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人口減ニッポン~2030年からの警告(3)

出生率を1.66から2.0に回復させたフランスに学べ

2007年6月18日(月)

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 明るいニュースだ。昨年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと子供の数を推計した値)が1.32人となり、前年より一気に0.06人上昇した。この上昇に大きく寄与しているのは団塊ジュニアだ。彼ら、彼女らが生を受けたのは1970年代前半。その第2次ベビーブームが終わってから、日本の出生率は長期低落期に入っていた。

 人口学の世界では出生率が1.30を下回る国を「超少子化国家」と呼ぶ。4年ぶりに超少子化から抜け出した日本。この先、少々のことで年金や医療に制度疲労を起こさないようにし、経済の成長力をより高め、労働力人口や納税者の減少による経済や社会へのマイナスの影響を緩和するためにも、今回の反転を機に出生率の上昇トレンドを確かなものにしなければならない。そのカギの1つは「お金」が握っている。

出生率2.0を回復させたフランスの15年改革

 小泉前政権の5年半に、経済政策の常識は180度覆った。公共事業は毎年のように減らすことが当たり前になり、郵政事業など役人がやるのが当然だと誰もが思っていた仕事も民営化への道筋をつけた。

 「小さな政府」「官から民へ」――。このかけ声が構造改革という言葉とともに定着し、役人や族議員が新規に予算を増やすことがはばかられる空気が醸成された。歳出の積み増しを求める声は、それは予算のばらまきじゃないかという「正論」にかき消されることが日常の風景になった。

 少子化対策には予算が要る。昨年の出生率が2.0を上回ったフランスの例を出すまでもなく、これは否定しようのない事実だ。

 経済面でも出産・育児世代を税や予算を使って国民総がかりで後押ししてきた。とりわけ子どもがいる世帯への給付が充実している。日本は、第1子が生まれた時の児童手当が1人当たり年間12万円。フランスは手当てを合算すると日本の2倍強にもなる。GDP(国内総生産)に対する少子化対策費の割合は日本の0.75%に対し3%と桁違いに高い。

高齢者向け歳出を削り、少子化対策に振り向けよ

 今、フランスの少子化対策と同じことを日本でやろうとすれば、財務相が増税を求めたように年間10兆6000億円が必要になる。今の日本の少子化対策費の3倍、消費税率に換算すると3%弱分に当たる。1993年に1.66に落ち込んだフランスの出生率が、わずか15年で2.0を超えたのは、その当然の帰結である。

 お金だけで出生率の回復を持続させることはできないのはその通りだろう。女性の働き方の問題、国民全体の意識の問題、幼稚園と保育所の一元化など制度改革の問題。この合わせ技が必要だ。

 だが、ここではばらまき批判を受けるのを覚悟のうえで、超少子化国家という汚名を返上し続けるためにも、子供とその若い親の世代にもっと予算を使おうと提案したい。

 今月4日、首相官邸で開いた経済財政諮問会議でちょっとした衝突があった。少子化対策を議題にした時のことだ。尾身幸次財務相が次のような趣旨の発言をしている。

 「日本がフランス並みに(少子化対策を)やると、10兆円強が必要になる。少子化対策は待ったなしであることを考えると、今、直ちに着手しなければならない」

 10兆円の根拠は前述したとおりだ。問題は「直ちに着手する」と言っている増税論にある。消費税率の引き上げによって兆円単位で必要になる少子化対策予算を賄うべきだ、と力説しているのだ。「本物のばらまき」をやれと言っているに等しい。

