまでの経緯から考えて、TOB自体は成立する可能性が高いと見られる。
頑なにTOBに反対していたペンタックス創業家の態度も、既に変わってきている。「今はまだ考えがまとまっていない。しかし、(創業家がTOBに)応じなくても成立しそうな雰囲気だ。成立したら、HOYAがペンタックスの強みを最大限生かしてくれることを願っている」。創業家の中でも持ち株が最も多いと見られる松本毅氏(旧ペンタックス販売会長)はこう話す。
1カ月半にわたった騒動は詰まるところ、ペンタックス現経営陣の“独り相撲”に終わった。統合に対する姿勢を二転三転させて市場の失望を買い、最後は白旗を揚げた。綿貫宜司社長を除く7人の取締役は全員早期に辞任する意向と見られる。
「ペンタックスは高過ぎる」

TOBを成立させ、新たな成長戦略を描けるか。鈴木洋代表執行役は正念場に立たされた (写真:松谷 祐増)
ただ、思惑通り友好的TOBに持ち込んだとはいえ、HOYAも「勝利」を単純に喜べる状況にはない。事態を冷静にとらえれば、今回の合意は統合計画がスタートラインに戻っただけのこと。鈴木洋代表執行役の舵取りはこれからが正念場だ。まずは、市場にもある成長鈍化の懸念を払拭することが最大の課題となる。
今のHOYAの収益の柱はHDD(ハードディスク駆動装置)用ガラスディスク事業だ。ガラスディスクは「垂直磁気記録」という新方式への移行が進んでいるが、HOYAは対応に手間取り、製品の歩留まりが悪化している。記録媒体としてHDDと競合するフラッシュメモリーの台頭も利益面でのマイナス材料となる。
液晶パネルの製造に使われるマスクブランクスの成長性にも陰りが見えてきた。最終製品である液晶テレビで年間3割近い価格下落が続いている影響がじわりと効き始めている。マスクブランクスに対する需要家の値下げ要求はやむ気配がなく、利益率の低下は避けられないとの声が聞かれる。
HOYAが4月23日に発表した2007年3月期連結決算は、高収益企業の経営が転機に差しかかったことを表す内容だった。5期連続で最高益を更新したものの、ここ4年20%前後で推移していた営業増益率は6%にとどまった。直近の株価は3800円前後で、ペンタックスとの合併を発表した昨年12月時点と比べると、15 %以上も下落している。
先行きを不安視する声は、意外なところからも上がり始めている。
ペンタックスは高い買い物になるのではないか…。
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