「時事深層」

折口経営につきまとう不透明

コムスンだけではない、人材サービスも資本政策も

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2007年6月18日(月)

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 子会社コムスンの不正請求問題で介護事業からの撤退を迫られているグッドウィル・グループ。同社会長の折口雅博は、テレビ出演などメディアに登場し、「不正は利得目的ではなかった」と弁明を繰り返す。しかし、内部告発などによるコムスンのずさんな運営実態を次々と突きつけられ、経営への不信感が広がる。

 折口は日経ビジネスに「当初決めた介護内容と少しでも異なる介護をすると、それが不正だと言われてしまう」と、介護市場特有の問題であることを強調した。しかし、不信を招きかねない強引とも言える経営は子会社コムスンの介護事業に限った話ではない。

クリスタル買収の舞台裏で

記者会見でグッドウィル・グループ会長の折口雅博は時折涙を浮かべた

記者会見でグッドウィル・グループ会長の折口雅博は時折涙を浮かべた (写真:都築雅人)

4日間で時価総額は4割弱減った

 介護と並ぶグッドウィルの事業の柱、人材サービス。昨年、最大手クリスタルを買収したことでグッドウィルは、訪問介護最大手に続き、この分野でも最大手の座を手に入れた。しかし、その買収劇の舞台裏を追うと、欲しいものを手に入れるためには手段を選ばないという強引さが浮き彫りとなる。

 折口は1年ほど前からクリスタル買収に関心を持っていた。事態が動いたのは昨年10月2日のことだった。

 「もう、手放すしかないな」

 クリスタル創業者の林純一は周囲にこう漏らした。翌日には、クリスタルグループ中核企業のコラボレートに、大阪労働局から偽装請負によって事業停止命令が下されている。偽装請負とは、契約上は「請負」として業務を一括受注する形を取りながら、実際は労働者を送り込むだけの「派遣」として働かせる違法行為だ。

 売り上げ規模5000億円という巨大な未上場企業クリスタル。林の夢はクリスタルの株式上場を果たすことだった。しかし、事業停止命令によってその実現は難しくなった。

 林は懇意にしていたクリスタルのメーン銀行OBに売却先を探す仲介者となることを相談した。ある人材大手は1000億円を提示した。しかし林は、あくまでも同業以外への売却にこだわり、仲介者を通じて新たな買い手を探すことにした。

 仲介者が見つけてきた売却先が「コリンシアンパートナーズ」という投資ファンドだ。10月31日、林自身と林の資産管理会社が持つクリスタル株90.92%などをコリンシアンに500億円で売却した。

 コリンシアンの大口出資者が実はグッドウィルだった。グッドウィルは100%出資の「人材サービスファンド」という投資ファンドを設立、そのファンドがコリンシアンに約75%出資した。その際、グッドウィルは883億円を払い込んでいる。

 コリンシアンの残り約25%分を持つ人物の出資額は303億円、つまりコリンシアンには総額1186億円が集まった計算になる。クリスタルの元オーナー、林に株式の代金500億円を支払った後にも、コリンシアンには686億円の現金が残る。

2つのファンドを使って“真の買収者”を見えにくく

 昨年12月28日。突然、グッドウィル100%出資の人材サービスファンドはコリンシアンが運営する投資事業有限責任組合から脱退する。脱退に当たってグッドウィルは人材サービスファンドが持っていたクリスタル株のすべてを受け取った。通常、こうした形で脱退する際には現金の分配も受けるはず。折口にそう聞くと、「当初から、株式の取引だけに関する契約となっていた。現金の分配は対象外だった」と説明する。

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