コメント39件コメント/レビュー

このコラムに対するコメントは大きく分けて、人口を維持する、人口減少を容認するの二つに分かれています。コラムの筆者は人口維持派ですが、さて日本はどうあるべきでしょうか。私は64歳になる現役ですが人口減少容認派です。但し若い世代の将来とこれから生まれてくる世代のために現在と未来のの高齢者が今まで以上に負担を増やすことには賛成いたします。但し人口維持、人口減少容認の問題に決着をつけなければ、どのような政策でもその場しのぎになるのではないでしょうか。安倍政権なぞ評価に値しないですが、小泉政権を支えたのはどちらかというと、女性と若者ではないでしょうか。小泉政権は明確な人口減少容認政治を行いました。子育て世代の投票権を増やしても人口維持政策を掲げる政権が出来るのでしょうか。何十年も前から人口が減るのが解っていながら、今も人口減少容認派に投票しているのは国民そのものです。今の高齢者も何十年前には子育て世代だったことを忘れずに。今の子育て世代が何十年後には高齢者になることもです。(2007/07/12)

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このコラムに対するコメントは大きく分けて、人口を維持する、人口減少を容認するの二つに分かれています。コラムの筆者は人口維持派ですが、さて日本はどうあるべきでしょうか。私は64歳になる現役ですが人口減少容認派です。但し若い世代の将来とこれから生まれてくる世代のために現在と未来のの高齢者が今まで以上に負担を増やすことには賛成いたします。但し人口維持、人口減少容認の問題に決着をつけなければ、どのような政策でもその場しのぎになるのではないでしょうか。安倍政権なぞ評価に値しないですが、小泉政権を支えたのはどちらかというと、女性と若者ではないでしょうか。小泉政権は明確な人口減少容認政治を行いました。子育て世代の投票権を増やしても人口維持政策を掲げる政権が出来るのでしょうか。何十年も前から人口が減るのが解っていながら、今も人口減少容認派に投票しているのは国民そのものです。今の高齢者も何十年前には子育て世代だったことを忘れずに。今の子育て世代が何十年後には高齢者になることもです。(2007/07/12)

まだ人口減が悪いこととは限らないという呑気な意見を散見するにつけ、対策を論じる前に問題点が何なのかを論じるのが先だと思いました。人口減はもちろん悪いことではなく、人間が減ることは地球環境にもやさしいのです。しかし、それは人口が減った後の話であって、少数の労働世代が多数の引退世代を支える、人口急減期間を生きる平成生まれの人たちは、ほぼ一生をかけて先人の少子化無策のつけを払うことになります。現に「就職氷河期は団塊の世代の雇用を守るため」という指摘があります。もちろん、雇用を守りきれなかったリストラ人口も無視できませんが、リストラを免れた親を持った人だけが豊かで、資産を受け継げなかった若者は責任を任されること無く低収入の状態で宙に浮いています。子供の世話にならずに暮らしているという幸運な人も、弱った同世代の人を「不摂生が祟った」と笑うだけでいいのでしょうか。今生まれる子供たちは、世界一のを謳歌するべき、最も世代人口の多い世代と、子供も無く資産もない将来の壮年層の老後を、少ない人口で支えることになります。老後をあとの世代に頼らず、国にも頼らない勇気のある人だけが「人口減は悪いことではない」と言えるのです。そうでなければ、ある意味、究極の無自覚です。(2007/07/11)

http://www.nli-research.co.jp/report/econo_eye/2007/nn070611.html 出生率回復で現役世代の負担は増加する   少子化問題を声高に叫んでいる偉い皆様方は、こういった分析は目に入ってないんでしょうね。要は「若者は頑張ってきた高齢者のために、奴隷のように働いて当然。文句言うな!」というのが本音で。そりゃ若者も非婚化・晩婚化・少子化で対抗するでしょう。自分の生活(それも、最低限の文化的生活を維持する範囲の)守るために。  少なくとも、「高齢者向け豪華客船のツアーがブーム」などという記事(日経で見ました)が出ている限り、高齢者福祉に対する若年層の協力を得ようというのは無理でしょう。むしろ「強制的に安楽死させろ!」位の意見は出かねないかと(少子高齢化問題解決の、最短策でしょうから)(2007/07/07)

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